コトラ（広報チーム） 
金融の最前線でプロダクト開発やストラクチャリングを担ってきたストラクチャードファイナンス出身者にとって、プリンシパルインベストメント（自己勘定投資）へのキャリア転換は、より投資リターンと意思決定責任に近いフィールドでの挑戦を意味します。この記事では、ストラクチャードファイナンスのスキルを活かしてプリンシパルインベストメント業務へ転職するための具体的なステップをご紹介します。
1. プリンシパルインベストメントとは
プリンシパルインベストメントとは、証券会社・銀行・投資会社等が自社資金を用いて行う投資活動を指します。対象は以下の通り多岐にわたります：
- PE投資（未上場株式）
- 不動産・インフラへの直接投資
- 再生ファンド、事業再生投資
- 特定のアセットへの機動的なバリュー投資
2. ストラクチャードファイナンス出身者の強み
- 複雑なスキーム設計・リスク分離のノウハウがそのままPIに応用可能
- キャッシュフロー構造や担保設計の経験は、不動産・事業投資でも活きる
- デューデリジェンス、モデル構築、ストラクチャリングに精通しており即戦力性が高い
3. プリンシパルインベストメントで求められるスキル・視点
- 対象案件の事業性・市場性を見極める事業分析力
- 定量面・定性面からのバリュエーション力
- 投資後のモニタリング・バリューアップ・Exit戦略に関する知見
- リスクテイクの意思決定能力と経営的視座
4. 転職へのステップ
- これまでの案件の投資性分析：アレンジ側で携わった案件において、どのような投資判断の観点が求められていたかを整理
- 投資視点でのアウトプット訓練：投資メモやExit戦略案など、投資家目線でのドキュメント作成を練習
- 事業評価スキルの補完：コーポレートファイナンスやPE投資に関するリサーチや外部講座で補強
- ネットワーク形成：投資業界の人脈やイベント参加を通じてリアルな業務を理解
5. 成功事例
日系証券会社で不動産ノンリコースローンや再エネファイナンスのストラクチャード業務に携わっていた30代の方が、自らの案件で事業価値の算定やExitパターンを検討していた経験を活かし、PEファンドのプリンシパルインベストメントチームへ転職。現在はミドルサイズの地方企業への成長投資に従事。
6. 志望動機例
これまで証券会社にて、ストラクチャードファイナンス業務を通じて不動産、再エネ、ヘルスケア等多様なアセットに対するファイナンススキームの設計・実行に携わってきました。その中で、より能動的に投資判断を行い、企業や事業の成長に主体的に関わる立場を志すようになりました。プリンシパルインベストメントという立場で、投資のフロントからモニタリング・バリューアップまで一貫して関与する業務に携わりたいと考えております。貴社のように中長期的な視点で本質的な企業価値向上を目指す組織でこそ、自身の経験が活かせると確信しております。
7. 職務経歴書サンプル
【職務要約】 証券会社にてストラクチャードファイナンス業務を約6年間経験。不動産ノンリコースローンや再エネ案件、事業再生案件のアレンジに携わる。事業性評価やキャッシュフローモデルの作成を通じて、投資的視点を養う。 【職務経歴詳細】 ●株式会社〇〇証券（2017年4月〜現在） 所属：ストラクチャードファイナンス部 役職：アソシエイト〜VP ・不動産ノンリコースローン（物流・ホテル等）案件：アレンジ・実行・期中モニタリング ・再エネ案件（太陽光・バイオマス）のプロジェクトファイナンス構築 ・企業再生支援ファンドとの協業による事業スキーム組成 ・DCF法に基づく事業評価、Exitシナリオの検討 ・CFAレベル2合格、財務モデリング講座修了 【保有資格・スキル】 ・CFA Level2合格 ・財務モデリング、バリュエーション、デューデリジェンス ・TOEIC 880 【希望職種】 ・プリンシパルインベストメント（PE投資、事業投資、不動産・インフラ投資）
8. おわりに
ストラクチャードファイナンスで培った専門性と実務経験は、プリンシパルインベストメントの現場において確実に強みとなります。自社資金による投資という責任あるポジションに身を置くことで、より深く事業に関与し、リスクとリターンを自ら設計するキャリアが拓けます。ぜひ、自分自身の金融知見を活かし、次なるステージへの一歩を踏み出してください。