ビッグデータやAIの普及に伴い、これから益々需要の高まりが予測される「データベースエンジニア」について解説します!
データベースエンジニアとは
データベースエンジニアは、ソフトウェア開発に不可欠な、データベースの設計、開発、管理、運用、保守を担当するエンジニアです。
「データベース(DB)」とは、コンピューターで利用するデータを整理・統合して、検索・共有・再利用しやすくしたデータの集合です。さらに、このデータベースを管理する専用のソフトウェアを「データベース管理システム(DBMS)」と呼びます。このデータベースやDBMSを扱う専門家が「データベースエンジニア」です。
さらに、データベースを利用する場合には、データのフォーマットと関係性をシステムごとに定義して、データの格納環境の構築を行います。データベースエンジニアは、この環境構築やその利用に関連した仕事も行います。
システムエンジニア・サーバーエンジニアとの違い
「データベースエンジニア」と似ている仕事として、よく混同される「システムエンジニア」や「サーバーエンジニア」がありますので、それぞれの業務内容の違いを紹介します。
- データベースエンジニア:データベースに特化し、設計・構築・管理・運用を担当
- システムエンジニア(SE):情報システム全般の企画から運用・保守までを担当
- サーバーエンジニア:サーバー、ネットワークエンジニアはネットワークに特化して設計・構築・運用・保守を担当
データベースエンジニアの仕事内容
データベースエンジニアの仕事は、大きく分けて「データベースの設計・開発」「データベースの管理」「データベースの運用・保守」に分けられます。それぞれの内容についてみていきましょう!
データベースの設計・開発
システム開発プロジェクトにおいて、データベースの設計や開発を担当します。
データベースエンジニアは、クライアントのシステムのデータベースに対する要求(管理したいデータの種類や属性)を分析し、負荷分散やセキュリティも考慮して最適なデータベースを設計・構築します。
いくつかあるデータベース管理システムの中でも、よく取り扱うのは、「Oracle(オラクル)」や「Microsoft SQL Server(マイクロソフト エスキューエル サーバー)」です。
これらデータベースの特性をよく理解し、システム要件に対して最適な製品を選定するのもデータベースエンジニアの仕事です。
データベースの管理
データベースはサーバー上で管理されています。
このため、設計・開発したデータベースで、長期にわたってスムーズに、データを保存・利用できるように、サーバーの最適化や効率化を図ります。インフラやSQLのチューニング、データのパラメータ設定の改善や管理も重要な業務の一つです。また、機密情報や個人情報を守るためにも、データベースのセキュリティや障害対応なども十分考慮して、最適な状態を構築して監視を行います。
データベースの運用、保守
開発が完了し、データベースがセットアップされたら、運用業務を行います。現場の状況に合わせて、データベースに対し、アクセス権の設定やデータのバックアップ、セキュリティ対策などを行います。このような運用業務を主に行うエンジニアは「運用系エンジニア」と呼ばれ、設計・開発されたデータベースが適切に保存され、問題なく継続的に稼働できるように定期的なメンテナンス業務を行います。また、サポート期限が近づいてきた際には、バージョンアップなどの保守業務も行います。
データベースエンジニアに求められる知識・スキル
この項目では、データベースエンジニアに求められる多様な知識とスキルを紹介していきます!
情報システムに関する知識
データベースエンジニアは、データベースに関する知識だけでなく、サーバーやネットワークといった、ITインフラ全般に関わる、幅広い知識が必要です。
組織のIT戦略や情報技術の活用に関する方針を十分に理解し、現在利用中のシステムを、多方面(セキュリティ性や可用性、拡張性、機能性、コスト面)から評価し、多様な技術の中からこれらの要求を満たす、最適なソリューション方法を見つけ出し、提案できる能力が求められます。
OracleやMySQL、PostgreSQL、Microsoft SQL Serverなど、主要なデータベース製品についての知識があると、データベースエンジニアへの転職活動の際にも有利になります。
システム開発に関する知識
データベース開発はシステム開発の一部です。
このため、データベースに関わる部分の要件定義だけでなく、開発工数の算定や必要となる製品の選定など、システム開発の上流工程における知識やスキルも必要となります。
データベースに関する知識・スキル
Oracle製品やSQL Server、MySQL、PostgreSQLなどの主要なデータベースソフトを扱うスキルやSQL言語についての深い理解が求められます。また、NoSQLなど最新のデータベース技術について、常にキャッチアップしておく必要があります。データの利活用方法についても、データウェアハウスやデータマート、データマイニング、データクレンジングなど、幅広い知識とスキルが求められます。
データモデルに関する知識
データベースエンジニアは、システム利用者の要求から、システムが対象とする業務を概念データモデルで表現します。このため、システム化するための論理データモデルの作成や、物理データモデルの知識も求められます。
セキュリティに関する知識とスキル
データベースエンジニアは、データベースへの不正侵入やデータ流出を防ぐためのセキュリティも担当するため、セキュリティの知識も求められます。アクセス権の付与、アクセス制御、データ暗号化などを適切に実装していく必要があります。また、データベースへの攻撃に対する知識や、データベース操作に関するセキュアコーディングの知識なども役立ちます。
コミュニケーションスキル
データベースエンジニアは、データベースを構築する際に、データの取り扱いなどについて、クライアントの意向を十分に反映させる必要があります。また、他部門と協力して仕事を進めていくことも多いため、円滑なコミュニケーションスキルも求められます。
論理的思考力
物事に対して、道筋を立てて考えられる論理的思考力も必要とされます。データの使用者、使用目的を明確にし、論理的に考え、最適なデータベースを導き出すことのできる能力は、エンジニアとしてデータベース以外の仕事をする上でも役に立ちます。
客観的な視点
