20代から50代まで!年代別に見るリアルな年収分布と傾向

日本の全体的な年収分布と平均・中央値

日本人の年収の基本データ:平均値と中央値の違い

日本の年収データを理解する上で、平均値と中央値の違いは非常に重要です。平均年収は全体の年収を合計し、その人数で割った数字を指します。令和5年分民間給与実態統計調査によると、全国の平均年収は460万円ですが、これは一部の高所得者が全体の値を押し上げる傾向があります。一方、中央値は全体の中でちょうど半分の人がその金額以上、または以下であることを示す値です。中央値は427万円とされ、平均年収よりも低い傾向があります。この差は主に年収分布の不均衡、特に高所得者と低所得者の格差が影響しています。

主要な年収分布帯とそれぞれの割合

日本の所得分布は多様で、200~300万円未満と300~400万円未満の年収帯が最も多く、それぞれ13.9%と13.3%を占めています。これに対し、1,000万円以上の年収を得る人は全体の12.3%にとどまる一方、100万円未満の層も6.4%います。このように、年収分布は広がりがありつつも、多くの人が300万円台付近に集まる傾向にあります。平均年収の547万円と比較すると、実際の生活実感は中央値の427万円を基にした方がより現実的な水準を反映しているといえます。

年収に大きな影響を与える要因とは?

日本における年収の格差にはさまざまな要因が影響しています。大きな要因の一つは学歴や職歴などの個人属性です。例えば、大卒の平均年収は男性が823万円、女性が501万円と大幅な差があり、高学歴者が高年収を得やすい傾向があります。また、性別による影響も顕著で、男性の平均年収は569万円に対し、女性の平均年収は316万円となっています。このほか、企業規模や雇用形態、さらには昇進や資格の有無による違いも年収に大きく関わります。さらに、年代が上がるほど年収が上昇する傾向があり、最高値は59歳で734万円に達します。

年収における地域別・業種別の違い

日本の年収分布には地域別や業種別の違いも大きく影響を及ぼしています。2023年のデータによると、東京都は全国で最も高い平均年収471万円を記録しており、特に男性で534万円、女性で415万円となっています。これに続くのは神奈川県(452万円)、千葉県(435万円)など、主要な都市部が高い傾向にあります。一方で地方では300万円台前半の地域も多く、都心との格差が際立っています。また、業種別ではITや金融業界が高年収の部類に属し、製造業や小売業では相対的に低い年収水準となっています。このように、地域や業種による年収差は転職やキャリア形成を考える際の重要な指標となるでしょう。

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20代の年収分布と傾向

20代の平均年収と中央値

20代の平均年収は約360万円となっており、前年から約8万円の増加が見られます。一方で、年収の中央値は全体の中央値380万円とほぼ同じ水準です。中央値は一部の高所得者の影響を受けにくいため、多くの20代が実感している収入の水準をより反映していると考えられます。

年収分布では、200万円以上300万円未満の層が最も多く、次いで300万円以上400万円未満の層が続きます。特に新卒や経験の浅いビジネスパーソンが多い20代では、スタート段階の年収水準としてこの範囲に収まるケースが多いことが伺えます。

新卒・第二新卒の年収分布

20代前半、特に新卒や第二新卒においては、年収の分布が200万円以上300万円未満に集中する傾向があります。20歳時点での年収は平均277万円で、ここには初任給の水準が大きく影響しています。一方、転職を行うことが多い第二新卒層では、早期にキャリアアップを図ることで300万円以上の年収に到達する例も増えています。

また、地域差や業種の違いも顕著で、大都市圏やIT・金融業界では初任給自体が高めに設定されているケースが多く、地方との格差が見られます。これらの背景を考慮すると、自らのスキルやマーケットでの需要を把握することが重要です。

20代の年収を上げるためのポイント

20代で年収を上げるためには、まずキャリアの軸を明確化し、スキルアップに取り組むことが重要です。特に、需要の高いスキルを習得し、転職市場での価値を高めることが効果的です。例えば、プログラミングやデータサイエンス、語学スキルなど、具体的な能力は年収アップに直結する可能性が高いです。

また、転職活動を積極的に行うことも有効です。dodaなどの求人サービスを利用して年収査定を受けることで、自身の市場価値を把握することができます。これにより、自分に適した年収帯や業界を見極め、より条件の良い企業へのステップアップを目指すことが可能となります。

さらに、副業に挑戦することも選択肢の一つです。近年では副業を解禁する企業も増加しており、場合によっては本業と合わせて収入を増やすことができます。20代は時間とエネルギーに恵まれた時期であるため、この時期を活用し、長期的なキャリア形成につながる選択を行うことが重要です。

