GX人材の採用マーケット最新動向と今後の方向性

GX人材の採用マーケット 最新動向と今後の方向性
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カーボンニュートラルや脱炭素をテーマとしたGX(グリーントランスフォーメーション)ビジネスは、近年飛躍的な成長を遂げています。この記事では、GXビジネスの成長と転職市場の動向について詳しく解説します。

GXビジネスの急速な拡大

前述のように、GXビジネスは過去数年間で大きな成長を遂げています。この成長を支えた出来事として、パリ協定やGPIFのPRI署名などが挙げられます。これにより、ビジネスとしての取り組みが始まり、2020年10月に日本国政府が「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表すると、ビジネスの動きがさらに活発化しました。

その後、2022年4月の東証市場再編やTCFD開示要請、2023年5月のGX推進法の成立と官民150兆円の投資促進、GXリーグによるカーボンクレジット市場の創出促進などが追い風となり、GXビジネスが急速に拡大している状況です。

GX転職市場の創出と成長

GXビジネスの成長に伴い、GX転職市場も新たに創出されました。2020年以前にはほとんど存在しなかったマーケットニーズが、2020年以降に急速に拡大し始め、コトラでは、2023年には2021年比で5倍程の新たなGX求人を取り扱いました。

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GX求人に関する新規受注の推移

※「GX、カーボンニュートラル、脱炭素」が仕事内容に含まれる求人案件を抽出

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GXに関する採用ニーズの高まり

事業会社、金融、コンサルティングの各業界でカーボンニュートラルや脱炭素に関する採用ニーズが高まっています。特に事業会社と金融機関でのニーズの伸びが顕著で、2023年のGX求人ニーズは、金融で2021年比8倍、事業会社で6倍となっています。

事業会社

事業会社では、全社的なサステナビリティ推進部門の形成に加え、個別の事業単位・職種単位でもカーボンニュートラルや脱炭素の要素が仕事に取り入れられています。エネルギーや鉄鋼、化学といったエネルギー需要の大きい産業のみならず、IT・デジタルやサービス産業でも需要が高まっており、これには、自社およびサプライチェーン上のGHG排出量の可視化に関するデジタルプラットフォームを提供するようなITサービスも含まれます。

金融機関

金融機関では、メガバンク、信託銀行、投資銀行、運用会社、アセットオーナー、格付機関、金融情報サービス、地域金融機関などでニーズが生じています。サステナブルファイナンス、トランジションファイナンス、GX要素を持ったデットおよびエクイティファイナンス、事業ポートフォリオとM&A、運用におけるESGインテグレーションなど、論点は多岐に渡り、金融スキームとGXを組み合わせた新しいファイナンス手法やトラックレコードが生まれています。
投資に関しては、ESG投資からインパクト投資へと進化しています。これは、単にリスクを低減するだけでなく、社会課題を解決することに重点を置く投資手法です。リスクとリターンに加え、社会的なインパクトも重要な要素として考えられています。この新しい投資概念を実現するためには、専門知識を持ったプロフェッショナルが必要とされます。金融イノベーションの一環として、これから新たに構築していくためのイノベーターが求められていると言えるでしょう。

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GX人材の採用・育成の課題と解決策

コトラでは、2023年には2021年比で約10倍のGX転職者を企業とお繋ぎできましたが、求人企業のニーズは採用実績に比べて大きくなっており、需給ギャップがある状況です。このギャップの原因としては、即戦力人材の不足、新しい領域での採用の難しさ、報酬面での折り合いの難しさが挙げられます。

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GX求人の転職者の推移

※「GX、カーボンニュートラル、脱炭素」が仕事内容に含まれる求人案件で採用された転職者を抽出

こうした課題に対して、コトラでは、情報保護を前提に以下のようなマーケット情報を常にアップデートし、クライアント企業および候補者とコミュニケーションを取っています。
1)マーケットの候補者や即戦力〜ポテンシャルなど各ステージの候補者がどういった志向性を持ちやすい状況であるか
2)各組織や各ミッションで採用されているのはどういった人材か
3)GX人材のマーケットバリューに関する動向

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人材コラボレーションによるGX価値創出

既存のものを組み合わせたり、異なる用途に転用することが、イノベーションの源泉になることが多いですが、これはGX領域でも同様です。転職マーケットにおいても、異なる業界や職種間が重要であり、既存の人材と新たに加わった人材が協力することで、新しい価値が生まれます。
ここではいくつか事例をご紹介します。

事例①:
投資銀行や大手銀行が金融経験のない製造業や公共部門の人材を採用し、金融専門人材とコラボレーションすることでGXチームをリードするなど、エンジニア経験と事業会社の企画業務経験を活かし、M&Aのファイナンス専門家と協力してクライアント企業の事業ポートフォリオ転換を支援。

事例②:
投資運用の業界でも、スチュワードシップの実行という点で、ESGデータの整備と活用、発行体へのエンゲージメントといったGX人材の採用に動きがあり、コンサルティングファームでの経験を持つ人材が投資家としての立場から建設的な働きかけに挑戦するケースが増えている。

事例③:
EPCエンジニアの方が、水素サプライチェーンの開発に関わりたいということで、自身のEPCの専門性を生かす形で、総合商社に転職。

GX人材の採用・育成の将来ビジョンと今後の期待

育成の観点では、資格取得が評価されることも重要だと考えています。例えば、サイバーセキュリティの領域では、転職市場での資格に対する評価が根付いてきており、クライアント側が候補者選考において、研鑽への評価だけでなく、どういった資格を有しているのかも評価しています。GXでも同様の評価が定着することが望まれます。また、会計やセキュリティなど、他分野での資格もGXポジションの中で評価されるようになることも重要だと考えています。例えば、実際のところ、会計系の有資格者は、IFRS S2「気候関連開示」で評価されています。

GXビジネスは民間での発展が期待されていますが、中央官庁や自治体などのパブリックセクターの役割も重要です。民間でのGXプロフェッショナルの採用が活発化する一方で、公的機関でもマーケットバリューやジョブセキュリティを確保した採用が望まれます。官民のプロフェッショナル人材の流動が進むことで、人材育成とパフォーマンスの好循環が生まれ、業界の大きな発展につながると考えられます。

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GXに関する求人ポジション

金融機関

コンサルティングファーム

事業会社

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この記事を書いた人

宮崎達哉

信州大学工学部卒、ゼネコンでの施工管理者を経験した後、三重県庁にて産業政策の企画・運営業務に従事。県庁在籍中に、経済産業省資源エネルギー庁及びNEDOにてエネルギー政策に係る新規事業立案や規制・制度の合理化に従事。デロイトトーマツグループでの地方創生及び教育分野のコンサルティング業務を経て現職。
【担当業界 】ESG/サステナビリティ領域、シンクタンク、コンサルティングファーム、監査法人、パブリックセクター、教育、経営層、管理系人材、技術者