企業のデジタル化が加速する中で、サイバーセキュリティ分野の専門家が「セキュリティコンサルタント」としてキャリアアップを図る動きが活発になっています。技術的なセキュリティ対策に加え、リスクマネジメントや経営視点での助言が求められるこのポジションは、IT・セキュリティの知見を持つ人材にとって大きなチャンスです。本記事では、現場のセキュリティエンジニアやSOC運用者などが、戦略的・上流工程を担うセキュリティコンサルタントになるための具体的ステップをご紹介します。
1. セキュリティコンサルタントの役割
セキュリティコンサルタントは、企業に対し情報セキュリティ戦略の策定、リスクアセスメント、セキュリティポリシー策定、導入支援、監査対応など幅広い支援を行います。技術面だけでなく、経営層・事業部門との調整や教育啓発活動も担当範囲に含まれます。
- セキュリティ戦略・ガバナンスの立案支援
- 脆弱性診断・リスクアセスメント
- セキュリティポリシーや規程の策定・改善
- ISMS、SOC2、NIST CSFなどのフレームワーク活用
- CSIRT構築・運用やインシデント対応支援
2. セキュリティエンジニア出身者の強み
現場でのサイバーセキュリティ業務経験は、コンサルタントとして以下の強みに直結します:
- セキュリティ製品・技術(EDR, FW, WAF, SIEMなど)の実務理解
- 脅威トレンド・攻撃手法に対する知識と対応経験
- 運用現場の実態に即した提案力
- セキュリティログ分析やインシデント対応経験
3. 補完すべきスキルと習得方法
以下のスキルは、コンサルタントとしての信頼性を高めるために補完が必要です:
- コンサルティングスキル(論点整理、ドキュメント作成、プレゼンテーション)
- ビジネス側の理解(業務プロセス、規制対応、経営層視点)
- フレームワーク知識(ISO27001, NIST, CIS Controlsなど)
- 資格取得(CISSP、CISM、ISO27001審査員補など)
4. 転職成功のための3ステップ
- ステップ1:コンサル領域の明確化
インフラ中心か、クラウド中心か、ガバナンス寄りかなど、自身の強みと親和性のある領域を定める。 - ステップ2:実績の棚卸と翻訳
“SOCでのインシデント対応” → “インシデント対応体制構築経験”と表現を変える。 - ステップ3:模擬提案資料の作成
セキュリティ診断後の改善提案資料を想定して作成し、面接時に活用。
5. 志望動機(例)
私はこれまでSOC運用およびEDR製品の導入・運用支援業務に携わり、攻撃検知・インシデント対応に関する現場課題の抽出と解決に取り組んでまいりました。セキュリティは技術対応のみならず、組織的な仕組みと業務プロセスの整備が重要であると強く感じ、今後はより上流から企業のセキュリティ体制構築に関与したいと考えるようになりました。貴社のように多様な業界に対して包括的なセキュリティ支援を行っている企業であれば、私の経験を活かしながら成長できると考え、強く志望いたします。
6. 職務経歴書(サンプル)
氏名:高橋 翔太 年齢:29歳 最終学歴:◯◯大学 理工学部 情報学科 卒業 【職務概要】 ABCセキュリティ株式会社(2019年4月〜現在) 役職:セキュリティエンジニア 【業務内容】 ・SOCでのインシデント分析、ログ調査、一次対応支援 ・EDR(CrowdStrike)導入・運用支援(大手通信業・製造業) ・脆弱性スキャン結果の分析とレポーティング ・CSIRT立ち上げ支援(手順書作成、ワークショップ実施) 【実績】 ・年間100件以上のセキュリティインシデント分析対応 ・大手企業向けEDR運用体制の構築とオンボーディング完遂 ・NIST CSFベースのセキュリティ成熟度評価実施(4社) 【保有資格】 ・CompTIA Security+ ・CISSP(取得済) ・TOEIC 785点 【使用ツール】 ・SIEM(Splunk、LogStash)、EDR(CrowdStrike, SentinelOne) ・Excel(報告書作成)、PowerPoint、Notion、Jira、Miro
セキュリティコンサルタントは、技術・制度・人をつなぐポジションです。現場で培ったセキュリティ対応力と学びを、企業全体の安心・安全を設計する上流工程で活かしましょう。