マーケティングや事業企画で培った「事業構造の理解」「数値分析力」「経営層とのコミュニケーションスキル」を武器に、より経営に直結した仕事であるコーポレートファイナンス(カバレッジ)へのキャリアチェンジを目指す方が増えています。カバレッジバンカーは、法人顧客に対して資金調達やM&A、資本政策などを提案し、金融面から企業の成長を支援する役割を担うポジションです。
本記事では、マーケ・企画職からカバレッジ業務に転職するためのステップや準備方法、求められるスキル、職務経歴書・志望動機の記載例までを解説します。
目次
- 1. マーケ・企画とカバレッジ業務の違い
- 2. マーケ出身者が活かせるスキル
- 3. 転職を成功させるための5ステップ
- 4. 求められる知識・スキルの補完方法
- 5. 職務経歴書の記載例
- 6. 志望動機の記載例
- 7. まとめ
1. マーケ・企画とカバレッジ業務の違い
項目 | マーケティング・企画職 | カバレッジ(法人営業) |
---|---|---|
目的 | 売上拡大、ブランド構築、顧客接点最大化 | 顧客の財務課題の解決、収益機会の創出 |
関与フェーズ | 商品開発・プロモーション | 経営戦略・財務戦略立案支援 |
主な相手 | 社内関係者、エンドユーザー | 企業のCFO、経営層、財務部門 |
2. マーケ出身者が活かせるスキル
- 企業理解力・ビジネスモデル分析力
- 財務データ・市場動向をもとにした仮説構築
- 経営層との資料作成・折衝経験
- 顧客のインサイトや課題を引き出すヒアリング力
- クロスファンクションでの調整力
3. 転職を成功させるための5ステップ
- 金融リテラシーの習得:財務3表、企業価値評価(DCF、マルチプル)などを学習
- 企業分析力のアピール:IR資料を読み、業界ごとの構造を理解する
- 提案力の再構築:企画経験を金融商品の提案に転用する視点を持つ
- ケース面接対策:業界分析や資金調達提案を問うケースに備える
- マインドセットの変化:“つくる”から“つなぐ”へ、自分の役割意識を変える
4. 求められる知識・スキルの補完方法
- 簿記2級/証券アナリスト:財務諸表の読み解きと企業評価に有効
- ロイター、日経テレコン:業界動向調査の情報源
- IR資料・アニュアルレポートの分析習慣
- 投資銀行の業務内容を理解(書籍・YouTube)
5. 職務経歴書の記載例
氏名:山本 奈々 生年:1990年生まれ ■職務要約: BtoB向けIT企業にて約8年間、マーケティングおよび事業企画に従事。市場調査からプロモーション、営業支援企画まで一貫して担当。中期経営計画に基づくプロジェクト推進、CFO直下での予算策定支援を経験し、財務面から企業成長を支援するコーポレートファイナンス業務に挑戦したいと考え転職を志望。 ■職務経歴: 株式会社〇〇(2016年4月〜現在) ・新規事業立ち上げにおける市場分析〜KPI設計 ・部門予算立案と実績モニタリング(月次分析、資料作成) ・決算説明資料の編集、IR支援 ・アライアンス交渉における事業性評価資料の作成 ・マーケティング戦略の策定と実行推進 ■保有資格: ・日商簿記2級 ・TOEIC 860点 ■学歴: 神戸大学 経営学部 卒(2013年3月)
6. 志望動機の記載例
私はこれまで、BtoB事業会社におけるマーケティング・企画職として、新規事業開発や市場戦略立案に携わってまいりました。事業を推進する中で、資金調達や投資判断、資本政策の重要性を実感し、より企業の財務基盤や成長戦略に深く関与する立場として、コーポレートファイナンス業務に挑戦したいと考えるようになりました。これまでの事業理解力、経営層との協働経験、課題設定・提案力を活かし、御社にて顧客企業の発展に貢献したいと考えております。
7. まとめ
マーケティング・企画で培った戦略的思考、顧客理解力、分析力は、カバレッジ業務においても大きな武器となります。大切なのは「事業の言葉」を「金融の言葉」に翻訳し、顧客の経営課題に寄り添った提案をする姿勢。今までの経験に自信を持ちつつ、ファイナンスの知識を加えることで、新たなフィールドでも活躍することが可能です。