欧州を中心に世界でカーボンニュートラル化が急速に進む中、日本においても急ピッチでカーボンニュートラルに向けた動きが進んでいます。本記事では、国内洋上風力発電事業者の選定結果速報から紐解く、具体化するビジネスと求人ニーズについて解説します。
洋上風力とは
陸上に設置されているような風力発電の設備を海に浮かべたり、海底に挿したりするイメージです。浮体式という風車を海上に浮かべる取組みが、世界的に加速化しています。浅い海域が少なく、水深が深い海域が多いため、日本でも浮体式洋上風力発電の導入が進んでいます。
選定事業に選ばれた企業
第1ラウンドは、全3海域全て三菱商事が中心となった企業連合が事業者として選定されました。
第2ラウンドは、対象海域が最も広い新潟県村上市・胎内市沖に関しては、三井物産が中心となり、 RWE Offshore Wind Japanや大阪ガスの計3社で構成されている企業連合、村上胎内洋上風力コンソーシアムが選定されています。また、長崎市西海市江島沖は、住友商事、東京電力リニューアブルパワーの2社で構成されているみらいえのしまコンソーシアムが選定されました。
選定ポイント
2022年の第1ラウンドでは、価格や事業の実現可能性が主要な評価基準となっていました。しかし、2023年に決定された第2ラウンドでは、運転開始の予定時期が最重視されました。これは、補助金制度の変更により、国が補助金を上乗せするFIP制度(Feed-in Premium)が導入され、入札価格が全て下限値で競われるようになったためです。その結果、選定の焦点は運転開始予定時期に移りました。
洋上風力発電が注目されている理由
大量導入の期待
日本は四方を海で囲まれており、陸地の面積が小さいです。既に陸上には、メガソーラーや風力発電が設置され、風力発電の建設候補地が枯渇しています。ですが、海上はまだまだ導入できる海域があるという点で、大量導入に期待が持てます。また日本の海上は世界と比較し安定して風が吹くというところでも、期待されています。
安価な電力
技術の進歩が世界的に加速しており、プロジェクトの大型化や建設作業の効率化が進む中で、発電コストが急速に下がっています。その結果、安価での電力供給が期待されています。
大きな経済波及効果
洋上風力発電の設備自体は部品数が多く、約3万点必要です。また事業規模自体が数千億円に至る場合もあり、プロペラの開発や洋上風力を建設するための船といった関連産業による地域活性化も大いに期待されています。
今後の展望・可能性
政府は、2050年までに日本でカーボンニュートラルを達成するために、さまざまな施策を講じています。その一環として、「洋上風力産業ビジョン」を策定し、2030年までに10GW、2040年までに浮体式で約45GWの洋上風力発電での案件組成を目標として示しています。
さらに、洋上風力発電の推進を加速するため、国が主導となって洋上風力発電事業の実施可能な促進区域を指定した「再生可能エネルギー海域利用法」を創設しております。この再生可能エネルギー海域利用法に関しては、国がここで風力発電をして良いということを明確に定めるものであり、ますます加速化が進んでいくと言えます。
第3ラウンドに関しても2024年12月に公募の結果が発表されるなど、日本の海岸に多くの風車が並ぶ光景が見られるのも遠くない未来となるでしょう。
企業の求人ニーズ
事業者に選定されているような総合商社、エネルギー事業者、機械をつくるエンジニアリング会社において求人ニーズが顕在化しています。
また、資金面でも、プロジェクトファイナンスや資金調達が非常に重要となっているため、メガバンク、ノンバンク・リース会社、投資銀行・証券会社からも求人ニーズが生じています。
脱炭素という観点に関しては、一般の事業者、金融機関のビジネスに対して、専門的な助言等をするFASやシンクタンク、コンサルティング会社においても人材ニーズが非常に高まっています。
面接対策
どの企業にも共通する一般的な対策に加えて、エネルギー業界、世界的潮流の動向や会社が掲げている中期経営計画、目指すべき姿をインプットすることが大切です。カーボンニュートラルや新エネルギーの利用についても押さえておくべきです。また、社会貢献を非常に大切にされている企業が多いため、企業理念への共感も重要になります。エネルギー業界に特化した対策であれば、開発から供給までの中で、どの立ち位置で何をやりたいか、強く理由付けしていくことが大事です。
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