【EY新日本有限責任監査法人】次世代のデジタル監査のビジネスモデル「Assurance 4.0」の真髄に迫る。監査法人が“テクノロジー人材”を採用する理由

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2022/9/30放送のコトラTVアーカイブ動画

<EY Japanについて>
2017年に日本の各メンバーファームを出資者として設立したEYジャパン合同会社の下、EY新日本有限責任監査法人、EY税理士法人、EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社などの豊富な業務経験を有するプロフェッショナルが、案件ごとに最適なチームを編成しサービスを提供しています。

EY新日本有限責任監査法人
私たちは、最先端のデジタル技術を活用し、卓越した知見に基づいた保証業務の提供により、ステークホルダーに高い付加価値を与え、グローバルな経済社会の円滑な発展に貢献するプロフェッショナル集団を目指す監査法人です。

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市原 直通(いちはら なおと) 氏

【所属】
EY新日本有限責任監査法人
 AIラボ 副部長
 公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員
 パートナー 公認会計士

【経歴】
2003年、当法人入社。デリバティブの公正価値測定・リスク管理の領域を中心にグローバル投資銀行などの金融機関の監査・アドバイザリーに従事。EYニューヨーク事務所のDerivative Valuation Centerに駐在(2009年から2011年)。2016年に東京大学大学院経済学研究科修了後、不正会計予測モデルの構築など会計データへの統計・機械学習の適用の取り組みを立ち上げ、現在は総勢60名弱の会計データ分析プロダクトの開発運用部署AIラボのリーダーを務める。

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原 貴博(はら たかひろ)氏

【所属】
EY新日本有限責任監査法人
 CoE推進部
 Automation CoEリーダー
 パートナー 公認会計士

【経歴】
2005年、当法人入社。米国上場テクノロジー企業に対する監査、アドバイザリー業務に従事。13年から2年間サンノゼに駐在し、米国のスタートアップ企業の株式公開業務も経験。現在は、監査業務の効率化だけでなく、エコステムを巻き込んだ市場全体の効率化を進めるAutomationチームのリーダー。

Assurance4.0とは

まずは、次代のデジタル監査・保証ビジネスモデルの「Assurance 4.0」について教えて下さい。

市原様:
主に企業の財務諸表を対象として、独立した立場からチェックし、意見として表明するのが、“監査・保証”です。法定監査には一定の基準やガイダンスがありますが、それらの枠にとどまらない独立の立場からのチェックの需要もあり、多種多様な対象に対してさまざまな形でチェックを行うという、より広い概念として保証 (アシュアランス)という言葉を用いています。
手法として以前は全てをくまなくチェックする精査が行われていましたが、最近では取引件数の増加により部分的にチェックを行う監査に変わってきたと言われています。さらに最近はデータ分析を導入してデータ全体の分布や傾向をとらえています。私たちは、これらのステップをAssurance 1.0、 2.0、 3.0と呼んでいます。
これからの監査は企業のDXに合わせてデータにタイムリーにアクセスし、AIを活用して異常を自動的に検知し、監査品質の向上と効率化を進めていきたいと考えています。このモデルが「Assurance 4.0」です。
 今まで公認会計士(以下「会計士)という)が行っていた手作業を部分的にでも自動化することで時間を捻出し、より高度なデータ分析や本質的な検討に振り向けていきます。これにより監査の質を上げ、会計士もよりやりがいを感じながら仕事に向き合えるようになればと考えています。

具体的にはどういった構成要素なのでしょうか。「Smart Audit」という言葉も耳にしたのですが。

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市原様:
 「Assurance 4.0」は、私たちが追求する次代の監査・保証サービスを提供するビジネスモデルのことを指し、大きく3つの要素で構成されています。
 1つ目は「Professionals&CoEs」です。会計士、エンジニア、データサイエンティストなどの多彩なプロフェッショナルが一体となり次代のデジタル監査・保証サービスを担います。2つ目は「Digital Trust」で企業での活用が進むテクノロジーを第三者評価し、デジタル社会の健全な発展を支援します。そして3つ目が「Smart Audit」です。AIやRPAなど最先端のテクノロジーを活用した深度ある監査業務の実現を目標にした未来の監査のことを言います。

