※こちらは、2022年12月7日放送のコトラTV(ウェビナー)の内容を記事化したものです。
この記事の後編
日本の製造業の方向性 強みの源泉とミッシングパーツ
ゲストのご経歴
株式会社 オーツー・パートナーズ
取締役
勝見 靖英 様
慶応大卒。ジャパンエナジー(現エネオス)、PwCC、 デロイトトーマツコンサルティング、
日本IBM等を経て、2015年7月よりオーツー・ パートナーズに参画、2018年4月より取締役。
製造業を対象とした戦略策定、業務改革、ERP/ PLM等大規模システム導入等のプロジェクトを
多数経験。プロジェクトマネジメント、 チェンジマネジメントを得意とし、
現在は経営企画/会計/人事総務/組織開発/IT/ マーケティング広報等を管掌。
株式会社 オーツー・パートナーズ
執行役員
佐野 直人 様
スタンフォード大院卒。ウシオ電機にて製品設計(主にエレキ)・ 要素技術開発に従事。
IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM) にてコンサルタントへ転身し
主に製造業の各種業務改革プロジェクトや、モジュール化・ プラットフォーム化を
中心とした設計改革プロジェクトを推進。オーツー・ パートナーズ参画後は、
製品設計の中身まで踏み込んだエンジニアリングチェーン革命・ 設計業務改革を主に担当する。
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コトラ:
本日のコトラTVは「製造業向けコンサルタントが語る未来の日本の製造業〜Industry 4.0のその先へ(日本版Industry4.0の提唱)」と題しまして株式会社オーツー・パートナーズ様の実態に迫ります。
お仕事のリアルな姿、海外での製造業、日本の製造業の未来という観点でお話できればと思います。
では早速、今後の未来について勝見様、よろしくお願いいたします。
勝見様:
株式会社オーツー・パートナーズ取締役の勝見と申します。
私は20年のコンサル経験があり、大手のコンサル会社を経て、オーツー・パートナーズという会社で弊社の採用責任者をしております。
もう1名の佐野はエンジニア出身でコンサルタントをしています。
早速本日のテーマについてお話させていただきたいと思います。
「製造業向けコンサルタントが語る未来の日本の製造業」ということで、私が日々お客さんのご支援を通して見えている、日本の製造業の将来の方向性をお話していきたいと思います。
サブタイトルが「Industry4.0その先へ」となっております。
Industry4.0が2011年にドイツで発表されてから11年を経て、今どうなっているのか、ドイツの最新の状況から、日本の製造業のお話をさせていただきたいと思います。
それでは早速ドイツのIndustry4.0の最新の状況から始めさせて頂きます。
佐野さんお願いします。
ドイツIndustry4.0の最新の状況
佐野様:
私の方からドイツの最新のIndustry4.0の状況のお話をさせて頂きたいと思います。
実際に9月にドイツを訪問してきて、中小企業、スタートアップ企業、フラウンフォーファーといった研究機関がどんな連携をしてIndustry4.0を進めているかという一端を見てきましたので、そういった情報を共有したいと思います。
まず、ドイツと日本の比較ですが、日本にはドイツとほぼ同じ面積に約1.5倍の人が住んでいて、生産年齢比率もドイツ64%に対して、日本が59%で近いです。
GDPもほぼ同じくらいです。
生産人口比率も64%と59%というところで現在は近い値ですが、日本の生産年齢人口が急激に下がっているのに対して、ドイツは今は緩やかに下っていますが、この先ぐっと近づいて来る傾向にあります。
ゆえに、Industry4.0というデジタル化によって生産性をいかに高めていくかというところを非常に重視しているのは日本もドイツも同じかと思います。
産業別の人口比率のグラフを見ると、日本の製造業約1000万人、ドイツの製造業が約800万人となっています。
それ以外の産業の比率もほぼ同じです。
Industry4.0は最初は機械化から始まって、アッセンブリーでの大量生産、自動化、そして今第4としてサイバーフィジカルシステムを活用した生産性向上という事になっています。
