法人融資を中心としたコーポレートファイナンスの経験を活かし、海外進出を支援するポジションへの転職を目指す動きが注目されています。特に新興国進出やアジア展開、クロスボーダーM&A支援といったテーマに関心のある方にとっては、ダイナミックかつ戦略的な仕事です。本記事では、銀行等の法人融資担当者が海外進出関連のキャリアにシフトするためのステップや求められるスキル、活躍の場を解説します。
1. 海外進出支援の主な業務内容
海外進出支援の仕事は、事業会社の国際展開を財務・業務・法務・人材の観点からサポートする役割を担います。業務範囲は企業の規模や進出地域によって異なりますが、主に以下のような領域が含まれます。
- 海外現地法人設立支援、パートナー探索
- クロスボーダーM&Aやジョイントベンチャーの組成
- 現地規制、税制、資金調達手法の調査・助言
- 貿易金融、為替リスク対応支援
- 現地業務オペレーション構築支援(会計・人事・物流)
2. コーポレートファイナンス出身者の強み
法人融資業務で培った財務・信用分析スキルや経営者との対話経験は、海外進出支援の場でも活かせる強みです。以下のスキルが特に重宝されます:
- 財務三表をもとにした資金調達・投資判断のサポート力
- 国内外の金融機関とのネットワークやファイナンススキームの理解
- 経営者への提案・プレゼンテーション経験
- クロスボーダー取引におけるリスク感度と対応力
3. 不足しがちなスキルと補完の方法
一方、以下の分野は法人融資出身者が補完すべきスキルです:
- 現地法規制・会計・税務制度に関する知見
- 英語を中心としたビジネス言語での交渉力
- 現地パートナーとの信頼構築力
- マーケットインの事業視点(商品・流通・文化差理解)
これらは以下の手段で獲得可能です:
- JETRO・中小企業基盤整備機構などのセミナー受講
- 海外進出支援会社での副業・プロボノ
- 海外MBAやビジネススクールへの参加
- 英語プレゼン研修や実務翻訳経験の積上げ
4. 転職成功に向けた3ステップ
- ステップ1:支援対象国と業界の絞り込み
ASEAN、インド、北米など支援したい地域を明確化。業界(製造、小売、IT)との掛け合わせも重要。 - ステップ2:転職先のタイプ別検討
商社、現地進出支援コンサル、グローバル企業の海外戦略部門など、立ち位置の違いを整理。 - ステップ3:海外案件の実績や仮説をもとに自己PRを構築
「◯◯企業の海外展開時に融資と資金繰り支援を行った」など、類似経験を活用。
5. 志望動機(例)
私はこれまで銀行の法人融資業務を通じて、多くの中堅・中小企業の資金調達支援や成長戦略の立案を支えてきました。その中で、近年増加する海外進出ニーズに対応する中で、事業の可能性を広げるダイナミズムに強く魅力を感じるようになりました。今後は、単なる金融提供にとどまらず、現地パートナー探索や事業立上げにおける業務設計支援など、より現場に近い立場で企業の挑戦に伴走したいと考え、貴社のグローバル支援ポジションを志望いたしました。
6. 職務経歴書(サンプル)
氏名:高橋 誠 年齢:35歳 最終学歴:◯◯大学 商学部 卒業 【職務概要】 AAA銀行 法人営業部(2012年4月〜現在) 役職:副調査役(グローバル案件専任) 【業務内容】 ・中堅〜大手企業向け融資営業(主にアジア進出企業) ・海外子会社設立資金の融資、円建/外貨建てローン支援 ・海外与信審査(信用補完・為替リスク・担保交渉) ・海外支店との連携による現地規制の情報提供 ・インド、ベトナム、タイなど現地進出案件10件以上対応 【実績】 ・アジア進出企業に対する外貨建て融資:約30億円 ・日系製造業の現地工場設立に向けたPM業務を支援 ・海外販路拡大に伴う信用状発行・回収支援多数 【保有資格】 ・TOEIC 850点(ビジネス会話・英語資料作成対応可) ・中小企業診断士(1次合格) ・証券外務員一種 【使用ツール】 ・Excel(資金繰り表・DSCR試算) ・PowerPoint(事業提案資料・社内審査資料) ・社内翻訳・契約レビュー支援あり
グローバル事業においては、国ごとの制度、文化、商慣習の違いを理解しながら、財務だけでなく事業実行面でも幅広い支援が求められます。金融バックグラウンドを活かして、グローバルビジネスの現場で企業の挑戦に寄り添う人材として活躍する道をぜひ検討してみてください。