人事の仕事をする上で関連資格を取得しておくことは、転職において有利に働きやすくなり、またキャリアアップにも繋がります。資格を取得することで、人事に関する知識やスキルを証明することができ、採用担当者からの信頼を得ることができます。未経験の場合でも資格の取得は転職において大きなアピールポイントとなるでしょう。
本記事では、人事転職に有利となる資格に関して資格の種類や取得方法、資格取得を目指す際の注意点についてご紹介します。
人事転職に有利となる資格
人事転職に有利となる資格について以下6つの資格をご紹介します。種類としては主に対人スキルと労務関連の資格があります。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、従業員や求職者のキャリアコンサルティングを行う専門家です。キャリアコンサルタントになるには、受験資格を満たし国家試験に合格後、名簿に登録をすることでキャリアコンサルタントの資格を取得することができます。
企業内でも活躍の場を広げており、社員の教育研修や従業員のキャリア形成支援、職業生活全般にわたる相談・助言を行うなど、人事職においてキャリアコンサルタントの活躍が期待できます。
資格名 | キャリアコンサルタント |
受験資格 | 下記いずれかの条件に該当すること ・厚生労働大臣認定の養成機関で養成講習を修了する ・職業の選択、職業生活設計、職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談の実務経験 ・キャリアコンサルティング技能検定の学科試験または実技試験に合格する |
難易度 | 合格率 約50~60% |
公式サイト | 特定非営利活動法人日本キャリア開発協会 https://www.jcda-careerex.org/ |
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、心理学的手法によるカウンセリングを行い自らの力で解決できるように支援をします。大学で心理学等を専攻した方や、産業カウンセリングの講座を修了することで産業カウンセラーの資格を取得することができます。
従業員のメンタルヘルス対策や職場での人間関係の悩みに耳を傾け、職場環境改善の支援をするなど人事業務で役立ちます。
資格名 | 産業カウンセラー |
受験資格 | 下記いずれかの条件に該当すること ・協会が実施する産業カウンセリングの講座を修了する ・大学院にて心理学や人間科学等の専攻を修了する ・4年制大学の卒業者で公認心理師に関する所定の単位を取得する |
難易度 | 合格率 約60% |
公式サイト | 一般社団法人日本産業カウンセラー協会 https://www.counselor.or.jp/ |
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメントは、働く人の心の健康管理と活力ある職場作りを目指して従業員のメンタルヘルスケアを行います。受験資格は設けておらず、メンタルヘルス対策に関する知識と対処法を身につけることができます。
近年ストレスチェック制度が導入され従業員のメンタルヘルスケアについて重要性が増しており、人事の業務において役立つ資格です。
資格名 | メンタルヘルス・マネジメント検定 |
受験資格 | なし |
難易度 | 合格率 Ⅰ種:約20%、Ⅱ種:約55%、Ⅲ種:約75% |
公式サイト | メンタルヘルス・マネジメント検定試験 https://www.mental-health.ne.jp/ |
社会保険労務士
社会保険労務士は、社会保険や労務管理に関する法律を専門とする国家資格です。社会保険労務士試験に合格し、実務経験や指定講習を修了することで資格を取得することができます。
社会保険労務士は労務に関する専門家として人事の仕事においても高い評価を得ています。
資格名 | 社会保険労務士 |
受験資格 | 下記いずれかの条件に該当すること ・学歴(四年制の大学等) ・実務経験(公務員や社労士の補助者等) ・社労士試験以外の国家試験に合格 |
難易度 | 合格率 6%前後 |
公式サイト | 社会保険労務士試験オフィシャルサイト https://www.sharosi-siken.or.jp/ |
人事総務検定
人事総務検定は、人事総務の実務や法律関連の知識を習得できる資格です。社会保険労務士試験と通ずる内容が多く、人事総務検定の学習を進めることで社労士試験の対策にもなります。
人事総務検定の資格取得は、人事部で人事総務の仕事に就く上でのアピールポイントになります。
資格名 | 人事総務検定 |
受験資格 | 3級:なし 2級:3級合格者 1級:2級合格者 |
難易度 | 比較的取得しやすい(合格率は非公開) |
公式サイト | 一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会 http://jinjisoumukentei.akibare.ne.jp/ |
マイナンバー実務検定
マイナンバー実務検定は、マイナンバー制度をよく理解して個人情報の適正な取り扱いをするための資格です。公式テキストによる自己学習や協会が実施する対策講座で理解を深めることができます。
近年マイナンバーカードの促進が進んできている背景もあり、人事業務においてもマイナンバー制度に関する知見がある人材は価値が高い傾向にあります。
資格名 | マイナンバー実務検定 |
受験資格 | なし |
難易度 | 3級は比較的易しい 2級・1級は少し難しい(合格率は非公開) |
公式サイト | 一般社団法人全日本情報学習振興協会 https://www.my-number.or.jp/ |
資格取得を目指す際の注意点
資格取得を目指す際に注意点や確認すべきことがあります。例えば、資格を取得する目的を明確にすること、資格取得にかかる費用や学習時間を把握すること、講習会等のフォロー体制を把握することなどが挙げられます。
目的を明確にする
資格取得を目指す際に、目的を明確にすることが大切です。「人事職の転職を実現する」「キャリアアップや年収アップのため」など、資格を取得することで得た知見を業務に役立てるという目的意識をもつことが重要です。そうすることで目標とする資格を選びやすくもなります。また目的に合った資格取得は転職活動のアピールポイントにもなります。
資格を取ることが目的になってしまわないように注意しましょう。
費用や学習時間を把握する
資格取得にかかる費用や学習時間を把握することも視野に入れておきましょう。
資格によって異なりますが、例えばメンタルヘルス・マネジメント検定や人事総務検定は受験料が1万円以内で済むものもあれば、キャリアコンサルタントや産業カウンセラーは実技試験を含めると2~3万円ほどかかります。学習時間においても、書籍など独学で学習を進められる資格もあれば、養成講習を受講するといった一定の学習時間が必要になるものもあります。
目標とする資格取得にかかる費用や学習時間などを、公式サイトで事前によく確認をした上で検討するとよいでしょう。
資格取得後のフォロー体制
資格を取得した後のフォロー体制についても把握をしておきましょう。
資格取得後に協会が実施する勉強会や情報交換会に参加をしたり、更新講習を受講したりすることで知識をより深めることができます。有効期間がある資格は、更新手続きや更新講習の時間なども合わせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
人事の仕事において資格取得で得た知見は業務に活かしやすく、また人事転職においても資格取得は有利に働くことが多いため大きなアピールポイントになります。人事転職や今後の人事業務に役立てるにあたって、自分の目的や希望する仕事に合わせて資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。