今回の記事では、データサイエンス領域における資格をご紹介いたします。
データサイエンスとは、ビッグデータ等を解析して有益な情報を抽出する手法のことです。
データサイエンスを駆使することで科学的あるいは社会的に役立つ新たな知見を得ることができるため、官公庁や民間企業を中心に引き合いの多い有益なスキルといえます。
データの解析・抽出にあたっては、アルゴリズムや統計学、情報科学など数理的な知見や技術を横断的に扱う能力が問われます。
データサイエンスを扱うのに特別な免許等は必要ありませんが、自らのスキル・能力を証明したりより幅広く知見を得て業務に活かしたりするためにも、資格取得は非常に有効です。
統計関連資格
統計検定
一般社団法人の日本統計学会が認定する検定試験です。
レベル若しくは職務内容に応じて10種のラインナップで構成されているため、ご自身の状況や知識レベルに応じて受験することができます。
データサイエンス領域においては、データを適切に処理して利活用しやすい情報に加工する必要があります。
統計検定で段階的に統計に関する知識レベルを高めることで、データサイエンス業務の基幹である統計能力を着実に身につけることができます。
また統計能力を身につけることで、(データに基づいて方針決定したり課題策定したり等)ビジネス全般において役に立つので、他の業務でも活きる汎用性の高い能力と言えるでしょう。
本記事では、10種のラインナップのうち、統計検定1級とDS(データサイエンス)エキスパート検定をご紹介します。
統計検定1級
統計検定4級から準1級までの知識を前提としつつ、実社会における様々な分野でデータ解析が十分に行えることを認定する検定です。
他の統計検定(統計調査士系統、DS系統)よりも、より学問的に統計を扱っているのが特徴です。
レベル的には、大学での専門分野修了程度に匹敵します。
転職での注目度 | ★★★☆☆ |
合格率 | 約20%前後 |
勉強時間(目安) | 300時間程度 |
更新の有無 | なし |
公式サイト | 統計検定1級|統計検定:Japan Statistical Society Certificate (toukei-kentei.jp) |
データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
DSの名前の通り、統計に関する知識の中でもデータサイエンス分野に特化した統計資格です。
下位試験である「DS発展」の知識レベルを前提としつつ、大学専門レベルの計算、統計、モデリングや領域知識が問われます。
合格率のデータは見つかりませんでしたが、統計検定1級と同じく大学専門レベルの知識が問われるため、同じく20%前後程度だと考えられます。
転職での注目度 | ★★★☆☆ |
合格率 | 推定20%前後 |
勉強時間(目安) | 推定300時間程度 |
更新の有無 | なし |
公式サイト | 統計検定 データサイエンスエキスパート|統計検定:Japan Statistical Society Certificate (toukei-kentei.jp) |
データサイエンス関連資格
データサイエンティスト検定リテラシーレベル
一般社団法人データサイエンティスト協会が主催する認定検定です。
データサイエンス初学者を主な対象としており、これからデータサイエンティストを目指す社会人にうってつけのレベルになっています。
本協会はデータサイエンティストに必要なスキル領域として「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の三つを挙げており、検定試験においても3つ全ての能力を包含していることを求められるのが特徴です。
職種横断的に基礎知識を会得できるため、広い視点でデータサイエンスに関わる業務を捉えられるようになります。
転職での注目度 | ★☆☆☆☆ |
合格率 | 66% |
勉強時間(目安) | 30時間 |
更新の有無 | なし |
公式サイト | DS検定® ★とは|一般社団法人データサイエンティスト協会 (datascientist.or.jp) |
G検定
ディープラーニング分野における基礎的な知識を認定する資格です。
適切な活用方針の決定や事業活用するための能力など、実務を意識した内容を問われるのが特徴です。
体系的なディープラーニングに関する知識を学べるため、「AIができること/できないこと」や「AIを活用する上で必要なもの」など、AIを業務に利活用する上で欠かせないスキルが身につきます。
このようなスキルは、ディープラーニングの観点からデータ活用・課題発見にアプローチする際に大いに役立ちます。
転職での注目度 | ★☆☆☆☆ |
合格率 | 60~70% |
勉強時間(目安) | 30~40時間 |
更新の有無 | なし |
公式サイト | G検定とは – 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】 (jdla.org) |
E資格
ディープラーニング分野における認定資格です。
こちらもG資格と同じ領域を扱っていますが、E資格ではより技術的性格が強い知識・スキルを問われやすいという点で異なります。
G資格がジェネラリスト向けだったのに対し、E資格はエンジニアが対象というイメージです。
E資格では、機械学習モデルの実装といった実務的なものから、数学的な理論に基づく仕組みといった知識レベルまで、より専門的な内容に踏み込んだ問題が出題されます。
転職での注目度 | ★★☆☆☆ |
合格率 | 65~75% |
勉強時間(目安) | 100~300時間 |
更新の有無 | なし |
公式サイト | E資格とは – 一般社団法人日本ディープラーニング協会【公式】 (jdla.org) |
データベース関連資格
OSS-DB技術者認定試験
特定非営利活動法人LPI-Japanが認定する、オープンソースデータベースに関する技術力と知識を認定する資格です。
オープンソースデータベースは、自由度が高くカスタマイズしやすいという理由から非常に高い需要を誇っており、今やWebアプリケーションの半数超を占めるなど一大勢力を築いています。
