コトラ（広報チーム） 
経理職の平均年収とは？
日本の平均年収と経理職の比較
経理職の平均年収は、日本全体の平均年収と比較して高い傾向にあります。国税庁が公表した2023年分民間給与実態調査によると、日本全国における正社員の平均年収は523万円です。一方、MS-Japanが発表したデータでは、経理職の平均年収は536万円、中央値年収は483万円となっています。また、その他の調査データではやや差異がありますが、おおよそ443万円から469万円程度とされています。
このようなデータから、経理職は一般的な事務職よりも専門性が求められるため、給与水準が比較的高いことがわかります。しかし同時に、企業や雇用形態による影響を大きく受ける職種でもありますので、業務内容や求められるスキルによって年収の開きがある点も注目すべきポイントです。
年代別の経理職年収の推移
経理職の年収は、年代が上がるほど増加する傾向にあります。厚生労働省のデータによると、20代の経理職の平均年収は336.8万円ですが、30代では442.7万円、40代では489.2万円、50代では515.0万円まで上昇します。一方で、60代になると392.6万円に減少する傾向が見られます。これには高齢化による働き方の変化などが関係していると考えられます。
さらに詳しいdodaデータでは、20代で387万円、30代で495万円、40代で590万円、50代以降では684万円というように、年代ごとに約100万円ずつ年収が上昇しています。このデータは、経験年数やスキルが経理職の収入を大きく左右することを示しており、キャリアの積み方が収入に直結していると言えます。
雇用形態や企業規模による年収差
経理職の年収は、雇用形態や企業規模によっても大きな違いがあります。正社員として働く経理職の場合、平均年収は536万円前後となりますが、派遣社員などの場合にはこれよりも低くなり、300万円台から400万円台となるケースが多いです。
また、企業規模による年収差も顕著です。大企業の経理職では業務内容が高度で専門知識が求められるため、年収が高くなる傾向があります。一方で、小規模企業の場合、経理業務の範囲が限定的であったり、シンプルな内容にとどまることが多いため、年収が低めになることがあります。こうした点を踏まえ、企業規模や雇用形態を検討したキャリア形成が重要です。
男女別の年収差はどのくらい？
経理職における男女間の年収格差は、他の職種と同様に顕著です。MS-Japanのデータによると、男性の平均年収は634.1万円なのに対し、女性は377.2万円と、約250万円以上の差があります。この大きな差は、女性が派遣社員として働くケースが多いことや、管理職として働いている割合が男性よりも低いことが原因とされています。
また、女性はライフステージの変化に伴ってワークスタイルを調整しやすい働き方を選ぶ傾向があり、その結果、年収水準に影響が出ることもあります。ただし、企業側が積極的に多様な働き方を推進している場合や、スキルを持った女性経理職がキャリアアップを果たした場合には、男性と同等またはそれ以上の年収を獲得することも可能です。
経理職の年収が低いと言われる理由
年収が低く見られる要因
経理職は「年収が低い」と言われることがありますが、その背景にはいくつかの要因があります。まず、経理職の業務は専門性が高い一方で、人事や総務といった他の管理部門とひとくくりにされ、「事務職」というイメージを持たれることがあります。この結果、実際の平均年収が一般的な事務職よりも高い場合でも、低く評価されがちです。
また、経理業務は企業規模によって仕事の範囲が大きく異なります。大企業では高度なスキルが必要になる一方で、中小企業や小規模企業では補助的な業務が中心となり、専門性や給与がそれほど求められないこともあるため、平均年収の幅が広がる要因ともなっています。
働く環境が年収に与える影響
経理職の年収は働く環境によって大きな影響を受けます。例えば、大企業では経理業務が細分化されており、専門的なスキルを持つ担当者が必要とされるため、比較的高い年収が期待できます。一方で、中小企業では経理業務が幅広く、スキルというよりも多様な作業に対応する能力が重視され、給与が抑えられがちです。
さらに、外資系企業や上場企業では、国際財務報告基準（IFRS）や英語力が求められることが多く、高スキルに見合った高年収を得られる傾向にあります。反対に、これらの条件が要求されない企業環境では、年収が平行線をたどることもあります。
日本の平均年収と比較した場合
経理職の年収は、日本の平均年収とほぼ同等かそれ以上であることが多いです。国税庁の調査によると、令和4年度の正社員の平均年収は523万円であるのに対し、経理職の場合、調査機関ごとに異なりますが、平均で約400万～500万円程度となっています。このことから、経理職の年収が日本の平均を大きく下回ることは少ないと言えます。
とはいえ、経理職の中でも、経験やスキルによる年収の差が大きく、幅が広い点が特徴的です。特に未経験で経理職に就いた場合や中小企業で働く場合には、日本の平均年収を下回るケースもあるため、数字だけを見ると低く見られる原因となっている可能性があります。
予測データとしての役割と限界
経理職の年収データは、自身のキャリア形成の参考になるものの、絶対的な指標として見るのは難しい部分も存在します。その理由は、年収調査は統計の限定条件や調査対象となる母集団によって結果が異なるためです。例えば、大企業に勤務する経理職のデータが中心の場合、全体の平均値よりも高い値が出る傾向があります。
