スマートウォッチやウェアラブルデバイスといったコンシューマー向けのプロダクトはIoT(Internet of Things)社会の到来をとても身近に感じることができる領域です。コンピューターや携帯電話に限らず、身の回りのありとあらゆるモノがインターネットに接続されると、そのモノがそれまで果たしていた役割が大きく変わることがあります。
例えば、スマートウォッチは時計本来の、時間を確認するという機能を超えて、健康管理という機能を提供しています。これまではモノを製造・販売していたメーカーもIoT時代の到来によって、提供するサービスや価値が変わり、ビジネスモデルや競争環境に大きな変化が起こることが予想されています。今回はそんな状況が垣間見られるIoTコンシューマープロダクトの事例や関連サービスを海外の事例を中心に紹介していきます。
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海外におけるコンシューマー向けのIoT製品20選
IoTウェアラブルの代表的デバイス「APPLE WATCH」 企業名/アップル アメリカ
アップル社が販売するAppleWatchはウェアラブルIoTデバイスの代表例です。GPSや加速度センサー、光学式心拍計といったセンサーを備え、iPhoneを通してインターネットと接続されることによって、ヘルスケアサービス等の様々なサービス提供の起点になります。現在、発売されているAPPLE WATCH2は単独でモバイルデータ通信をすることはできませんが、将来的に単独で通信が可能なモデルが出れば、単体で通信、センサー、コンピューターといったIoTデバイスの要件をすべて満たすことになります。
室内を常に最適な環境にする「Nest Learning Thermostat」 企業名/Nest アメリカ
Nestはグーグルを傘下に持つ、持株会社Alphabet社の子会社の1つです。このラーニングサーモスタットはインターネットに常時接続され、温度等の室内環境をモニターしつつ、過去にユーザーが好んだ設定や、他のユーザーの利用データから室内を常に最適な環境に整えてくれます。室内に人間がいない時は空調を弱くする等、電気代の節約にも繋がります。Nestは他にもスマートスモークセンサーや室内カメラ等のIoTホームデバイスを幅広くラインナップしています。
室内照明を思いのままに操れる「Philips Hue」 企業名/Philips アメリカ
初期IoTホームデバイスのヒット商品とも言えるフィリップスの「Hue」は屋内の照明をスマートフォンから遠隔でコントロールできるだけでなく、時間帯に合せて照明度を変えるといったスケジューリングや、睡眠と連動した照明の調整、映像や音楽との連動したイルミネーションとしての活用等、幅広く、便利で楽しめる機能を数多く揃えています。電気代の節約も期待でき、帰宅時に家に近づけばジオフェンシングで自動で室内の照明を点灯させる事も可能です。
IoT次世代体重計「Naked 3D fitness Tracker」企業名/Naked アメリカ
「Naked 3D fitness Tracker」はIoT技術を駆使した未来の体重計です。体重計と体型を3Dでスキャンできるミラーがセットになっており、日々の体型の変化を3Dで記録することができます。3Dの体型データや体重や体脂肪、筋肉量といったデータはスマートフォンに送られクラウド上に保存されます。記録し続けた3Dデータをタイムラプス再生することができ、ダイエットやフィットネスのモチベーション維持に繋がることが期待できます。このようなサービスは体重等の数値的データと体型の画像という視覚的なデータを、関連性を持たせて解析することが可能で、ここから派生して登場するビジネスにも期待することができます。
話しかけられるスマートなスピーカー「Amazon Echo」 企業名/Amazon アメリカ
「Amazon Echo」はアメリカの大手イーコマース事業者のアマゾン社が販売する、音声認識AIである「Alexa」を搭載したスマートホームデバイスです。この「Alexa」に話しかけることによって、Amazonでの買い物を完了させる事ができるだけでなく、APIで連動するサードパーティ製のアプリケーションも続々と登場しています。例えば、このスピーカーに話しかけるだけで、Uberの配車ができたり、Spotifyを呼び出してお気に入りのプレイリストを再生したり、曲名を聞いたりと、スピーカーに無限の機能を持たせる事ができます。