人間が対応していた部分をテクノロジーに任せていくということですが、そもそも監査業務を担うマンパワーが足りていないということにも起因するのでしょうか。

原様:
そうですね。企業を取り巻く環境の変化に合わせて、監査で求められる業務も年々増えています。経済社会の発展のために、私たち監査法人は質の高い監査を提供する体制を常に保ち続けなくてはいけません。そのためにも「Smart Audit」を活かしていきたいと思います。現場の目線に立てば、テクノロジー人材も含め監査に関与する人たちがさらに監査の魅力、そして社会的意義を上げていくのが「Smart Audit」の目指すところです。これが実現すれば、対応できる案件もますます増えると思います。

今までは、すべてアナログでやっていたのでしょうか。

市原様:
 監査現場で扱うデータは企業ごとに内容やフォーマットが異なり、そのままでは自動的にシステムで処理を行うことは難しいという課題があります。監査現場でエクセルを用いてデータの加工や分析を行う対応が多いかと思います。

 これは日本だけではなく世界的に同じような状況だと思います。ただ仕訳については海外のEYでツールが開発され、6, 7年くらい前からデータの違いを吸収して標準化し、世界中で同じ分析を行うようになっています。日本では「Assurance 4.0」を目指す取り組みの中で専属チームを立ち上げて、この仕訳分析ツールの利用を進めており、昨年は5,000件近くの分析サポートを行っています。ここでもますます人が必要となります。

“リスク検知力の強化”と“人材不足”の解決策としてのAI活用

今は、DX化については、全世界的にEYとして取り組まれていることなのでしょうか?

市原様:
 はい、EY全体として監査の変革に取り組んでいます。ただ、グローバルの取り組みだけでは、日本の市場にはマッチしない部分もありますし、より早い対応が求められている部分もあります。グローバルの取り組みにプラスして日本でも、テクノロジー人材をより多く採用して自動化や分析の高度化のためのプロダクト開発など対応しています。

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原様:
 「Smart Audit」を実現することが私たちの大きな目標です。グローバルで開発するツールの中で、日本で使えるものは使っていきますし、グローバルでカバーできない部分は日本で開発していくという考え方です。会計システムに関して言えば、欧米ではSAPとオラクルがメジャーで大きなシェアを占めています。しかし、日本ではそこまでではありません。会計システムが違うと、そこから出てくるデータのアウトプットは当然異なります。日本の会計ベンダーや環境に合わせた形で、自動化・分析を進められるほうがスピーディーです。

監査の在り方について、具体的にはどういった未来を想像されているのでしょうか。

市原様:
 問題意識は2つあります。1つは監査法人のリスク検知力を上げることです。監査は契約に基づくチェックであり、できることに限界はありつつも不正を見抜くことが社会から期待されています。2つ目は人材不足です。会計士の人数は、業務量に比べるとかなり不足しています。“リスク検知力の強化”と“人材不足”の解決策としてのAI活用について現在取り組んでいます。

 未来のイメージについては、「クライアントの会計システムと私たちの異常検知システムを連携させ、世界中の子会社を含めたデータがリアルタイムに近い形で自動的に分析される。不自然な動きがあれば、リアルタイムで監査チームに報告があがる。」というものです。今までは四半期ごとや期末にしかわからなかったものが事前にわかることで、問題が浮き彫りになるスピードが早くなり、タイムリーな対応ができるようになります。

原様:
 データを決算時に一括受領してからサンプリングをかけていくことを繰り返していると、どうしてもタイムラグが発生します。私たちのサーバとクライアントの会計システムを直接つなぐことができれば、そのラグはなくなります。私たちの目指す「Smart Audit」は、EY新日本だけではなく、クライアントにとっても大きなメリットです。実は監査用のエビデンスを準備する作業はとても大変で、経理の皆さまには、関係部門から資料を収集することに膨大な負荷がかかっています。リアルタイムのデータ連携が実現すると、そうした手間がなくなり、一気に楽になります。すでにいくつかのベンダーの担当の方と話をしながら進めています。実現に向けて一歩一歩、着実に進んでいると実感しています。

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原様:
 人材の採用という観点では、CoEのオートメーションの中で、今までいなかったテクノロジー人材を採用していくことが重要です。これまで以上に技術者の力がキーになってきます。EY新日本全体の中で強化しなければならないポイントでもあります。

どのような手順で開発していくのでしょうか。

原様:
 まず全体で標準化できるものから対応しています。有価証券報告書や四半期報告書などの開示書類についてはチェックしなければならない作業が多いです。このような開示書類の作成システムのベンダーはほとんどが2つの会社に集約されています。現在、そこの1社とディスカッションし、データ連携をして手続きを自動化しようと進めています。そうなると私たちのクライアントの半分がその1社なので、そこが自動化できます。大きなところから標準化できるようになれば、その先が効率化できます。

