次世代を切り拓く!リース業界の海外進出戦略と成功事例

リース業界が直面する国内外の現状と課題

国内市場の限界と成長率の停滞

日本のリース業界は、国内市場での成長が長年課題となっています。1991年に記録されたピーク8.8兆円以降、経済成長の鈍化や市場規模の縮小により取扱高は下降を続け、2010年には4.6兆円にまで縮小しました。その後も伸び悩みが続き、2021年度の取扱高は約4兆2186億円に留まっています。リース会計基準の改正や国内経済の成熟化が一因となり、大きな成長機会を見出すことが難しくなっています。このような状況下で、多くのリース会社が安定した成長を求めるため、海外市場への進出に活路を見出そうとしています。

アジア市場を中心とした成長機会

日本国内でのリース市場成長が停滞する中、アジア市場は大きな成長の可能性を秘めています。例えば、ベトナムなどの新興国では設備投資需要が増加し、未発達なリース市場が巨大な成長ポテンシャルを持っています。また、東南アジア諸国では、70年代から日系リース会社が進出しインフラ整備や企業活動の支援を行ってきた実績があります。これらの市場は、急速な経済成長とともにリース業界にとって引き続き注目すべき地域であり、その需要に応じた柔軟なサービス展開が求められています。

各国のリース制度と市場特性

リース業界が海外進出を進める上で重要なのは、進出する国々のリース制度と市場特性を正確に把握することです。国ごとに異なる税制、会計基準、規制などが存在するため、それらに対応できる柔軟な戦略が求められます。また、多くの国際市場では、リース契約自体が日本市場ほど普及しておらず、認知向上や啓発活動が必要となる場合があります。一方で、欧米やアジアの一部地域では、既存の大手リース会社が競争を激化させていることもあり、市場調査を通じた適切な戦略立案が欠かせないものとなっています。

COVID-19後の市場変化と海外展開の重要性

COVID-19のパンデミックは、世界の経済構造に大きな影響を与えました。日本国内のリース市場では、一部の業界で需要が減少した一方で、リモートワークの増加に伴う情報通信機器の需要が拡大しました。これにより、DX(デジタル・トランスフォーメーション)関連分野が成長分野として脚光を浴びています。一方で、海外市場では、パンデミック終了後の回復期において大規模な設備投資が進む地域が多く見られます。特にアジア新興国では、インフラや製造業を中心にリース需要が増加しつつあり、日本のリース会社が海外進出を加速する意義はますます大きくなっています。

激化する競争と差別化の必要性

リース業界における競争は、国内外において一層激化しています。国内市場では、成熟化する市場環境において新たな価値提供が求められています。また、海外市場では、グローバルプレイヤーや地元の強力な競合に対抗するため、他社との差別化戦略が欠かせません。特に、デジタル技術を活用した効率的な運用や、新興技術分野への特化が競争優位性を築く鍵となります。リース業界が持続的な成長を遂げるためには、革新的なサービスや付加価値の提供を通じて市場での独自性を確立する必要があります。

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効果的な海外進出戦略とパートナーシップ

市場調査と現地の規制把握

リース業界が成功するためには、最初のステップとして進出予定の地域における市場調査が欠かせません。その地域の経済状況や成長可能性を把握することで、適切な戦略を構築することができます。また、各国のリースに関する法律や規制は多様であるため、現地の規制に精通することが重要です。例えば、アジアの一部地域ではリースの税制優遇制度が整備されており、これを活用することで業務を効率化できます。適切な市場調査と規制の把握は、海外展開でのリスクを最小限に抑える鍵となります。

現地企業との協業によるシナジー効果

海外進出に成功するためには、現地のパートナー企業との協業が重要です。現地企業と連携することで、地域特有の市場特性や顧客ニーズを把握しやすくなります。この協業は単なる取引関係にとどまらず、互いの知識や技術を活用することでシナジー効果を生み出すことにつながります。例えば、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は現地企業と協力し、東南アジア市場での事業拡大を実現しました。このようなコラボレーションは、海外展開を加速させるポイントとなります。

新興市場のターゲティングとアプローチ

新興市場へのターゲティングは、リース業界が海外で成長するための重要な戦略です。特にアジアやアフリカなど、今後の経済成長が期待されている市場は魅力的な進出先として注目されています。新興市場では未発達なインフラや制度が課題となる一方、これが大きな成長機会となる可能性もあります。例えば、ベトナムではリース市場の発展が期待されており、早期に参入することが競争優位の確立につながるでしょう。地域ごとの特性を理解した上で、適切なアプローチを実行することが鍵となります。

デジタル技術の活用と効率化

デジタル技術の活用は、海外展開において業務効率化と競争優位性の確立に寄与します。例えば、クラウド技術やデータ分析を活用して顧客管理や需要予測を精度高く行うことが可能となります。さらに、DX(デジタル・トランスフォーメーション)関連の技術は、新たなリースモデルの構築や運用効率の向上にも役立ちます。リース業界におけるデジタル化の進展は、企業がグローバル市場での競争を勝ち抜くための不可欠な戦略です。

国際的な人材育成とチーム構築

海外展開において、国際的な視点を持つ人材の育成は欠かせません。現地市場の文化や商習慣を理解し、柔軟に対応できる人材がいることが、海外での事業成功に直結します。また、多国籍メンバーで構成されるチームを築くことは、多様な視点やアイデアを取り入れることにつながり、イノベーションを促進します。三井住友ファイナンス&リースをはじめとするリース業界の多くの企業が、海外展開における鍵として人材育成に注力しているのもそのためです。