スマート家庭菜園「The Glove Garden」 企業名/Glove アメリカ
「The Glove Garden」はアメリカのGlove社が提供するスマート家庭菜園ソリューションです。大人の背丈程の高さの棚が2段に分かれており、下部は水槽、上部はスマートプランターとなっています。水槽とセットにすることで灌漑システムを構築し、プランターに設置されたセンサーから土壌のPhバランスや水分量がクラウドに送信され、システムがモニタリングし、自動で環境を調整します。自動調整ができない条件では、スマートフォンアプリを経由して所有者に必要な作業の指示を行います。デザインに優れインテリアとしても最適です。まさに次世代のIoT家庭菜園です。
IoT芝刈り機でメンテナンス要らず「Robomow RS630」 企業名/Robomow アメリカ
「Robomow RS630」はスマートIoT芝刈り機です。アメリカのホームドラマでもよく目にするように、庭が広いアメリカの家庭では芝の水やりや芝刈りの管理が負担になっています。学習機能を持った、このスマートな芝刈り機は自律的に走行し、芝刈りを完了させるだけでなく、週に1度や2日間隔といった、スケジューリングを行うことも可能です。外出先から遠隔で起動をさせることも可能です。20年以上芝刈り機を販売してきたメーカーの経験から安全への配慮や、細かいユーザーのニーズを把握しており、完成度の高いプロダクトとして支持されています。
▼詳細はこちら
http://usa.robomow.com/
ガーデニングに必要な水道代を削減する「スマートスプリンクラー」 企業名/Rachio アメリカ
Rachio社の「スマートスプリンクラー」は前述のRobomowと同様に、広い庭を持つ家庭が多いアメリカで誕生したIoTスプリンクラーです。遠隔での起動やスケジューリングはもちろん、センサーが自動的に芝の状態を把握して、季節や気候等の予測も勘案し、予測に基づき最適な水やりを行います。自動化により管理の手間を大幅に削減するだけでなく、不適切な水やりによる芝の劣化防止や水道料金の削減も期待することができます。
▼詳細はこちら
http://rachio.com/
押すだけでリピート「Amazon Dash Button」 企業名/Amazon アメリカ
Amazon Dashボタンは今年2017に日本でも販売が開始されたAmazonのIoTホームデバイスです。各種メーカーのロゴがプリントされたフリスクサイズの物理ボタンには「追加注文」のコマンドがプログラムされており、ユーザーはそのボタンを押すことでオンライン上で、そのコマンドを実行することができます。
例えば、洗濯機の前に、洗剤メーカーのボタンを設置して、洗剤の残量が少なくなった時にそのボタンを押下すればAmazonでの注文が完了し、次の日には洗剤が届きます。ボタン自体はシンプルな構造でセンサー等は搭載されていませんが、ありとあらゆるモノがネットに接続される、「モノのインターネット」という表現にはピッタリなデバイスです。開発者向けに自由にプログラムできるボタンも販売されています。
安眠に導く睡眠関連テクノロジーの集積「THE SMART MATTRESS」 企業名/EIGHT アメリカ
EIGHT社が提供する「THE SMART MATTRESS」は反発度や温度の自動最適調整、スマートアラーム、スリープトラッカー等の安眠に導く様々な機能を搭載したIoTマットレスです。搭載されたセンサーがマットレスのコンディションと睡眠の質を関連付けて学習し、睡眠の質をスコアリングしたり、学習したユーザーの睡眠特性に合わせてマットレスの設定を自動で調整したりしてくれます。カップルに対応したダブルベッドもラインナップされており、2人で就寝し、就寝中に移動があった場合でも、そのユーザーの体重等からどちらが寝ているのかを識別することが可能です。
クッキングの3Dプリント「June Intelligent Oven」 企業名/June アメリカ
