官公庁からコンプライアンスに転職するためのステップ

近年、ESG経営や企業統治の強化が求められる中、金融機関や大手企業におけるコンプライアンス部門の役割はますます重要性を増しています。法令順守のみならず、リスクマネジメントや倫理・ガバナンスの観点からの体制整備が求められるこの分野において、実は官公庁出身者の知見が非常に注目されています。

なぜ官公庁経験者がコンプライアンス職に向いているのか?

  • 法令・制度に関する深い理解:政策立案や行政運用を通じて、条文読解力や法令解釈力を養ってきた
  • 文書作成能力・対外調整能力:答弁資料や報告書の作成、関係省庁との折衝の経験
  • 公益性・倫理意識:公務員としての職業倫理が企業のコンプライアンス文化構築にも役立つ
  • 内部統制・監査的観点:行政監査や規制運用の視点は、企業側の内部統制に転用しやすい

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コンプライアンス業務の具体的な内容

業界や企業によって多少異なりますが、以下が主な業務です。

  • 法令遵守体制の整備・運用(マニュアル・ルール策定)
  • リスクアセスメントの実施、社内研修の実施
  • 内部通報制度・倫理規定の管理
  • 当局対応、規制改正への対応
  • 監査部門との連携、内部統制整備

ステップ1:キャリアの棚卸し

まずは、官公庁での自分の業務経験を整理し、企業コンプライアンスに活かせる要素を抽出しましょう。

  • 規制の企画・運用に携わった経験
  • 文書・報告資料作成スキル
  • 倫理・内部規範の企画や浸透経験

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ステップ2:民間のコンプライアンスを理解する

民間における「コンプライアンス」は、単なる法令遵守にとどまらず、企業倫理・CSR・リスク管理と一体となった取り組みです。最新の業界動向や関連法令(個人情報保護法、内部通報制度、贈収賄防止など)を学んでおきましょう。

ステップ3:資格・スキルを補完する

  • 公認コンプライアンス・オフィサー(CCO)
  • 内部監査士(CIA)
  • 日商簿記、情報セキュリティマネジメントなど

民間での信用度が高まるため、キャリアチェンジの後押しになります。

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ステップ4:応募書類のブラッシュアップ

以下のポイントを意識しましょう。

  • 官公庁での経験を「法令理解・文書作成・制度運用」に翻訳する
  • 倫理性やガバナンス感覚をアピール
  • 対外調整力やプロジェクト推進力も評価される

志望動機(サンプル)

私はこれまで官公庁にて、法令の策定・施行に関する業務に携わってまいりました。関係省庁・自治体・企業との調整、制度運用に関する指導・監査経験を通じて、「法を機能させる運用の重要性」を学んできました。貴社のコンプライアンス推進体制の構築にあたり、制度運用の実務感覚と倫理意識を活かし、実効性あるルール整備と浸透に貢献したく志望いたしました。

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職務経歴書(サンプル)

氏名:佐藤 花子(仮名)
現職:総務省 地方自治制度課(2016年4月〜現在)
役職:主査(係長級)

主な業務内容

  • 地方自治法の制度改正に関する調査・法案作成
  • 自治体に対する制度運用指導・マニュアル策定
  • 内部監査業務(指導検査の実施・報告書作成)
  • 不適切会計に関する是正指導および再発防止策の策定支援

活かせるスキル・経験

  • 行政手続法・情報公開法・地方自治法の深い理解
  • 法令・ガイドラインの作成と運用
  • 対外折衝力(他省庁・自治体・民間事業者との調整)
  • 公文書作成・報告資料作成能力

保有資格

  • 公認内部監査人(CIA)※学習中
  • TOEIC 820点
  • 日商簿記2級

まとめ:倫理・制度運用の視点をコンプライアンスへ

官公庁で培った法令知識、倫理観、制度運用能力は、民間企業のコンプライアンス部門で大きな強みとなります。企業にとって求められるのは「現場で活かせる法令運用力」と「他部署を巻き込む調整力」です。これまでの経験を丁寧に言語化し、準備を重ねていけば、官から民への転身も十分に可能です。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)