サイバーフィジカルの世界を実現しているドイツの事例を紹介します。
BOSCHの半導体工場ですが、BOSCH初のAIOT工場ということで、2021年単年で10億ユーロの投資をして、2021年から300mmの半導体の製造を開始しているラインがあります。
ここでは製造・保守プロセスをデジタルツインの環境を使ってリアルタイムで分析し、それを最適化するアルゴリズムを組み込んで、デジタルとフィジカルの世界を融合したラインを作っていくという最先端の工場を作っていらっしゃいます。
しかしここには問題もあります。
2021年に出された、ビットコムというドイツのIT・通信・ニューメディアの産業連合会のレポートを御覧ください。
Industry4.0の進捗の状況と、遅れている部分に対してどんなコスト要因があるのかといったところが書かれています。
まず今の進捗の状況ですと、95%の方がIndustry4.0をチャンスとして捉えています。
あと、83%の方がIndustry4.0のアプリケーションをすでに使っている、または使う計画があると答えています。
一方で64%の方はIndustry4.0への取り組みが遅れている、もしくは自分たちが取り残されていると感じています。
そこを阻害している要因は、77%の方が資金不足、55%の方がスキルを有する人材の不足、52%の方がテーマが複雑で同意していいか分からない、と回答しています。
これらを総括すると、製造業の大部分、ひいてはドイツ経済の心臓部分が遅かれ早かれ競争力を失ってしまうということです。
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これはドイツの成長と雇用への影響が非常に深刻だと認識されており、その中でも中小企業への投資に対する障壁をいかに克服していくかということが問題です。
先程の調査では、要因が資金不足と回答されている方が多かったですが、中小企業も投資に対する障壁をいかに下げていくかというのが課題です。
そのため、大企業だけでなく、スタートアップ、中小企業、官も一体となって克服していくためのアクションが取られています。
ドイツの中にはハブという12個の座組がうまく作られて、Industry4.0という活動が推進されています。
ドレスデン、ライプツィヒという所にある、スマートシステム、スマートインフラストラクチャーを担っているハブ、システムサーブのご紹介をさせて頂きます。
彼らがどんな座組を組んでいるかということですが、真ん中の絵を見ていただきますと、大手のキーパートナーの方がいらっしゃいます。
SAPやインフィニオンと言った大企業、あとそれを支える官の部分、ザクソン州のシリコンの推進をリードしている団体とか、5Gを推進しているドイツの団体、またそれを実現していく会社として、IoTに関するSMEの専門家達の集団がいて、さらに新しいスタートアップの企業がそこに繋がっていく。
こういった企業、団体の方のネットワークで新しい取り組みを実現していくということが進められていらっしゃいます。
こういったディープテックのスタートアップ企業が、年間30社ほど増えています。
こういった新しい会社が持っている技術をうまくものに変えていってきちんと収益を上げていくために、そういった座組を支えていくということをしています。
その中の1つの事例が、工場のバルブの不具合を事前に検知するということで、エッジコンピューターを活用した仕組みを作るものです。
これをどんな座組で組んでいくかと言いますと、まずグローバルファンドリーズというアメリカの半導体メーカーがオーナーになってこういうものを作って欲しいという要望を上げて資金を提供します。
それに対してインフィニティという会社がこの座組の中ではセンサーを提供します。
さらに、このセンサリーという会社がセンサーもプラットフォームも提供して、それらの色々な企業を束ねていくスマートシステムハブという会社があって、彼らは製品化のオーナーとしてものを作り上げることに責任を持つということです。
入り口としてはスマートシステムハブにこういったものを作って欲しいということをアイテムとして持ち込んできて、スマートシステムハブは彼らの持っているSMEやスタートアップ企業の個々の情報を集めてどの会社をどう組み合わせると、その機能が実現できるか考える。
