上場企業の平均年収が過去最高を更新!気になる最新データとは?

上場企業の平均年収:最新データの概要

2023年度の平均年収とその推移

2023年度の上場企業の平均年収は651万4000円となり、前年の637万3000円から14万1000円増加しました。この数値は過去20年間で最高額を記録しており、前年比でも+2.2%の上昇となっています。このデータは株式会社帝国データバンクが実施した調査に基づき、2024年8月に発表されました。この結果は、2023年4月から2024年3月までの決算期における全上場企業約3800社を対象としたものです。

業界別で見る平均年収の特徴

業種別で見ると、2030年度の平均年収が最も高い業種は海運業となり、唯一の1000万円超えである平均年収1008万円を記録しています。一方、平均年収が低い業種では、サービス業や小売業などが挙げられます。このような業界別の差は、業績や人材需要の違いが背景にあると考えられます。また、ITや金融業といった専門知識が求められる業種では、年収水準が高い傾向が見られます。

平均年収が更新された背景

2023年度において平均年収が過去最高を更新した背景には、いくつかの重要な要因があります。まず、人手不足の深刻化が企業間の賃上げ競争を促進しました。この影響で、従業員の待遇改善を目的とした昇給が広がり、68.7%の企業が前年度から平均年収を増加させています。その中で、賃上げ率が「10%以上」の企業も8.8%見られたことから、人材確保に向けた積極的な姿勢が読み取れます。また、円安による輸出企業の業績向上や、好調な景気回復が給与上昇に寄与しています。

東証プライム市場の平均年収データ

市場別に見ると、東証プライム市場の平均年収は735万7000円と全市場でトップとなっています。この数値は、上場市場全体の平均年収651万4000円を大きく上回っており、安定した経営基盤を持つ大企業が多いことがその理由とされています。一方、東証グロース市場やスタンダード市場、地方証券取引所(名証、福証、札証)では東証プライム市場と比較すると平均年収が低い傾向にあります。東証プライム市場は高収益企業が多く集まり、高い給与水準を提供していることが特徴といえます。

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平均年収の上昇要因とその影響

人手不足がもたらした賃上げ競争

2023年度における上場企業の平均年収が過去最高を更新した背景の一つに、深刻な人手不足が挙げられます。各企業は有能な人材を確保するため、給与の引き上げを含む待遇改善を進めています。実際に、株式会社帝国データバンクの調査によると、68.7%の企業が平均年間給与を増加させており、特に「5%未満」の増加が多いものの、「10%以上」の賃上げを実施した企業も8.8%存在しています。この動向は、企業が人手不足対応に本腰を入れて取り組んでいる証といえるでしょう。

物価上昇と企業の対応策

賃上げの背景として、物価上昇も大きな影響を与えています。エネルギー価格や食品価格の高騰は生活コストの増加を招き、それを受けた労働者の賃上げ要求が高まっています。こうした中、プライム市場をはじめとする上場企業では、労働者の購買力維持と生活支援を目的に給与引き上げを行いました。特に、収益性の高い企業や業績の好調な企業が積極的に賃上げを行うことで、物価上昇の影響を和らげる動きが広がっています。

業績好調企業がリードする現状

業績好調な企業が賃上げを先導している点も注目に値します。輸出企業では円安効果による収益の増加、国内需要の回復によるサービス業の成長が見られました。さらに、上場企業全体でも景気回復に伴い、多くの企業が利益を伸ばしています。特筆すべきは、東証プライム市場における平均年収が735万7000円という水準に達している点で、こうした市場で業績好調な企業がリーダーシップを発揮することで、上場企業全体の賃上げムードが形成されていると言えます。

労働環境の変化と給与への反映

近年、労働環境の改善も賃金上昇に結びついています。テレワークの普及や働き方改革が進んだことで、企業は柔軟な労働環境を提供しながらも、優秀な人材の流出を防ぐために報酬面での見直しを行っています。特にプライム市場上場企業に多い専門性の高い職種では、優れた人材を惹きつけるために、給与や福利厚生の充実化が強化されています。このような取り組みは、労働環境の多様化という社会的な変化が企業の給与戦略に反映された結果と言えるでしょう。