「June Intelligent Oven」はスマートIoTオーブンです。オーブン内に設置されたセンサーや内蔵されたカメラから、送信されるデータをクラウド上で解析し、調理中の温度や時間等を自動で制御してくれます。手動で調整する際にもオーブンを開く必要がなく、アプリから操作をすることが可能です。レシピも多数用意されており、素材をセットして、3Dプリントするように調理することが可能です。感覚や経験に頼っていたオーブンでの調理がIoTによって進化し、調理の失敗や、食中毒等のリスクもマネージメントすることが可能になりました。レストランなどでの活用も期待できます。
冷蔵庫の役割を変えるIoT冷蔵庫「Samsung Smart Fridge」 企業名/Samsung 韓国
「Samsung Smart Fridge」はIoT冷蔵庫です。冷蔵庫内部にカメラが設置されており、外出先からアプリケーションを通じて冷蔵庫の中身を確認することができます。外装にはタッチスクリーンも装備されており、ディスプレイから中身を確認し、内蔵アプリからオンラインスーパーで買い物を済ませるといった事も可能です。その他にもレシピの閲覧やカレンダーやショッピングリストの作成といった様々なアプリが提供されています。特徴的なのは冷蔵庫は家族が集まる場所である点に着目し、コミュニケーションを目的としたメッセージボードアプリなどが用意されていることです。IoT化されるとそのデバイスが果たす役割が変わり得る事を示す好例です。
▼詳細はこちら
http://www.samsung.com/us/explore/family-hub-refrigerator/
次世代のバーベーキューシステム「Digital Electric Smoker」 企業名/Char-Broil アメリカ
Char-Broil社が提供する「Digital Electric Smoker」はクラシカルなバーベキューを愛する人が多いことで有名なアメリカ合衆国テキサス州発のスマートIoTバーベキューデバイスです。Wifiによってインターネットに接続されたオーブン型のこのデバイスは、お肉の焼き加減という感覚と経験に頼らざるを得ないバーベキューの調理を、簡単で確実なものにしてくれます。センサーからクラウドに送られたデータを解析して火力を自動調整し、調理が完了するとアプリケーションを通して通知してくれます。
出先でも対応可能なIoTインターフォン「SkyBell HD Wi-Fi Video Doorbell」 企業名/SkyBell アメリカ
「SkyBell HD Wi-Fi Video Doorbell」はスマートIoTインターフォンです。外出中に来客があった場合でもスマートフォンのアプリケーションに通知され応対することが可能です。赤ん坊が寝ている時はベルを鳴らさず母親のスマートフォンに通知をする、といった配慮ある機能も搭載されています。HD録画できるカメラが搭載されており、録画された鮮明なデータを後にアプリケーションで確認することが可能です。
▼詳細はこちら
http://www.skybell.com/
IoT自転車ペダルで盗難防止「Connected Cycle Pedals」企業名/Connected Cycle フランス
「Connected Cycle Pedals」はフランスのコネクテッドサイクル社が開発したIoTペダルです。GPSとモバイルデータ通信をサポートし、自転車の移動を検知するとスマートフォンアプリケーションに通知を飛ばし、リアルタイムでの所在の追跡が可能です。この事から、万が一自転車が盗難にあった際にも警察に効果的な情報を提供することが可能です。ペダリングによって給電することが可能なので、充電する必要もなく、ペダルを取り外すことも専用工具のみで可能な為、安心して運用することが可能です。
▼詳細はこちら
http://connectedcycle.com/
世界一の手のひらサイズドローン「DJI Mavic Pro」 企業名/DJI 中国