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成功事例に学ぶ:リース企業の海外展開

東南アジア市場での急成長事例

リース業界の海外展開において、東南アジアは近年急成長している市場の一つです。この地域は経済成長が著しいだけでなく、中小企業の設備投資需要が高いことから、リース業界にとって大きな可能性を秘めた市場といえます。例えば、三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は、東南アジア諸国で現地企業とのパートナーシップを強化し、建設機器や車両リースサービスの提供を進めています。ベトナムなどの未発達市場においては、設備投資ニーズに応じた柔軟なサービスが成功要因となり、利用者の信頼を獲得しています。

欧米市場への長期的進出計画

欧米市場もリース業界にとって重要な海外展開のターゲットとなっています。この地域ではリース事業が成熟している一方で、より効率的なサービスや新たなソリューションの提供により競争優位性を確立することが求められます。オリックスをはじめとする日本の主要リース企業は、欧米市場への長期的な投資計画を進行中であり、特に航空機リースや不動産リースといった分野で存在感を強めています。また、現地の文化やニーズに対応するため、多国籍企業との協力体制を構築するケースも増えています。

現地法人の設立と運用効率化

海外市場での成功には、現地法人の設立とその効率的な運用が重要です。例えば、SMFLは進出先の規制や文化を深く理解し、現地企業との密なネットワークを構築することで、多様なリースサービスを提供しています。さらに、デジタル技術を活用した運用効率化やコスト削減に取り組むことで、競争力を維持しています。現地法人の成功には、市場調査を徹底し、政府規制や法制度を適切にクリアする戦略が欠かせません。

成長分野への特化:新エネルギーやDX関連

リース業界の海外展開において、新エネルギーやDX(デジタル・トランスフォーメーション)関連分野への特化が大きなトレンドとなっています。太陽光発電設備や電気自動車といった新エネルギー分野へのリースの需要が拡大しており、これに対応することで企業は市場での存在感をさらに高めています。また、情報通信機器やデータセンター設備のリースに注力することで、DXを進める企業を後押しする動きも活発化しています。このような分野への特化は、成長市場での差別化につながり、成功の鍵となっています。

リース事業のM&Aによる市場支配強化

M&A(合併・買収)は、リース業界における海外市場でのシェア拡大や競争力強化において重要な戦略の一つです。特に欧米やアジアの成熟市場では、地元企業を買収することで既存顧客基盤へのアクセスを迅速に確立し、新規事業を展開するケースが増えています。例えば、航空機リースや建設機器リースを中心に、グローバルな視点から事業ポートフォリオを拡大している日本企業も見られます。このようなM&A活動は、市場の多様化や経済変動に対応するための重要な手段となっています。

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今後の展望と海外進出へのさらなる可能性

グローバル市場におけるリース事業の未来

リース業界は、これまでの成長を維持しながらグローバル市場でさらなる進化が求められています。特にDX関連分野や新エネルギーに関連する市場は、各国での規制緩和や設備投資の増加によって注目されています。リース業界はこうした市場機会を活かし、設備投資を支える重要な役割を果たすことが期待されています。また、国内市場では成長率が停滞していることから、海外進出により持続的な事業拡大を図る動きはますます加速すると見込まれます。

新興技術とリース事業の融合

新興技術の台頭はリース業界にも変革をもたらしています。IoTやAI、ブロックチェーンを活用した契約管理の効率化は、競争力の強化に直結します。また、電気自動車や再生可能エネルギー設備など、高度な技術が必要な分野での需要増加は、リース契約の範囲を広げるチャンスを生み出しています。海外市場でもこうした技術や商品への関心が高まっているため、新興技術を取り入れることで国際的な競争力を高めることができるでしょう。

持続可能性と国際規制への対応

近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みがリース業界にも求められています。特に海外進出に際しては、各国で異なる規制に対応しながら、持続可能なリース事業を展開することが不可欠です。また、炭素排出削減をサポートする設備のリースや、再生可能エネルギー分野への投資支援は、環境規制を遵守しながら市場での信頼性を高める重要な要素となります。持続可能性に向けた取り組みが、企業としての価値をさらに高めるでしょう。

未開拓市場への挑戦と展望

東南アジアやアフリカなど、これまであまり注目されてこなかった新興市場は、リース業界にとって重要な戦略ターゲットです。これらの地域では、インフラ整備や産業発展に伴う設備投資が活発になることが予想されています。リースは購入費用の負担を軽減する手段として評価されるため、経済の成長に合わせてリース需要も飛躍的に高まる可能性があります。未開拓市場に進出することで、新たな成長エンジンを獲得することができるでしょう。

企業同士の連携とエコシステム形成

グローバル市場での競争が激化する中、リース会社が単独で市場を拡大することは難しくなっています。現地企業との連携や業界を超えた企業間の協働は、より高度なサービス提供や効率化を実現するカギとなります。また、エコシステムを形成することで、リースサービスを地域や業種ごとに最適化できるだけでなく、リース事業そのものの付加価値を高めることが可能です。このように、企業間の連携を軸に、海外での持続的な事業拡大を進めていくことが期待されます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)