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注目企業と高年収ランキング

上場企業の平均年収トップ10

2023年度における上場企業の平均年収ランキングでは、突出した年収を誇る企業が上位を占めています。特に注目すべきは、東証プライム市場に上場している企業の高収入ぶりです。トップとなったのはM&Aキャピタルパートナーズで、平均給与はなんと2478万円に達しました。この企業は、専門的なM&Aアドバイザリー業務を提供しており、高い付加価値と専門スキルが生み出す収益力が特徴です。この他にも、金融業やIT関連企業が多くランクインし、高い専門性を必要とする職種が多い業界がランキングを牽引していることがわかります。

IT・金融業など高年収が目立つ業種

業種別で見ると、IT業界と金融業界の平均年収が特に目立っています。例えば、IT業界では、デジタル化やDXの推進に伴い、高度な技術を持つ人材への需要が高まっており、それが給与の上昇につながっています。さらに、金融業界においては、経済の活性化やグローバル化による需要拡大により、一部の投資銀行や証券会社で高い平均給与が実現されています。また、2023年度の調査では、海運業が唯一平均年収1000万円を超える業種として注目されており、安定したビジネスモデルを持つ優良業界の一つと言えます。

年収以外で注目すべき福利厚生

高い平均年収を持つ上場企業において、年収以外の福利厚生も注目されるポイントです。例えば、リモートワークの推進やフレックスタイム制の導入、育児休暇取得率の向上といった働きやすい環境の提供が進んでいます。加えて、住宅手当や教育費支援、社員持株会制度など、社員の将来設計を支援する福利厚生も充実している企業が多く見られます。特に、東証プライム市場に上場している企業では、こうした待遇改善がさらに進んでおり、優れた福利厚生が人材確保や社員満足度向上に寄与していることが伺えます。給与以外の面でも魅力を感じられる企業が増えつつある点は、今後の転職希望者や就職活動中の学生にとって重要な要素となるでしょう。

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今後の動向と見通し

昇給トレンドの継続性とリスク要因

上場企業の平均年収が過去最高を記録した背景には、企業の収益向上や人手不足による賃上げ競争が影響しています。しかし、今後もこのトレンドが続くかどうかは一概に言えません。一部の業種では労働市場の逼迫が長期的な賃上げを支えると予測されていますが、企業全体の業績が景気後退や国際競争の激化によって圧迫されるリスクも指摘されています。また、賃上げは人材確保の手段として重要ですが、その負担が中小企業やスタートアップ企業で重荷となる可能性があります。そのため、持続的な昇給トレンドを確保するには、企業収益を安定させる経営戦略と国の景気政策が必要となるでしょう。

企業と労働者双方における課題

上場企業の平均年収が上昇する中で、企業と労働者双方には依然として課題が残されています。企業側では、賃上げによるコスト増加が大きな懸念です。特に、人件費が収益を圧迫する業種では、価格転嫁や効率化の取り組みが求められます。一方、労働者側では、所得が増えても物価上昇が進んだ場合、その実質的な購買力が低下するリスクがあります。また、非正規雇用や契約社員など正社員以外の労働者の待遇格差も依然として大きな社会的課題です。こうした状況を打破するには、企業と労働者が労使間の対話を重ね、互いのニーズを反映させた解決策を模索する必要があります。

賃上げ政策の影響と国際比較

2023年度には、政府の賃上げ政策が企業の給与増額に影響を与えたとされています。厚生労働省の調査によれば、賃上げ率は過去最高水準となっており、これが上場企業の平均年収上昇にも寄与しました。一方で、日本の賃金水準を国際的に見ると、依然として欧米諸国に比べ低い水準にとどまっています。特に、東証プライムに上場している一部の高収益企業が平均を引き上げているとはいえ、多くの企業や労働者にとって国際競争力のある給与水準に達するにはさらなる政策の促進と労働生産性の向上が求められるでしょう。

給与格差是正に向けた取り組み

上場企業全体の平均年収が伸びる一方で、業種間や企業間、さらには正社員と非正規雇用の間での給与格差は依然として大きな課題です。例えば、東証プライム市場では平均年収が735万7000円と高い水準にある一方で、札証の平均年収は496万3000円にとどまっています。このような格差を是正するには、賃金体系の見直しや教育・研修制度の充実を通じて、生産性の向上が可能な環境を整備する必要があります。また、政府の賃上げ促進施策に加え、企業それぞれが独自に取り組む方法も重要になります。格差是正の取り組みが進めば、労働市場全体の安定化につながり、より良い社会の基盤を築くことが期待されます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)