はじめに
総務部門で幅広い業務を担ってきた方の中には、労務管理や給与計算といった人事・労務分野へ専門性を深めた転職を志すケースが増えています。働き方改革、社会保険制度の複雑化、メンタルヘルス対応などにより、企業内の労務管理の重要性は年々高まっています。本記事では、総務から労務・給与業務へ転職するためのステップとその実践ポイントを解説します。
1. 労務管理・給与計算の主な業務
- 勤怠管理システムの運用・チェック
- 給与計算・賞与計算・年末調整業務
- 社会保険・雇用保険の手続き(取得・喪失・扶養異動など)
- 就業規則や社内制度の整備・更新
- 労基署対応・労使協定の締結支援
2. 総務出身者が労務・給与分野に向いている理由
- 規程・社内制度への理解:制度文書の作成や周知経験がある
- 正確性とスピードを要する実務処理能力:多様な事務作業を正確にこなしてきた経験
- 関係部署との調整力:人事・経理・上長などとの折衝経験がある
- 従業員対応力:社内問い合わせや窓口対応などの経験
3. 求められるスキルセット
- 給与計算ソフト(freee、弥生、PCA等)の操作経験
- 労働基準法・労働契約法・社会保険法などの基礎知識
- Excel関数(IF、VLOOKUP、ピボットなど)による処理力
- 労務関連の実務書類作成・提出スキル
- 人事労務関連の資格(社労士、給与計算実務能力検定など)があれば尚可
4. 転職成功のためのステップ
- 総務業務のうち、人事・労務に関連した経験を棚卸し
- 給与計算・社保手続きの流れを学び、実務演習を行う
- 資格取得を検討(給与計算実務能力検定、社労士など)
- 転職先の業界特性(製造業・IT・医療等)に応じた知識補強
- 「幅広い業務経験+労務特化志向」でアピール
5. 志望動機(例文)
これまで総務部門にて、勤怠管理、入退社手続き、各種規程の管理・運用などを通じて、従業員の働きやすさを支える業務に携わってまいりました。なかでも労務管理や給与計算に関連する業務に大きなやりがいを感じ、今後は専門性を高めるキャリアを築きたいと考えるようになりました。 貴社の人事労務体制を支える一員として、正確かつ迅速な処理と、従業員目線での対応を心がけて貢献してまいりたいと考えております。
6. 職務経歴書(サンプル)
【氏名】伊藤 裕子(仮名) 【連絡先】yuko@example.com / 080-xxxx-xxxx 【職務要約】 総務部門にて、勤怠管理、入退社対応、規程管理、給与関連データのチェック、社労士事務所との連携などを担当。労務・給与業務へのキャリア展開を志向。 【職務経歴】 株式会社○○(2019年4月~現在) 所属:管理本部 総務グループ 職位:主任 ■主な実績: ・勤怠管理(打刻チェック・残業申請の差戻し対応など) ・社労士との連携による社会保険取得・喪失手続 ・給与明細データ確認・賞与支給準備補助 ・就業規則の改訂補助・社内説明会の運営 【資格】 ・給与計算実務能力検定2級 ・日商簿記2級 ・TOEIC 730点 【学歴】 ○○大学 法学部 法律学科 卒業(2019年3月)