仕組みとしては、SaaSのようなものでしょうか。

原様:
 そうですね。現在いくつかのクライアントとそれぞれでデータ連携をしているのですが、もっと効率的なやり方があれば、バージョンアップして、それをプラットフォーム化してつなぐことも考えています。技術者の経験と知識が重要になるので、そういった新しいものを生み出すことを考える方が来てくれるとありがたいです。

どのような方に入社いただきたいですか。

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原様:
現在私たちのチームではさまざまなポジションを募集しています。
会計士と開発者の間で橋渡しのコミュニケーションをするポジション、現場のニーズを要件定義として整理し開発者と一緒につくりあげていくポジション、実際の開発・テスト・不具合対応や既存システムのメンテナンスを担当するポジション、プロジェクトの開始から終了までの技術的なスケジュールや品質管理を担当するマネジメントポジションなどです。

チームは会計士を含め約30名、業務委託の方も含めると50名ほどの大きさです。
会計システム開発経験が有る方はデータ構造を把握されている点で親和性がありますし、そうでなくとも簿記などの資格を通じて会計業界の知識がある方、コンサルティング経験者、自動化を進めるプロジェクトの経験者や内部のさまざまな部門からリクエストを受けて開発をされてきた方はビジネスのポイントも理解しやすく、ご活躍いただける場がたくさんあると思います。

現在は、会計・プログラミング・さまざまなプロジェクト関与経験など、それぞれが自身の専門性を活かしながら、欲しいデータをどうやったら抽出できるか、連携できるか、などアイデア出しをしながらワンチームとなってタッグを組んで開発をしています。

市原様:
AIラボではエンジニアのリーダーとしてチームを牽引していくリードエンジニアを募集しています。現場ニーズのヒアリング、機械学習や統計技術分析などを用いた異常検知モデルのデザインや実装、開発したプロダクトの社内展開からフィードバック収集までさまざまなフェーズに関与いただきたいです。
私たちはRを使っているのですが、統計やデータフレームの取り扱いの経験がある方やチームでの開発経験がある方はぜひ参加いただきたいと考えています。

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リモート、フレックスなど自由に働く場所や時間を選べる

テクノロジー人材にとってのEY新日本の魅力はどんなところにありますでしょうか。

原様:
 「Smart Audit」を含めさまざまなものをオートメーション化していくことは、EY新日本の最重要戦略のひとつです。そこに携われることが一番の魅力ではないかと思います。新しく開発したものが、EY新日本にとってのバリューになりますし、社会的意義につながるのはこの上ない喜びですよね。
プロジェクトで必要だと思った新しい技術なども積極的に採用していますし、勉強会の随時開催やUdemyの無料受講など、スキルアップできる環境を用意しています。
また、働きやすい制度も整っています。遠隔地にいながらオンラインで作業を進められるリモート環境や、業務時間中の中抜け制度、フレックスなど、自由に働く場所や時間を選べ、仕事だけではなく、プライベートも充実させることができます。

市原様:
 監査を通じてさまざまなデータに向き合うことができ、またインハウスのプロダクト開発なので社内のユーザーからフィードバックをもらいながらじっくりと業務に取り組める点を魅力に感じているメンバーは多いです。
また、テクノロジー人材のための人事制度をつくっております。EY全体の方針として、今後データと分析を活用していくということが大きな柱になっており、会計士の組織ということではなく、テクノロジー人材の重要性が高まってきています。

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最後に求職者に対してのメッセージをお願いします。

原様:
 会計・監査を取りまくエコシステム全体を巻き込んで、新しい監査の形を作っていきたいというところはメンバー全員の共通する熱い思いです。一緒に働く方には同じような想いをもって、新しいものをつくっていきたい、そして意欲的に仕事に取り組んでいただけると非常に嬉しいですし、苦楽を共にしたいと思っています。チャレンジ精神がある方、ぜひ一緒に働きましょう!

市原様:
 新しい時代を作り上げていく仲間を募集しています。テクノロジー人材の方にとっては、まだまだ当社の知名度はありませんが、実は隠れた穴場スポットではないかと思っています。労働環境や、チャレンジングなことがしやすいこと、会社の雰囲気なども、少し見ていただければ良さがお分かりになるかと思います。これをきっかけに興味をもっていただければ何よりです。

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CoE Technology Project Manager (マネージャー)
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AIラボ リードAIエンジニア
AIラボ AIツールに関するプロダクト企画・推進(会計士)

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)