事業再生コンサルタントとして、財務分析やキャッシュフロー改善、金融機関との交渉などを行ってきた経験は、クレジットアナリストとしての職務に極めて有効です。企業の実態把握力やリスク感度は、信用リスクを評価するプロフェッショナルに求められる本質的なスキルでもあります。本記事では、事業再生からクレジットアナリストへの転職を目指す方に向け、必要なスキルやステップ、志望動機・職務経歴書の記載例を紹介します。
目次
- 1. 事業再生と審査・クレジットアナリストの違い
- 2. 活かせるスキルと経験
- 3. 転職を成功させるステップ
- 4. 求められる知識と補完方法
- 5. 職務経歴書の記載例
- 6. 志望動機の記載例
- 7. まとめ
1. 事業再生と審査・クレジットアナリストの違い
項目 | 事業再生コンサルタント | クレジットアナリスト(審査) |
---|---|---|
目的 | 経営改善、キャッシュフロー安定化 | 信用リスクの的確な評価と与信判断 |
主な業務 | 財務分析、再生計画立案、債権者調整 | 財務・定性分析、格付評価、モニタリング |
関与スタンス | 経営支援・再建計画立案 | 金融機関の中立的・客観的立場 |
2. 活かせるスキルと経験
- 財務諸表の読解・キャッシュフロー分析力
- 定性評価・業界分析の知見
- 企業との対話・ヒアリング能力
- 事業・財務リスクを多面的に捉える視点
- Excel・PowerPointを活用したレポーティングスキル
3. 転職を成功させるステップ
- クレジットアナリストの役割と評価軸(定量・定性)を理解
- 事業再生支援での経験を“リスク評価”視点で整理
- 分析レポートやプレゼン資料の事例を成果として言語化
- 志望動機では“リスクの未然察知と価値ある判断への貢献”を明確に
4. 求められる知識と補完方法
- 信用リスク管理、債務者区分、信用格付制度
- DCF・マルチプル・債務償還能力分析
- 銀行・証券・リース業界の審査基準やプロセス
- 参考書籍:『企業分析シナリオ』『信用リスク管理入門』
5. 職務経歴書の記載例
氏名:田中 翔太 生年:1988年生まれ ■職務要約: 大手コンサルティング会社にて約7年間、事業再生案件に従事。中堅企業を中心に財務分析、再建計画策定、債権者調整、キャッシュフロー改善などを実行。今後は、企業の信用力を多角的に見極める審査・クレジットアナリストとして、金融機関にてリスク管理の視点から貢献したいと考えている。 ■職務経歴: 株式会社○○コンサルティング(2016年4月〜現在) ・事業・財務デューデリジェンス(製造、物流、飲食等) ・私的整理・スポンサー型再生計画の策定支援 ・資金繰り改善施策の立案と実行管理 ・債権者交渉支援(地銀・信金・メガバンクとの調整) ■保有資格: ・中小企業診断士 ・日商簿記1級 ・証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)受験中 ・TOEIC 865点 ■学歴: 早稲田大学 商学部 卒(2011年3月)
6. 志望動機の記載例
事業再生の現場では、企業の実態を正確に把握し、財務的・事業的な再建の道筋を描く業務に携わってきました。今後は、そうした視点を活かして企業の信用リスクを正しく評価し、金融機関のリスク管理の中核として貢献したいと考えています。早期の兆候を掴み、質の高い与信判断を下せるクレジットアナリストを目指したいと思います。
7. まとめ
事業再生コンサルタントが持つ財務分析力、現場感、リスク評価力は、クレジットアナリストとしての業務において極めて親和性が高く、キャリアチェンジの王道ルートとも言えます。企業の健全な成長と金融リスクの適正管理に貢献するプロフェッショナルとして、さらなる活躍が期待されます。