また、年代別や業界別の年収予測データは、あくまで過去の傾向や現在の市場状況に基づいたものです。そのため、将来的な景気変動や企業の方針転換、個人のスキルや資格の取得状況によって、実際の年収がこれらの予測データと異なる可能性があることを認識することも大切です。
高収入を得るために必要なスキルや資格
経理スキルを磨く重要性
経理職で高収入を実現するためには、専門的なスキルを磨くことが不可欠です。経理の業務には、簿記や税務会計、財務分析といった基本的な知識が求められる一方で、企業ごとに求められるスキルは異なります。例えば、月次決算や年次決算を担当する場合、正確なデータ処理能力と分析スキルが必要です。また、資金繰りやコスト管理といった財務関連のスキルも重要です。これらのスキルを実務を通じて高めることで、経理職の市場価値を上げ、結果的に年収アップにつなげることができます。
年収向上に役立つ資格とは？
経理職で年収を向上させるには、資格取得が大変効果的です。まず、基本となるのは「日商簿記検定」で、特に2級以上を取得しておくと転職や昇進の際に有利です。加えて、税務業務に携わる機会が多い場合は「税理士」資格が重宝されるでしょう。また、大企業や外資系企業を目指す方には「公認会計士」や「米国公認会計士（USCPA）」が求められる場合もあります。さらに、国際的な業務での活躍を視野に入れる場合、「BATIC（国際会計検定）」のスコアを上げることも有効です。これらの資格は専門知識を証明するだけでなく、高度なスキルを裏付けるものとして高い評価を受け、年収アップへの近道となります。
職種別に見る必要な経験値
経理職でキャリアを築き、高収入を得るためには、経験値も重要な要素です。例えば、一般的な経理業務（請求書処理や仕訳作業）から始め、決算業務や予算管理へとステップアップすることが必要になります。また、マネジメントポジションを目指す場合には、リーダーシップやチーム管理の経験も求められます。さらに、財務戦略を担うポジションでは、資金調達や投資分析の知識と実務経験が重視されます。こうした職種ごとの専門性に応じてキャリアを積むことが、結果的に年収増加に寄与します。これにより、特に経験豊富な40代・50代の経理職は、平均年収を大きく上回る金額を得ることが可能です。
外資系企業でのキャリア形成
外資系企業でキャリアを形成するのも経理職の年収を大幅に引き上げる方法の一つです。外資系企業では、国際会計基準（IFRS）への深い理解や英語でのコミュニケーション能力が求められます。特に、米国公認会計士（USCPA）やBATICといった国際資格を保有していると、採用や昇進時に大きなアドバンテージとなります。また、外資系企業は年功序列ではなく、成果主義で給与が決まる場合が多いため、高いスキルと業績を示すことができれば短期間で年収を大幅に増やすことが可能です。一方、労働環境や文化が日本企業とは異なるため、柔軟性や自己管理能力も求められます。
経理職で年収アップを目指す具体的な方法
転職による年収アップの可能性
経理職で年収を上げるためには、転職という選択肢が有効です。特に大企業や外資系企業の経理ポジションは、高い年収レンジが設定されていることが多く、給与条件が良い傾向があります。また、求人紹介サービスやエージェントを活用することで、自身のスキルや経験に適した高収入の職場を見つけやすくなります。
転職市場を見ると、会計ソフトやERPシステムのスキル、税務や財務の実務経験がある経理担当者への求人需要が高まっています。さらに、管理職ポジションや年収1,000万円クラスの経理職求人もあります。このようなポジションを目指すには、確かな経験とスキルをアピールすることが重要です。
昇進とスキル向上の関係
経理職で昇進を目指すことは、年収アップに直結する大きな要因です。特に、決算業務や連結会計、税務処理など、高度な経理スキルを習得することで、会社内での価値が高まり、管理職やリーダー職への昇進が見込まれます。これにより、基本給やボーナスの上昇につながります。
実務経験に加えて、日商簿記1級、税理士資格、公認会計士資格などを取得しておくと、より専門性が高いポジションに就ける可能性があります。同時に、上司や同僚からの信頼を得るために、コミュニケーションスキルやリーダーシップも磨きましょう。
業界選びのポイントと収入の違い
経理職の年収は、業界によっても大きく異なります。例えば、IT業界や外資系コンサルティング企業の場合、複雑な会計処理やスピーディな意思決定が求められるため、年収が高めに設定されることが一般的です。一方で、小売業や飲食業などの企業では、規模や収益性によっては経理職の年収が他業界より低い場合もあります。
自分のキャリアの方向性に合った業界を選ぶことが大切です。特に成長業界やグローバルな視点が求められる企業では、経理担当者に高い専門性が期待され、その分、収入も比較的高くなる傾向にあります。業界のトレンドをしっかりと把握し、慎重にキャリアプランを描きましょう。
副業・兼業で収入を補う方法
経理職での収入増を目指す方法として、副業や兼業を取り入れることも考えられます。特に経理のスキルを活かして、副業として個人事業主や中小企業の帳簿整理や財務アドバイザー業務を行うことが可能です。また、フリーランスとして確定申告や税務コンサルティングを行うことで、収入源を増やすこともできます。
ただし、副業を始める場合には、勤務先の就業規則を確認し許可を取ることが重要です。また、本業に支障をきたさないよう、時間管理を徹底することも求められます。副業を通じて新しいスキルを習得できれば、長期的には本業でもプラスに働くことが期待されます。