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30代・40代の年収分布と稼ぎのピーク

30代の平均年収とボリュームゾーン

30代はキャリア形成の中核となる年代であり、年収も大きく上昇する傾向が見られます。2023年のデータによると、30代の平均年収は451万円で前年比4万円増加しています。この年齢層では、300万円から500万円台の年収帯がボリュームゾーンとなっており、特に400万円から500万円未満に多くの人が分布しています。平均年収が全国の中央値(427万円)に近いことからも、30代が全体の収入の基準を示す重要な年代であると言えます。

40代の年収ピークの傾向と課題

40代は多くの人にとって年収のピークを迎える年代です。データでは40代の平均年収が519万円と示されており、30代よりもさらに昇給が進んでいます。また、年齢による昇進や役職の獲得が収入向上に寄与していると言われています。しかし、全ての40代が高収入を得られているわけではなく、業種格差や地域差が存在します。また、この年代では教育費や住宅ローンなど支出が増える傾向にあり、必ずしも年収が生活の余裕に直結しているわけではありません。

ミドル層の年収が抱える格差の実態

30代から40代にかけてのミドル層では、年収の格差が顕著に現れています。例えば、業種別ではITや金融業で働く人の年収が高水準である一方、地方の中小企業に勤務するケースでは平均を下回る傾向があります。また、厚生労働省の統計によると、年収200万円から300万円の層が全体の13.9%を占めており、十分な所得を得られない人が一定数存在していることも課題です。この格差は個々のキャリア選択やスキル習得によって変動し得るため、年収の向上を目指す人にとって、自身のスキルや経験を磨くことが不可欠となっています。

稼ぎのピークで重要なキャリア選択

30代や40代の稼ぎのピークを迎える年代で重要なのは、キャリア選択の方向性です。この時期に管理職や専門職といった役職に進むか否かが、その後の年収に大きな影響を与えます。また、激しい競争のある業界では転職による年収アップが一般的な手段でもあります。例えば、dodaのデータによると、年収600万円以上の転職成功者の多くは30代後半から40代前半に集中しています。一方で、不確実な転職やキャリアチェンジは収入にマイナスの影響をもたらすリスクもあるため、慎重な判断が求められます。この年代では、短期的な収入増加だけでなく、中長期的なライフプランや働き方の見直しも視野に入れたキャリア戦略が重要となります。

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50代の年収分布とキャリアの後半戦

50代の平均年収とその特徴

50代の平均年収は607万円とされ、これは全年代の中でも高い水準に位置しています。特に、50代後半になると年収のピークを迎えるケースが多く、59歳の平均年収が734万円と最高値を記録しているのが特徴です。この年齢層では、管理職や専門職に就いている人が多いため、他の年代と比較して年収が高くなる傾向にあります。

ただし、中央値に目を向けると、全体の年収分布から見ると約427万円程度となることが多く、50代の中でも高所得者と低所得者の格差が大きいことが推察されます。このような格差が生じる背景には、長年のキャリア形成や業界特性、さらには地域差といった要因が絡んでいます。

50代の年収減少をどう乗り越えるか

50代後半に入ると、定年や役職定年が見えてくるため、年収が減少するケースが少なくありません。一部の企業では役職に応じた給与体系が採用されているため、管理職を外れると収入が大幅に減少することがあります。また、転職やキャリアチェンジを余儀なくされた場合、新しい職場での年収が現職より低くなるリスクもあります。

この減少を乗り越えるためには、早い段階から副業やスキルの習得に力を入れることが大切です。近年、副業を認める企業が増えてきており、これを利用して隙間時間に収入を補う方法が注目されています。また、自身の市場価値を見極め、専門スキルや資格を活用して仕事の幅を広げることも効果的です。

リタイア前のキャリア戦略と副業の可能性

リタイア前の50代では、キャリアと収入のバランスをどう保つかが大きな課題です。一つの戦略として、「現役時代のスキルを活かした副業」や「定年後の再雇用」などを視野に入れることが挙げられます。特に、自分の経験を活かしたコンサルティング業や講師業、副業でのサービス提供など、ストレスを抑えながら収益を上げる手段は多岐にわたります。

また、50代以降は全力で稼ぐだけでなく、適切なライフプランを設計することも重要です。例えば、リタイア後の生活資金を見据え、個人型確定拠出年金(iDeCo)や株式投資など、安定的な資産運用を検討する人も増えています。こうした準備を進めることで、不意の収入減少にも備えることができます。

50代以降の年収とライフプランの調整

50代になると、子どもの独立や住宅ローンの完済といったライフイベントが次々と訪れ、年収がそのまま生活の質に影響を与える局面が多くなります。一方で、60代以降のリタイアを見据えた収支バランスの調整も欠かせません。平均年収や収入分布を参考にしながら、老後生活に必要な金額を逆算することが求められます。

また、支出を抑えることで生活のバランスを維持する方法も有効です。例えば、趣味や余暇活動の見直し、住居費の削減、無駄な保険契約を整理するといった工夫が挙げられます。同時に、支出を減らしながら副業や資産運用で収入を補完することで、余裕のある生活を実現することができるでしょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)