ゲストのご紹介
アビームコンサルティング株式会社
Digital X Innovation ビジネスユニット
シニアコンサルタント
関根 直輝 様
自動車部品メーカー、国内コンサルティングファームを経てアビームコンサルティングに入社。製造業で培った経験を活かし、製造業DX構想や工場DX施策立案、R&D領域のDX施策立案など、製造業の幅広い領域のプロジェクトを多数経験。
近年では製造業の枠に捉われず、デジタルを活用した未来事業構想プロジェクトに従事。
インタビュアー
株式会社コトラ
エグゼクティブコンサルタント
並木 雄助
大学卒業後、大手計測器メーカーに入社。自動車試験装置の設計開発に従事した後、自動車部品(tier1)メーカーに転職。防振製品の研究開発や自動車メーカーへの出向を経験した後、現職。 [ 担当業界 ]
メーカー、製造業、コンサルティングファーム
ご経歴
並木:
これまでのご経歴をお聞かせください。
関根様:
自動車部品メーカーで約10年間、部品設計を担当していました。入社5年目から中国に出向し、設計から生産、営業に関わる部分をプロジェクトリードの形でマネジメントしました。
当時の中国は過渡期で、アリババのアプリ決済が流行したり、EV車の導入を早める気運が急速に高まって充電器の配備が進んだりしていました。中国でデジタル化が進み、エネルギートランスフォーメーションが起きている中で、日本はそうした動きに遅れていると感じました。
一方で、日本人の仕事に対するプロフェッショナルさを感じ、“どうしたら日本人を守れるか”考えるようになりました。そんな時、知り合いの「コンサルティングをしてみないか」という誘いからコンサルティングファームに転職し、製造業に関わる様々なプロジェクトに携わりました。
コンサルティングファームへの転職から1年後、縁あって、アビームのセクター長と面談する機会をもらいました。アビームであれば製造業の中でも関われる分野が幅広く、“コンサルを通して強い日本にするための手助けができる”と感じ入社を決めました。
アビームへの入社後は、得意分野である製造業向けのプロジェクトに従事し、製造業のあるべき姿を実現する未来構想を描く戦略支援や施策検討をしています。また、最近では製造業にとらわれず幅広い業界でのあるべき姿や戦略の検討支援を行っております。
並木:
佐々木マネージャーにお聞きしましたが、製造業の中でも化学・素材分野のクライアントが多いのは、何か背景がありますか。
関根様:
製造業全般に広げていきたいと思っていますが、もともと化学・素材分野のメーカーとのつながりがあり、特に化学メーカーに対しては親和性が高く、声がかけやすかったということがありました。他分野では組み立てメーカーの案件獲得に向けた提案活動をしているところもあります。
また、製造業を分野カットで見るだけではなく、製造現場や研究開発にデジタルを活用してプロセスをどうアップデートしていくか、という観点から提案活動をしているクライアント先もあります。
プロジェクトを進める上での課題
並木:
アビームでのコンサルティング実績、事例をお聞かせください。
関根様:
1つ目は化学メーカーの「2050年にカーボンニュートラルとなった世界」での企業のあるべき姿の構想策定案件です。まず2050年はどのような世の中になっていて、製造業はどのように変化しているかを設定し、そこから長期的な視点で今何をすべきか議論し、最終的なDX戦略を立案したものです。
2つ目は製薬会社の「10年後を描く」ための構想策定案件です。製薬の現場がどう変化するか議論しながら、変化に対する施策を具体化していくプロジェクトに携わりました。
並木:
プロジェクトを進める上での課題や苦労はどういったところにありますか。
関根様:
我々の提案に対する阻害要因にはクライアント先の内的なものもあれば、業界に関わる外的なものもあり、もどかしさを感じます。例えば、内的要因にはデジタルに対するアレルギーや、「今までやってきた改善や省エネでカバーできるのではないか」という考えがあります。ドラスティックに変えていくためには、仕組み自体を見直していくことが必要になりますが、現場で抵抗がある方に対して、いかにマインドを変化させるかも、我々が一緒になって解決すべき課題です。
外的要因としては、例えば国のエネルギー政策の方向が見通せないことが挙げられます。再生エネルギーでの100%電力供給、燃料価格の高騰、原子力発電の廃炉等、多くの不確定要素に対し、決め打ちで施策を打ち出していかなくてはなりませんが、コンサルタントとして顧客の意見を聞きつつ、精度の高い仮説を提供する必要があります。
並木:
これまでのプロジェクトを通して、日本のメーカーへの課題と、今後取り組むべきことをお聞かせください。
関根様:
目の前のDXへの取り組みに対し、小さな成果に対しても「全然できていない」という言葉でくくってしまう点が課題だと思います。例えばドイツのインダストリー4.0も、最初から仕組みができたわけではありません。日本のメーカーも、今までやってきたことを推し進めていくことができれば、徐々に追いついていけるのではないかと思います。
今後、デジタル化を推進していくためには、他社やステークホルダーと未来を見据えながら、何をすべきか話し合う場を作ることで、更にもう一歩先に進むはずです。私自身も、そういった場を作り、発信したいと考えています。