データベースエンジニアは、クライアントの要望に沿ったデータベースを構築することが求められます。このため、客観的な視点を持ち、具体的な数値や事例を元に、クライアントのニーズに応えられる判断をする必要があります。
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データベースエンジニアに役立つ資格
データベースエンジニアに必須の資格はありませんが、持っておくと有利となる資格を紹介します。
◯情報処理技術者試験
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の運営する国家資格試験で、スキルレベルやカテゴリによって試験が分かれています。
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験は、ITエンジニアとして総合的な能力を示すことのできる試験ですが、その試験範囲にはデータベースに関わるものも含まれているため、データベースエンジニアとしてもスキルを示すことが可能です。
◯データベーススペシャリスト試験
IPA主催の、高度専門職向けの資格で、最高難易度の試験です。
データベーススペシャリストの資格を取得すると、専門家として高いスキルレベルを持っていることを示すことができます。試験は、長文問題や記述式の問題があることから、通信教育などの講座で、長文読解と論述力を鍛え、試験に望む人も多いようです。
◯オラクルマスター
日本オラクル社が公式に運営している試験で、オラクル社のデータベース製品「Oracle Database」についての知識や技能を認定する資格です。試験ではデータベースの管理・運用、SQLの知識等が問われます。
Oracle Database は世界トップのシェアを持っているので、ORACLE MASTER を保有していることは、世界トップのシェアのデータベースを扱える証明となります。
◯OSS-DB技術者認定試験
特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)の運営するベンダーニュートラルな試験です。オープンソースデータベース(OSS-DB)に関する技術力と知識を証明できる資格です。
データベースエンジニアの将来性
近年のAI関連技術の発達に伴い、データベースエンジニアの将来性は高まっています。
なぜならば、ビッグデータやAIなどの先端技術は、データベースの技術によって支えられており、データベースなくしては、機能しないからです。
このため、今後は特に、ビッグデータの管理のための、大規模データベースの設計・開発ができるデータベースエンジニアの需要が高まっていくものと予想されます。
その一方で、データベースの運用保守・管理を専門的に行うデータベースエンジニアの求人は減少傾向です。
今後、データベースエンジニアとして活躍を続けていくためには、運用・保守・管理に関するデータベースの知識やスキルに加えて、周辺のプログラミング等のITスキル・知識を身につけることが重要です。
データベースの設計・構築を専門とするデータベースエンジニアは、データベースの設計、構築が発生する大規模プロジェクトなど、今後さらに活躍の場は広がっていくものと予測されます。
データベースエンジニアの活躍の場
今後、さらに活躍の場が広がっていくと予想されているデータベースエンジニアですが、ここでは、その活躍の場について、いくつか紹介します!
データベースソフトメーカーでソフトウェア開発に携わる
ITシステムには、OracleやSQL Server、PostgreSQL、MySQLなど様々なデータベースソフトウェアが使用されており、これらのソフトウェアは機能の修正や改善などのために、アップデートし続ける必要があります。
このため、各データベースソフトメーカーは、自社のソフトウェア開発者として、高度なスキルや知識、ノウハウを持ったデータベースエンジニアを求めています。
データベースソフトメーカーは、データベースエンジニアが活躍できる場所であると共に、データベースに関する新たな技術を学ぶことのできる環境と言えます。
SIerでデータベースの設計・構築に携わる
近年はデータベースのパッケージ製品化が進んでいますが、大規模なシステム開発では、データベースの性能や効率向上のために、データベースの設計や構築を行う場合も多くあります。
特に、大手SIerでは、金融系や官公庁系などの大規模システム案件を扱うことが多く、データベースエンジニアが活躍できる場所といえます。このような大規模なシステム開発は、チームで業務を進めることが多いので、プロジェクトマネジメントスキルも求められます。
SIer、IT企業でデータサイエンス基盤の構築に携わる
SIerをはじめとしたITベンチャー企業などでは、IoTやWebシステム等の外部のシステムからデータを収集、蓄積して、整理、分析するデータサイエンスの基盤の構築を担っています。
データベースは、ビッグデータやAIによる機械学習にも利用されているので、データサイエンス基盤の構築業務を行う、SIerやITベンチャー企業などにも、データベースエンジニアの活躍の場は広がっています。
事業会社でエンジニアとしてデータベースの運用や管理を担当する
事業会社の情報システム部門のエンジニアとして、データベースの運用や管理業務を行うデータベースエンジニアもいます。事業会社では、データベース専門のエンジニアというポジションはあまりありませんが、データベースエンジニアとしての知識や技術を活用して、効率的にシステムの運用、管理を行うことで、付加価値があるエンジニアとして活躍するケースもあります。
まとめ
近年では、データベースの運用・保守・管理を主に行うデータベースエンジニアの求人は減少傾向にあります。
一方で、ビッグデータやAI関連技術などの最新技術の普及に伴い、大規模データベースの設計・開発ができるデータベースエンジニアの需要は今後さらに高まっていくものと予想されます。
さらに、データサイエンスやデータ分析を活用したコンサルティングスキル、セキュリティに関する知識や技術など、付加価値を身につけることで、より一層活躍の場を広げていくことができます。
データベースエンジニアへの転職を考えている方、データベースエンジニアとして今後さらに活躍の場を広げていきたい方は、ぜひこの記事を参考に、スキルアップに挑戦してみてください!
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