本日は、ベンチャーキャピタルとPEファンドの違いについて解説していきます。
昨今、未経験からファンドビジネスへの転職が増えてきています。今後も引き続き広い門戸開放が予想される反面、まだまだ経験者が少なく一般的に認知が進んでいない業界の一つでもあります。特にプライベートエクイティ(PE)やベンチャーキャピタル(VC)等は、ファンドビジネスの中心的存在である一方で、ビジネスモデルが非常に似通っておりよく混同されやすい業種でもあります。
本記事では、PEとVCの違いについて解説していきます。
投資手法について
出資比率 | 投資期間 | EXIT手法 | |
PE(プライベートエクィティ) | 51%以上 | 3~4年 | トレードセール |
VC(ベンチャーキャピタル) | 30%以下 | 10年 | IPO |
PEの投資手法
PEファンドは、機関投資家や個人投資家から資金を集めて未上場企業に投資を行うファンドです。
PEファンドは、直接的に経営に関与することで企業価値を高めようとする傾向が強く、過半数(51%)以上出資して経営権を取得することがほとんどです。
また、投資期間は3年から5年が多いです。ファンドの中には、7年間以上と長期に渡って経営支援を行っていくところもあります。
投資ファンドの主なEXIT手法としては、「IPO(新規上場)」と「トレードセール(他社への株式譲渡)」の二通りが挙げられますが、PEファンドにおいては中でも後者(トレードセール)が多いです。
VCの投資手法
VCは未上場の新興企業に出資を行う投資企業・ファンドを意味し、当該企業が上場した際に株式を売却することで利益を得ます。
VCの特徴としては、経営権を取得して直接ビジネスに参画していくのではなく、あくまで助言する立場として経営者とともに伴走する点が挙げられます。投資期間としても10年前後と、長期間に渡って経営支援を行っているところが多いと言えます。
EXIT手法としては、元々未上場の新興企業を上場させるという目的に沿って投資を行っている点からも分かるとおり、IPOによるEXITが多いです。
ファイナンス面や投資後の関わり方の違い
ファイナンス | 投資家 | 投資後の関わり方 | |
PE | LBOローンを活用 | 国内外の機関投資家 ※一部個人投資家からの出資もあり | 経営への参画 |
VC | 特に活用しない | ・機関投資家 ・事業会社のLP出資 | 助言 |
PEのファイナンス・投資後の関わり方
主なファイナンスにおける資金調達手段としては、銀行を始めとした金融機関によるLBOが一般的です。LBOによる調達手段は投資ファンドにとって非常に投資効率が高く、自己資金の多寡によらず多大なリターンを獲得することができるようになります。
もちろん国内外の機関投資家からの投資も重要です。特に昨今では、海外投資家からの出資ケースも増えてきているため、英語力が求められるケースも増加しています。
前述したように、PEファンドは過半数以上出資して経営権を取得することがほとんどです。そのため企業の経営に深く関与するケースが多いので、投資に限らず投資先企業に深く影響を与えたい方におすすめです。
VCのファイナンス・投資後の関わり方
投資に際して複雑なファイナンスを活用することはほとんどありませんが、ファンド組成の際には機関投資家のみならず、事業会社もLP出資している場合が多いです。
スタートアップ企業に数十億を超える莫大な資金を投資するにあたって、単独でのファンド組成は困難を極めます。事業会社からのLP出資を募ることで投資を実行していく手段が主流になります。
投資後は外部から助言する立場に終始することが多く、経営者と伴走しながら上場を目指していくようになります。
投資先の違い
(投資対象の)業種 | (投資対象の)企業ステージ | |
PE | 限定せず | 創業期以外限定せず |
VC | 限定せず | 創業期〜IPO |
PEの投資先
まず投資対象の業種に関して、(VCについても言えることですが)特定の業種に限らずに幅広く投資を行っています。一方で、ファンドの種類によっては投資対象を限定する場合もありますので注意が必要です。
次に、会社の規模に関してです。こちらも基本的に幅広に対応しており、会社の規模(ラージ・ミドル・スモール)によって、柔軟に投資手法や投資後の関わり方を変えていきます。PEファンドによっては特定規模に限定して投資を行うところもありますので、転職の際にはファンドの主な投資先の規模にも注目し、ご自身の志向に合ったファンドを見つけることが大切です。
VCの投資先
まず投資対象の業種に関してです。VCもPEファンドと同様に幅広く投資を行っていますが、中でも成長産業を重視している傾向が強いです。そもそもVCには新しい産業を起こすためのリスクマネーを供給するという役割があり、成長産業を中心に資金を投入することは意義にかなっていると言えます。
また、未上場の新興企業を上場させるという目的からもわかるように、創業期からIPO直前のベンチャー企業を中心に支援を行っています。こちらは4つのステージに割り振られ、それぞれのステージに応じて投資手法や投資後の関わり方が変化します。
【参考:各ステージ】
・シードステージ :サービス準備や初期チームが形成された段階
・アーリーステージ:サービス開始直後
・ミドルステージ :企業としてスケールを行っている段階
・レイターステージ:さらなるスケールアップや上場を目指す段階
求められる経験や向いている人材
PEファンドに求められる経験や向いている人材
・ファイナンス面に強い
・経営に強い
・プロジェクトマネジメント力
そもそも、PEはファンドのファイナンス組成から経営まで幅広く携わっていく業種です。そのためファイナンスや経営に対して明るい知見があると、PEファンドで活躍できる人材として評価されやすいです。またファイナンス組成や経営にあたっては、様々な関係者とともに業務にあたっていく必要がありますので、折衝やコミュニケーション能力を活かしてプロジェクトを前面で推進させることができる方に関しても活躍が見込めます。
VCに求められる経験や向いている人材
・ベンチャー企業支援に対する熱意を持った方
・投資先の領域に知見がある方
・(レイターステージ)BS/PL等のファイナンス知識
VCのメイン投資先は、成長分野に位置するベンチャー企業です。そのためベンチャー企業支援に対して強い熱意を持っている方に向けて、ポテンシャル採用が開かれる場合も多々あります。またこれに付随して、投資先領域に知見があり活躍の見込みがある方、レイターステージ以降で重要となってくるファイナンス知識がある方についても高い適性が認められます。
さらに起業家と話す機会も多いため、起業経験等がある方も実経験に基づいて活躍しやすいです。
PE・VCに共通して向いている人材の特徴
・協調性
・リーダーシップ
・辛抱強さ
・ストレス耐性
・ビジネスに対する知的好奇心・探究心
PE・VCとも、ビジネスを成就させるための力が求められます。特にリスクありきで企業に向き合っていくことになるため、ときに予測し得ない事態に巻き込まれることもあります。そのような事態に遭遇した場合、スピーディーかつ落ち着いて適切に対応することが求められます。
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まとめ
以上、PEとVC の違いというテーマでお送りしました。ファンドビジネスへの理解の一助となれば幸いです。コトラでは PEや VC の求人を豊富に取り扱っておりますので、ご興味ある方はぜひお気軽にお問い合わせください。