バイサイドアナリストからIR・経営企画に転職するためのステップ

資産運用会社や機関投資家で企業分析を担ってきたバイサイドアナリストの経験は、企業のIR(投資家向け広報)や経営企画部門で極めて高く評価されます。企業価値向上の本質を理解し、投資家目線で経営と対話できるプロフェッショナルとして、事業会社側で活躍するキャリアへの転換は近年ますます注目を集めています。本記事では、バイサイドアナリストからIR・経営企画への転職ステップを具体的にご紹介します。

1. IR・経営企画で求められる役割と視点

  • 決算説明資料・IRレポートの作成と投資家対応
  • 中期経営計画・年度予算の策定支援
  • KPI設計や財務・事業データの可視化と分析
  • 社内外ステークホルダーとの調整・対話
  • 株主対応(決算説明会、1on1、ESG評価対応など)

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2. バイサイドアナリストの経験が活きる理由

  • 企業価値評価の知見(DCF・マルチプル分析・バリュエーション)
  • 財務諸表に基づく定量的な分析力
  • 投資家視点での情報開示の最適化提案が可能
  • IR資料の読み手としての実務経験が、発信側の質を高める
  • ESG・非財務評価の理解がある(特に機関投資家出身者)

3. 転職に向けたステップ

  1. 分析から提案への視点の転換: 投資判断ではなく、経営判断を補助する立場へ意識をシフト
  2. 事業会社側でのKPI設計やデータ整備に対する理解: IRや経営企画では情報の「つくり手」としての力が問われる
  3. IR業務の具体例を学ぶ: 上場企業の開示資料、適時開示、統合報告書の構成要素など
  4. ESG・統合報告などの非財務領域へのキャッチアップ: GRIやISSB基準の概要把握も有用

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4. 成功事例

外資系運用会社で5年間、製造業を中心とした企業分析とポートフォリオ構築に従事していた30代前半のアナリストが、開示内容と経営戦略の一貫性に関心を持ち、事業会社のIR・経営企画部門へ転職。現在は、経営陣と連携しながら中計策定・決算説明資料作成・投資家説明に従事。

5. 志望動機例

これまでバイサイドアナリストとして、様々な業界・企業の財務・非財務情報を分析し、長期的な企業価値を評価してまいりました。その中で、情報の開示の仕方や経営戦略との一貫性が、投資判断に与える影響の大きさを実感し、今度は企業の中に入り、発信側として経営と資本市場の橋渡しを担いたいと考えるようになりました。貴社のように、グローバル展開を見据えたIR・経営戦略を重視している企業で、私の投資家視点と財務分析力を活かしたいと強く希望しております。

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6. 職務経歴書サンプル

【職務要約】
外資系運用会社にてバイサイドアナリストとして5年超の経験を持つ。製造業・ヘルスケア業界を中心に、企業価値評価・IR分析・ポートフォリオ提案業務を担当。ESG評価や企業開示への提案実績もあり。事業会社のIR・経営企画職への転向を志望。

【職務経歴詳細】
●○○アセットマネジメント株式会社(2018年4月〜2023年9月)
部門:エクイティリサーチ部門 役職:アナリスト

・約20社を担当し、業績予想、DCF分析、マルチプル分析を用いた企業評価を実施
・企業との1on1ミーティング(年間50回以上)を通じたIR対応品質評価
・ESG開示水準の評価と改善要望レポートの作成
・統合報告書分析をベースにした機関投資家向け推奨銘柄レポート作成

【保有資格・スキル】
・証券アナリスト
・CFA Level II(受験中)
・財務分析、IR資料読み解き、業界分析、PowerPoint資料作成
・英語(ビジネスレベル:TOEIC 900)

【希望職種】
・IR/経営企画
・中期経営計画、決算説明資料の作成、投資家対応、KPI管理

7. おわりに

バイサイドアナリストのキャリアは、企業のIR・経営企画部門にとって「投資家視点」という唯一無二の視座を提供します。受け手だった自分が、発信する側となって企業の成長を支える――この転換は、単なる職種変更ではなく、経営と市場をつなぐ役割への挑戦でもあります。ぜひその経験と分析眼を、企業の中で最大限に活かしてください。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)