並木:
DXというと、即効性のあるものという神話めいたものがあるのではないかと思っているのですが、製造の自動化とか、自動化した上での歩留まりの変化のようなデータ取りは各社ともされていると見受けています。
それはスマートファクトリーというよりもファクトリーオートメーションのレベルなのかもしれませんが、入り口の一つだと思います。そこから継続して、たまったデータで次にどうするか、という判断をするのがDXと理解しています。
おっしゃる通り、DX化に取り組んでいるのに、できていないと評価するのはもったいないです。それを続けることで、いつか形になる日がくるのかなと思うのですが、経営層から見ると、短期的に成果が出せていないことに対する厳しい判断をされるのは残念ですね。
関根様:
事業会社ですので、経営にどう刺さるかは考えなければならず、ある程度即効性を求められるのは致し方ないと思います。ただ、全ての取り組みが「明日から1000万円のコスト改善になります」とか、「1000万円の売上アップになります」とか、そういうものではないとも思います。
長期的にとらえたときに、変革期に何をしていくかという目線で会話をする必要があります。確かにそこに投資が必要かもしれませんが、そこで止めると将来的には企業活動が先細りしてしまいます。ぜひクライアントの方々と長期的な目線で、プロジェクトを進めていきたいと思います。
コアな部分にデジタル技術を融合させ、新たな日本のものづくりのあり方をつくりたい
並木:
今後、ご自身で実現されたい未来、こういう仕事をやっていきたいというビジョンを伺えますか。
関根様:
10年先、20年先、30年先をとらえたとき、例えばデータの中に空間があって、実際のリアルの空間もあって、過去のデータがパソコンの中で動いているようなデジタルツインが社会インフラとして成り立っている世界観が実現したとします。
私の関わり方としては、デジタルだけではなくてリアルなものがどう動いていくのか、その時企業がどうなっているのかを見据えて、様々な構想をしていきたいです。そしてそれを実現させるために、デジタル技術を実装していきたいとも考えていて、20年後、30年後の世界を実現させるための施策を形にしていきたいと思います。
並木:
日本のメーカーの技術力の観点については、どうお考えですか。日本のメーカーが厳しい状況というのは事実としてあると思うのですが、技術力のレベルの高さとして、他国と比べたときにどうなのかとか、技術力の活かし方について、どう思いますか。
関根様:
よく言われることですが、日本はどういうところに技術力があるのかアピールができていないと思います。
例えば、品質とコストと納期のバランスの問題で、どれをとるかという話になったときに、「品質が高いので、コストも高く、納期も遅くなります」という説明ができればいいのですが、どうしてもコストを下げないとクライアントが買ってくれないという目線になりがちです。技術力があるからこそ品質が高く、だからコストもこれだけ高い、という話をするべきなのです。
極論を言うと、製造現場で技術力の高い人は不要と考えています。なぜなら、何かものを作ろうとしたとき、特定の人しか作れず再現性がないものになってしまうからです。それはものづくりではなく、工芸品、アーティスティックなものになってしまいます。マニュアルが作れて均質なものを出せます、という部分と、アーティスティックな部分をバランスよくやっていければいいと思います。
日本の技術力の高さは、高ければいいのかというとそうではなくて、標準化できるところはしっかりと標準化する、本当にコアだというところに関しては、人を継承させたり、ナレッジを残したりしていかなければいけないと思います。そういった部分にデジタル技術を融合させ、新たな日本のものづくりのあり方をつくりたいと考えています。
長期的な視点で何をすべきか語れる方と働きたい
並木:
アビームでの労働環境、働き方について教えてください。
関根様:
私はクライアント先への常駐や出張はあまりありません。何ヵ月かに1回、または何週間かに1回、クライアント先を訪問して直接会話する頻度です。コロナ禍が収束すれば、もう少し頻度が高くなると思います。
残業時間に関しては、働いた時間は記録しなさいという文化ですし、それが多いのであればきちんと対策を話し合いましょうと言ってくれる方が多いので、不満に感じることはありません。クライアントに提案をすることが仕事なので、仕事に役立つ学びを自分でする必要があり、夜遅くまで自分の勉強をしていることもあります。仕事と自分の時間を上手く調整していける環境です。
並木:
どのような方と一緒に働きたいですか。
関根様:
世の中を俯瞰して見て、長期的な視点で何をすべきか、その中で自分としてどのようなことに取り組みたいかを語れる方です。例えば、未来は楽しい世の中になってくる、その時に自分はこういうことが得意領域で、こういうところの支援をしていきたい、と語れる方と一緒に働きたいです。
DXIの特徴として、デジタルを活用して世の中に変化を起こせる環境なので、データを活用した経験があれば尚良いとは思いますが、まずは未来について、その時に自分がどうありたいかを語れるようになってください。
転職希望者へのメッセージ
並木:
転職希望者に対して、メッセージをいただけますか。
関根様:
