はじめに
法務部門での契約審査や債権管理、訴訟対応などの経験は、債権回収専門会社であるサービサーにおいても極めて実務的に役立ちます。特に法的リスクへの対応力やドキュメンテーション能力、利害関係者との折衝力は、サービサー業務の中核となるスキルです。本記事では、法務からサービサーへ転職するためのステップとポイントを詳しく解説します。
1. サービサーの主な業務
- 不良債権(NPL)の管理・回収業務
- 債権譲渡に関わる契約管理・ドキュメント整備
- 債務者との交渉(任意整理・和解交渉など)
- 訴訟・差押・競売などの法的手続きへの対応
- 不動産担保の評価や売却支援
2. 法務出身者が向いている理由
- 契約知識:債権譲渡や担保権設定に関する理解がある
- 訴訟経験:債権回収における法的手続きの経験が活かせる
- 交渉力:紛争調整や利害関係者との対応に強みがある
- コンプライアンス意識:債権管理における倫理的対応が可能
3. 求められるスキルセット
- 民法・会社法・民事執行法の知識
- 債権回収スキーム・任意整理・民事再生の理解
- 契約書レビュー・作成能力
- ドキュメンテーション能力(合意書・訴訟書類等)
- 司法書士・宅建・ビジネス実務法務検定などの資格
4. 転職成功のためのステップ
- 関わった債権関連業務の実績を整理
- 訴訟・交渉の経験を言語化しておく
- 金融や不動産担保に関する基礎知識を復習
- 契約・訴訟文書のサンプルを成果として提示
- 法律知識を活かして債権回収に貢献する姿勢を示す
5. 志望動機(例文)
これまで企業法務において契約管理、債権保全、訴訟対応などの業務に携わってまいりました。中でも債権管理や係争案件を通じて、実効的な回収スキームや交渉スキルの重要性を実感し、債権回収の専門家として社会貢献性の高い業務に携わりたいと考えるようになりました。今後は、法務で培った知見と交渉力を活かし、貴社の債権回収業務に貢献してまいります。
6. 職務経歴書(サンプル)
【氏名】佐藤 彩(仮名) 【連絡先】aya@example.com / 080-xxxx-xxxx 【職務要約】 上場企業の法務部門にて、契約書作成・審査、債権回収支援、訴訟対応、社内規程整備などを担当。係争案件や不良債権管理を通じて、債務者対応や担保整理にも従事。今後はサービサーとして債権回収のプロフェッショナルを目指す。 【職務経歴】 株式会社○○(2018年4月~現在) 所属:法務部 職位:主任 ■主な実績: ・債権回収案件(100万円以上)の訴訟対応を15件以上担当 ・任意整理における債務者交渉および和解契約の作成 ・不動産担保権実行に関する手続き支援(差押・競売) ・社内規程の見直しと再発防止フローの策定 【資格】 ・ビジネス実務法務検定2級 ・宅地建物取引士 ・TOEIC 800点 【学歴】 ○○大学 法学部 卒業(2018年3月)