そこから実際にものづくりを始めていくという形になります。
このケースではグローバルファンドリーズという会社がオーナーになりますが、また別の事例ではインフィニオンという会社や別の大企業がオーナーになったり、それぞれの取り組みによって自分たちのロールをどんどん変えていって、いろんな役割で新しいものを作っていくことを担っています。
先程の例ですと、インフィニオンぐらいの企業があれば、自分たちの開発能力は持っているので、自分たちの中でクローズしてものを作っていくことも可能です。
むしろそのほうが効率がいい場合もありますが、インフィニオンの会社のホームページには、スタートアップ企業との協力契約のメリットということが書いてありまして、スタートアップ企業は自分たちが持っていた資産をうまく活用して、スピードや新しい発想が生まれてくることに期待をしていて、先行投資をして、スタートアップ企業やSMA企業を育てることによって、結果的に将来自分たちにより大きなリターンが帰ってくるということで、投資を進めているということです。
途中にあった欧州の大企業の大きな工場でIndustry4.0をぐっと推進していく例もありますが、草の根活動のように見えますが、いろんな新しいものをどんどん組み合わせて、そこから新しいものを生み出しIndustry4.0を推進していくという、事例を紹介させていただきました。
この記事の後編
日本の製造業の方向性 強みの源泉とミッシングパーツ
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株式会社 オーツー・パートナーズに
ご興味がある方へ
今回特集しましたオーツー・パートナーズ様の求人をご紹介します。
ご興味がある方は、下記ボタンよりぜひご応募ください。
■求人:
製造業コンサルタント
■仕事内容:
製造業のお客様へのコンサルティング業務に従事頂きます。
・リーダー職:プロジェクトの現場リーダーとしてお客様およびメンバをリード
・スタッフ職:プロジェクトのテーマリーダーとしてお客様をリード
【プロジェクト概要例】
(1) 製造業のバリューチェーン全般にわたる改革企画・実行
(2) 有望技術の事業化、スタートアップ企業の立ち上げ
(3) デジタルファクトリー企画~実装
■必要スキル:
【必須】
・以下いずれかの技術の構築や導入の経験、または知見を持っている方
1.製造業のバリューチェーン全般にわたる改革企画・実行
・製造業でのエンジニア経験(開発、設計、生産技術等、目安5年以上)、製造業向けコンサルティング経験をお持ちの方
・デジタルツイン、デジタルマニュファクチャリング、MBSE などの導入経験・知見をお持ちの方
2.製造業プラットフォーム事業立上
・サービスプラットフォーム(パブリッククラウド/プライベートクラウド)構築経験・知見をお持ちの方
・データ解析・アルゴリズム構築
・セキュリティ・暗号化技術
・高速通信ネットワーク技術
・UI/UX 開発技術
3.デジタルファクトリー企画~実装
・IoTの導入経験・知見をお持ちの方
・デジタルファクトリー企画・構想
・IoTプラットフォーム構築
・エッジコンピューティング処理(ハード・ソフト)
・データ解析・アルゴリズム構築
・ライン自動化の経験・知見をお持ちの方
・センシング技術
・制御技術(ハード・ソフト)
・設備設計技術
・工程設計技術
4.有望技術の事業化、スタートアップ企業の立ち上げ
・技術戦略、技術マーケティング、事業企画などの経験・知見をお持ちの方
【尚可】
・製造業のバリューチェーン改革に関するスキルや知見を持っている方
・PMF視点での事業立ち上げ、製品企画経験がある方
・多くの事業に積極的に取り組みたい方
・何よりも日本の製造業を盛り上げたいという気持ちをお持ちの方
【求める人物像】
ご自身の技術や経験を、頭も体も使うコンサルタントとして日本の製造業のために、と思っていただける方であれば、上記に当てはまらなくとも大丈夫ですので、ぜひ一度ご応募ください。
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