コロナ禍で外に出る機会が少なくなったり、世界情勢からの物価高があったりという状況の中でも、楽しく未来を考えていきたいので、入社いただけましたら一緒に議論していきましょう。
アビームコンサルティング株式会社に
ご興味がある方へ
今回特集しましたアビームコンサルティング株式会社様の求人をご紹介します。
ご興味がある方は、下記ボタンよりぜひご応募ください。
■求人
コンサルタント(デジタルによるイノベーション実現)
■業務内容
<入社後のアサイン想定プロジェクト>
・社会、産業、技術の変化をとらえた未来のDX、ビジネス構想
・人の生活の未来をつくる新たな社会システム構想支援
・デジタル戦略策定からビジネス造り、業務改革などのビジネスコンサルティング
・IoT/AIの活用によるデータドリブンでのプロセスの見える化とプロセス改善の施策立案・実行
・データマネジメント構想~データ活用基盤構築~アプリケーション開発
・デジタル技術やデータを用いた社会課題・環境問題解決プロジェクト
・海外スタートアップ共創、エコシステム形成プロジェクト
<直近のプロジェクト事例>
・自治体:官民連携データプラットフォーム事業の推進支援
・食品メーカー:スマートファクトリによる業務改善・働き方改革
・食品メーカー:ユースケース志向のデータマネジメント構想
・プロセスメーカー:未来のビジネス構想
・プロセスメーカー:Co2見える化、GHG対応支援
・公共機関:ODA事業デジタル技術アドバイザー
・公共機関:研究開発型スタートアップ支援
・金融・商社・製造・公共機関など:DX人材育育成支援
■必要スキル
<求める人材像>
■新規ビジネス立上げ、経営課題・業務課題の解決、テクノロジーの活用を介して、クライアントの事業や業務に変革をもたらすコンサルティングに従事したい方
■「論理的思考力」、「高いコミュニケーション能力」、「あきらめずにやり抜く力」、「圧倒的なスピード感」などをお持ちの方
■デジタルテクノロジー(Web3.0/IoT/AI/Industry4.0/FA関連/アナリティクス他)に強い関心を持ち、これらを活用したビジネスモデル造り/新業務プロセス造り/デジタル(IoT/AI)基盤構築/アプリケーション構築における専門性を高めたい方
■国内外のスタートアップ企業、技術やサービスのリサーチ、それらを組み合わせた新たなビジネスを企画・実行できる方
■デジタル技術を活用した途上国支援、地方創生等、社会課題解決に貢献できる方
<経験業種>
■コンサルティングファーム
■SIer
■製造業他、各種事業会社
■インターネット等デジタル技術系ベンチャー
■スタートアップ
<経験業務領域>
■戦略/業務/ITコンサルティング
■経営企画・製品企画・事業企画・営業戦略・生産管理・情報システム
■生産技術・設計開発・研究開発
■クラウド環境構築、アプリケーション開発、ITインフラ構築
■データ分析、画像解析、先端技術(Web3.0等)エンジニア
■UX/UIデザイン、Webデザイン
<経験業務-必須要件>
下記、何れかの業務経験を3年以上有する方。
■戦略/業務/IT関連のコンサルティング経験
■DX戦略、デジタル戦略、データ活用戦略の策定経験
■新規ビジネス・商品戦略などの企業戦略やビジネス企画業務経験
・Web3.0、IoT、AI等デジタル技術を活用した新製品/サービス開発
・デジタル時代のビジネスモデルやエコシステムの構築
・海外スタートアップなど、社外組織との共創によるビジネス企画・推進
■製造業・交通インフラ業界などにおけるIoT等デジタル技術活用の対応経験
・自動車/自部品、組立、プロセスなどの製造業、鉄道、道路、建設業においてIoT/画像解析等、デジタル技術を活用した生産現場・産業現場の変革/改善経験
・R&D、生産技術、生産管理、設備管理部門などにおけるIoT/デジタルツイン等の対応
・設備装置、PLC、MESのエンジニアリング、製品設計・PLM、各種分析業務などに対する深い知見
■社会課題解決・地方創生等のプロジェクト経験
・スマートシティ関連のプロジェクト企画・推進経験
・デジタル技術活用による開発途上国支援業務経験
■Web3.0/IoT/AI関連の開発や関連したシステム構築、及びプロジェクトマネジメント経験
・クラウドアプリケーション構築や機器設計(組込みソフト他)の経験者
・IoT/AIプラットフォームやIoTセンサー/デバイスを連携したシステム基盤の開発
・データマネジメントに関する企画構想、データモデリング、システム基盤の開発経験
・これらに関連するITインフラ、ネットワーク、システムセキュリティ対策、データセンター、クラウドサービス連携の構築
■機械学習や高度な統計解析手法を用いて、データ分析を行い、課題解決まで導いた経験
■UI/UXデザイン、Webデザイン
<歓迎資格/スキル>
・PMP、MBA、中小企業診断士、IoT検定、統計・分析関連資格、情報システム関連、Microsoft Azure/AWS等のクラウド構築関連の資格
・英語(語学力があればグローバルプロジェクトへの参画等キャリアの可能性が広がります)
コトラでは業界動向や今後のキャリアについて無料キャリア相談会を開催しております。
最新の採用動向や非公開求人情報などの情報提供をさせていただきます。
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