ESG・サステナビリティの新規求人が2倍に増加
- この数年、温度感の高まっていたESG・サステナビリティ領域での転職市場。2021年はより一層の活性化が進み、2020年比で2倍の新規受注をいただいた。
- これまではコンサル業界の求人が比較的多数であったが、本年は、金融業界及び事業会社の新規受注も拡大した。
- この背景として、2021年6月のコーポレートガバナンスコードの改訂(TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォースへの言及など)、2022年4月に予定される東証の市場区分の見直し(プライム・スタンダード・グロースへ)は、外発的要因であろう。
- 他方で、内発的要因として、長期的な企業成長において、人的資本、知的資本、社会・関係資本、自然資本、金融資本を有効に活用する必要性を重視し、サステナビリティ経営やESG投資をビジネスの成長機会として捉える動きが、様々な業界やセクターで加速したことも大きい。
- このような内発的・外発的な要因による各業界における動きとして、まず金融業界においては、メガバンクや証券会社(投資銀行)が、サステナブルファイナンス・トランジションファイナンス・サステナブルボンドなどに関して、推進部署の設置や外部人材の採用に大きく動いた。更にはPE(プライベート・エクイティ)においても、ニーズが生じはじめている。
- コンサルティング業界は、相談が大きく増加している中で、監査法人のコンサルティングユニットや戦略系・会計系ファーム、シンクタンクなどが積極的に採用を継続している。戦略とサステナビリティの融合を支援する機会、実務的な改革を支援する機会が増え、他領域でのコンサルティング経験者、環境やエネルギーの技術的なバックグラウンドを持つ人材など多様なニーズが生じている。
- 事業会社においても、以前は、食品・飲料やアパレル、エネルギーや商社といったビジネスモデル上、環境やサプライチェーンに関わることが比較的多いような業種が求人ニーズを有しているという印象であったが、IT関連など業界を問わず専門人材のニーズが広がっている。
今後のフォーキャスト
- 気候変動問題が大きくクローズアップされ、カーボンニュートラルに向けた企業の取り組みやカーボンプライシングといった市場取引にかかるルール検討などが進んでいる中、TCFDや環境に関する人材にニーズの高まりがあり、今後も継続すると思われる。
- 加えて、自然資本や生物に着目したTNFD(自然関連財務開示タスクフォース)が2021年6月に発足し、今後はTCFDに加えて、TNFDに関する取り組みも加速することが想定される。
- またビジネス活動の推進やイノベーションを生み出すのは、やはり「ひと」であり、人的資本に関して一層注目度が上がると考えている。米国では、SEC上場企業へ人的資本に関する開示の義務化が2020年11月になされており、ISO30414等において、国際的なガイドラインが示されている。国内においても経済産業省が2020年9月の人材版伊藤レポートの公表も踏まえて、「人的資本経営」を推進するための調査を2021年9月に実施。官民での人的資本を巡る動きは、転職マーケットにも影響を生み出すに違いない。
- ESG・サステナビリティに関しては発展途上であり、ビジネスの新しい動き常に生じており、結果として2022年も様々な観点から人材ニーズを生じるものと考える。
- ビジネスセクターの金融、コンサル、事業会社で様々なニーズがあり、同業同士はもとより、他業界での経験者、あるいはパブリック・ソーシャルセクターの経験者、未経験でも意欲や生かせる経験のある方には、引き続きチャンスは多い。
- ぜひキャリアのご相談、転職マーケットにおける情報交換、求人ニーズのご依頼などお気軽にご連絡をいただきたい。
- また、人的資本に関しては、弊社コトラにおいても、サービス提供を開始している。ISO30414 Lead Auditor/Consultant Certificationを取得したコンサルタントが中心となり、クライアント企業へのサービス提供やセミナーの実施を行っていることから、ぜひご相談をいただきたい。
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