DJIは中国の深センに本社を構える世界一のドローンメーカーです。「DJI Mavic Pro」はDJIが発売してきたコンシューマー向けドローンの完成形とも言うべき、小型で折りたたみが可能な持ち運びに適したエントリーモデルのドローンです。ドローンは高性能な小型センサー、カメラ、通信モジュール、高速な計算が可能なコンピューティングリソースを内蔵し、クラウド側では飛行や動画データといった大量のデータを解析を行っています。まさにIoTの要素が凝縮されていると表現することができます。「DJI Mavic Pro」ではルーティングや自動飛行・追跡等が高度なレベルで実現されていますが、これはセンシング、モニタリング、アナリティクス、フィードバック、コントロールというIoTのあらゆる要素が高度に実現された事例です。
▼詳細はこちら
http://www.dji.com/jp
採光を最適化して電気代を節約するIoTブラインド「Remote Controlled Shades」 企業名/Serena アメリカ
アメリカのSerena社が提供するのはIoTブラインドです。遠隔コントロールが可能なブラインドがインターネットに接続されることで、ユーザーの嗜好に合わせた調光調整や、生活リズムに合わせたスケジューリングといった、パーソナライゼーションを可能にします。ジオフェンシングにも対応しており、ユーザーと自宅の距離関係から自動的に最適な制御を行います。他のスマートホームデバイスとも連携可能で、スマートサーモスタットと連携して室温に合わせた採光調整を行う事も可能です。
IoT時代のサングラスの主要機能はコミュニケーション「Spectacles」 企業名/Snap アメリカ
「Spectacles」はソーシャルネットワーキングサービス「Snapchat」を提供するSnap社が販売するサングラス型カメラデバイスです。サイドに設置されたボタンをタップするだけで録画を開始することができ、自動的にスナップチャットのアプリケーションに録画されたビデオが送信されます。サングラスがカメラを搭載しインターネットに接続される事で、コミュニケーションツールとして機能するという事実は、IoTが「役割やサービスの在り方を変える」という特徴を持つことを示す良い事例です。
コネクテッドなメガネが持つ無限の可能性「Google Glass」 企業名/Google アメリカ
「Google Glass」はアメリカのグーグル社が2014年頃一時的に販売を行っていたメガネ型スマートデバイスです。Android/iPhoneの専用アプリケーションを通じてインターネットにアクセスすることができ、音声だけでGoogle検索をしたり、動画や写真を撮影するといった、ハンズフリー操作をすることが可能でした。拡張現実(AR)をサポートし、グラス上にデジタルな情報をレイヤーし、現実世界と同時にデジタル情報を見ることが可能な、とても未来を感じさせる先進的なIoTデバイスでした。現在でも、医療等の分野で研究やソフト開発は継続されています。
もう絶対に失くさないIoT財布「Smart Wallet」 企業名/Ekster オランダ
「Smart Wallet」はオランダのロッテルダムとニューヨークに拠点を持つスタートアップEkster社が提供するスマートIoTウォレットです。小型で軽量ながらもGPSやスピーカーを搭載しており、紛失時にスマートフォンアプリから所在地を追跡することや、屋内で見つからない時には、連携したスマートフォンから音を鳴らすといった事が可能です。反対にウォレットを規定回数タップすればスマートフォンを鳴らし捜索することも可能です。太陽光で充電が可能で、自然に利用していれば充電が切れることがない設計になっています。
コンシューマー領域のIoT(Internet of Things)活用事例を紹介してきました。既に知っていたり、ご自身で所有しているモノがよく分析すれば、実はIoT製品(モノのインターネット)だったという例はこれから続々と増えてきます。今回の事例を見てみてもホームデバイスを中心に身の回りの製品が全てインターネットに繋がる日はそう遠くないのかもしれせん。今後、IoTのビジネスやサービスでの活用は更に加速する事が予想され、読んで頂いている方が目にしたり、実際に活用したりする機会が増えることは間違いありません。クラウドファンディングなどでは日々続々と新しいIoT製品が登場しているので是非チェックしてみてください。
▼詳細はこちら
http://eksterwallets.com/
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