枝松健志 
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企業の最高財務責任者CFO（Chief Financial Officer）の役割は様々です。将来的に社長の右腕として活躍したい、会社を成長させたい、一方で、その求められる役割とスキルの多様さに困惑する方もいらっしゃるかもしれません。
CFOに求められる経験
資金調達・財務責任者、というイメージのCFOですが、実際どのような方がCFOになっているのでしょうか。
監査法人、事業会社にて経理財務部長 等
結果を数字にし、決算書類を作成するための管理会計や予実管理の知識は必須となります。上場企業であればIFRSなど国際会計基準の知識、海外に子会社がある場合は英語力が必要となる場合もあります。中小企業では日本国内の会計基準の知識にプラスして、銀行との関係性を構築できる対人能力も重視されるでしょう。経理のスペシャリストとしてのCFOといえるかもしれません。
銀行/証券会社、ベンチャーキャピタル/PEファンド 等
資金調達は企業の成長に非常に重要です。資金調達には、金融機関からの借り入れ、社債発行による資金調達と、株式の増資による資金調達という、大きく分けて２つの方法があります。財務や損益状況をコントロールして不利な局面に陥らないように運営するスキル、資本政策を意識し、経営とのバランスを考えた資金調達を実現するスキルなど、いすれも難易度が高いものとなります。お金を貸す側の事情を熟知している金融経験者は、資金調達に強いCFOとして期待されます。
戦略系/経営企画系コンサルティングファーム、大手企業の企画部門責任者 等
これからのCFOには、数値を整理報告するだけでなく、企業の全体を把握し現在または将来の課題と改善策を提示し、KPIに落として現場を巻き込みながらPDCAを回すという、経営企画的な役割が求められています。
一つの現象として、事業承継案件の増加が上げられます。後継者不在のオーナー企業が、バイアウトファンド等の投資先となる事例です。オーナー企業は、ファンド等が求めるレベルの管理ができていない、会社の実態が見え難い状況になっていることも多くあります。企業のバリューアップのために、実態をしっかりと把握し、正確な数字を出し、改善策を提示し実行管理する経営企画的な役割を担うCFOが、今後は更に求められてくるでしょう。
上記のような経験が無いとCFOになれないのか
急成長中のスタートアップ企業などは、高度なスキルを持つ人よりも、事業、社長の考え、カルチャー等に共感して一緒に頑張ってくれる、成長してくれる人を求める場合もあります。外部の専門家・企業（会計事務所、社労士事務所等）を上手く使うという方法もあり、高度なスキル、多様な経験がなくても、分析力、論理的思考力、人柄、諦めない思考等が評価されてベンチャー企業のCFOに転職する事例もあります。
業界経験は必要か
他のCxOと比較すると、業界経験を求められることは多くありません。一方で、ビジネスの理解は、業績を把握するために重視される場合もあります。アパレル、外食などであれば、1店舗あたりの損益分析に長けた多店舗展開企業経験のある人、原価計算が必要なためメーカー経験は必須、というように、ビジネスの特徴が似ている業界出身者を求める傾向はあります。
CFOを目指すにあたって
CFOは経営の一角を担います。社長の人物タイプ、部下となるスタッフの人数や組織構成、カルチャーなども重要なポイントとなります。入社前に把握するのは難しいことも多々ありますが、エージェント等を利用しつつ、事前に情報を収集しておきましょう。
CFOに求められる役割は多種多様ですが、経営に参画できるという醍醐味があります。是非一度検討してみてはいかがでしょうか。
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