一方で、オープンソースデータベースの高い需要に反して扱える人材が圧倒的に少ないという現状があります。
こうした現状の中、一早くオープンソースデータベースに関する知識を身につけることで、転職市場で優位な立ち位置を確保することができます。
OSS-OBのsilverの方は合格率が70%とそこまで難しくないため、これからオープンソースデータベース領域で活躍したい方にぜひおすすめしたい資格となっています。
転職での注目度 | ★★☆☆☆ |
合格率 | 70% |
勉強時間(目安) | 40~50時間(未経験想定) |
更新の有無 | あり |
公式サイト | トップページ (oss-db.jp) |
データベーススペシャリスト試験
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験です。
データベースに関する専門的かつ高度な内容が問われるため難易度は非常に高いですが、データベース分野における転職市場においては無類の強さを誇ります。
本試験では、企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、高パフォーマンスなデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供できる能力が求められます。
転職での注目度 | ★★★★☆ |
合格率 | 15~18% |
勉強時間(目安) | 150~200時間 |
更新の有無 | なし |
公式サイト | データベーススペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 |
※尚、データベーススペシャリスト試験については、こちらの記事でも取り上げています。
他のIPA試験に興味がある方はぜひご参照ください。
オラクルマスター
世界で圧倒的シェアを誇るDB(データベース)の雄「日本オラクル社」のベンダー資格です。
ベンダー資格は、製品を製造・リリースしているメーカーが実施している資格のことで、資格保持者は該当する製品に精通したエンジニアであることを証明することができます。
特にオラクルのようなメジャーなベンダー資格であれば、基本的にどこに行っても高い需要があります。
認定試験では、データベースの管理・運用といった知識はもちろんのこと、データベースの運用の際に必要となるSQLの知識まで問われます。
またレベルに応じたラインナップも構成されており、下からBronze、Silver、Gold、Platinumがあります。
転職での注目度 | ★★★☆☆ |
合格率 | 非公開 |
勉強時間(目安) | 20~40時間(Platinum未満:前レベル相当の知識) 350時間 (Platinum) |
更新の有無 | あり |
公式サイト | ORACLE MASTER Portal – be an ORACLE MASTER – | オラクル認定資格制度 | Oracle University |
海外の資格
Certified Analytics Professional(CAP)
CAP試験では、データ抽出・分析を行うためのスキルを前提としつつ、得られたデータに基づいて戦略的な意思決定ができるかを問います。
海外のデータサイエンス資格のため、取得することで国際的にも優位な立場を築ける資格となっています。
CAPでは、データ分析から戦略策定までに必要な7つのスキルセットを評価しています。
①ビジネス問題のフレーミング
②分析問題のフレーミング(アナリティクス)
③データ
④方法論の選択
⑤モデル構築
⑥デプロイメント
⑦ライフサイクル管理
CAP認定試験を受験するためには厳しい規定を満たしている必要があり、「学士号若しくは修士号を保有していること」「MA/MS取得後、3年以上が経過していること」「BA/BS取得後、5年以上が経過していること」が求められます。
転職での注目度 | ★★★★☆ |
公式サイト | CAP – CAP (certifiedanalytics.org) |
Open Certified Data Scientist (Open CDS)
データサイエンス専門の資格としてはトップクラスの権威を誇る国際資格です。
データサイエンスに関わる知識・スキルセットが包括的に試され、広範に及ぶ知見と実際の業務で使いこなせるレベルの技術が求められます。
本試験の最大の特徴は、講義受講や試験合格ではなく、与えられた課題や面接等をこなすことで認定される点です。
確かな知識に裏付けされた臨機応変な対応や柔軟な思考力が求められます。
取得難易度は高めですが、世界有数の企業が本資格の評価を表明しているなど、データサイエンス領域の転職において傑出した効果を発揮します。
転職での注目度 | ★★★★☆ |
公式サイト | Open Certified Data Scientist (Open CDS) | opengroup.org |
担当コンサルタント
エグゼクティブコンサルタント 大西 絢弓
[ 経歴 ]
成蹊大学卒業後、証券会社における営業職を経て、メーカーへ転職。
サプライチェーンマネジメント全般や人事など幅広い業務の中で、システム導入や業務改善、商品開発などを経験し、現職。
[ 担当業界 ]
IT業界、製造業
エグゼクティブコンサルタント 網中響太郎
[ 経歴 ]
明治大学政治経済学部卒業後、新卒でコトラに入社。入社時からコンサルタント業務に従事。入社2年目で大手監査法人パートナー等と共にウェビナーを主催し、ファシリーテーションも務める。現在はESG、財務会計アドバイザリー、金融ミドルバック全般、コンサルティングファーム全般を担当。
[ 担当業界 ]
ESG領域、コンサルティングファーム、財務会計アドバイザリー、金融ミドルバック
コンサルタント 吉田 宗平
[ 経歴 ]
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、外資系IT企業に入社。
SEとして貿易システムプロジェクト等に従事した後、コトラに入社。
[ 担当業界 ]
IT業界、コンサルティングファーム等