コトラ（広報チーム） 
リース業界の概要と市場規模
リース業界とは？その特徴と基礎を理解する
リース業界とは、企業や個人が必要な設備や資産を、一定期間借り受ける契約を提供するビジネスのことを指します。リース取引は、購入ではなく借りるという形態を取るため、企業が天候や経済状況に左右されがちな大規模な設備投資リスクを回避する手段として多く利用されています。この仕組みの特徴として、使用料を一定期間分割して支払うことで初期投資の負担を軽減できる点が挙げられます。
さらに、リース業界では、リース会社が資産の管理を行い、中途解約ができないというのも特徴です。これにより、利用者は設備や機器自体に関するメンテナンスや管理の負担を軽減できるため、本業に集中することが可能となります。
近年のリース市場の成長背景
近年、リース市場は急速に拡大しています。その背景にはいくつかの理由が挙げられます。まず、経済活動の活発化による設備投資の需要増加が挙げられます。特に、企業が経営の効率化やコスト削減を図る際にリースという選択肢を積極的に活用する場面が増えています。
また、新型コロナウイルスからの経済回復やDX（デジタルトランスフォーメーション）の推進に伴い、デジタルデバイスや再生可能エネルギー関連の設備リースの需要が急増しています。特に、テレワークの普及に伴うパソコンやタブレットなどのリース利用が顕著です。さらに、持続可能性やカーボンニュートラルへの意識が高まる中、SDGs達成に向けたサステナブルなリース商材も注目を集めています。
リース業界と他業種との関わり
リース業界は、さまざまな業種と緊密に関わっています。製造業では生産設備のリース、建設業では重機や作業車両、医療業界では高価な医療機器のリースが顕著です。また近年、物流業界ではトラックや倉庫のオートリースの需要が拡大しています。
さらに、リース業界は金融業界とも密接な関係があります。多くの大手リース会社は金融機関のグループ企業であり、資金調達力を生かして魅力的なリースプランを提供しています。このように、リース業界は他業種の成長に寄与する重要な役割を果たしています。
リース取引の主要分野とトレンド
リース取引は、具体的な分野別に見ると、オートリース、デジタルデバイス関連、そして再生可能エネルギー設備などが主要な分野となっています。特に、オートリースの分野では、企業向けの車両リースサービスが増え、電動車（EV）リースも注目されています。
一方で、テレワークの拡大に伴い、パソコンやモニターをはじめとする電子機器のリースも急成長しています。また、再生可能エネルギー分野では、太陽光発電設備や蓄電池のリースが環境対応の一環として人気を集めています。これらのトレンドは、リース業界が社会のさまざまなニーズに応じた柔軟なサービスを提供していることを示しています。
売上高ランキングトップ10企業の実態
1位 オリックス：成功の鍵となる事業戦略
リース業界において圧倒的な売上高を誇るオリックスは、2021年度に2兆2927億円という高い水準を記録しました。その成功の鍵は、リース事業にとどまらず、さまざまな分野で事業領域を広げている点にあります。例えば、金融サービス、不動産、再生可能エネルギー、さらには航空機や船舶リースといったグローバルな領域に進出していることが特徴です。また、SDGsや環境への配慮が注目される中、オリックスは太陽光発電やバイオマス事業など、持続可能なエネルギー分野にも積極的に投資しています。このように、多角的な事業展開が競争力を強化し、売上高の安定的な増加に寄与しています。
2位 三井住友ファイナンス＆リース：その強みと独自性
三井住友ファイナンス＆リースは、売上高1兆4382億円と業界第2位の規模を誇ります。同社の強みは、三井住友フィナンシャルグループのネットワークを活用した高い信用力とスケール感にあります。また、さまざまな企業のニーズに応えるためのカスタマイズされたリースプランの提供や、デジタルデバイス、オートリース分野への迅速な対応も特徴です。特に、2025年以降の見通しにおいて重要とされるEVリースやテレワーク需要に応じたオフィス関連のリース商品にも力を入れています。これらの柔軟かつ幅広いサービス展開が、同社の競争優位性を支えています。
3位 三菱HCキャピタル：多様な事業展開と成長力
三菱HCキャピタルは、売上高8943億円でランキング第3位に位置しています。同社の大きな特徴は、多様な事業領域でのリース提供と国内外への広範なネットワークです。特に、航空機や船舶といった大型資産のリースや、再生可能エネルギー関連への参入など、成長性の高い分野に積極的に投資を行っています。また、グローバル展開を推進し、アジアをはじめとした成長市場に注力しています。顧客ニーズを的確に捉え、多様なソリューションを提供する姿勢が、同社の安定した売上成長を支える要因となっています。
ランクイン企業のビジネスモデル比較
リース業界で売上高上位にランクインしている企業には、共通点と差別化ポイントが見られます。例えば、オリックスや三菱HCキャピタルは、多角化戦略を強みとし、不動産やエネルギー分野も含めた総合的な事業展開に注力しています。一方、三井住友ファイナンス＆リースは、金融グループの資本力を活かした信用枠の提供や、EVやICT分野といった特定の成長分野への特化を進めています。
これらの企業はそれぞれの強みを活用しながら、持続可能な社会の実現に貢献するためのサステナビリティへの取り組みを進めると同時に、アフターコロナによる需要変化にも柔軟に対応しています。ランクイン企業が成長を続ける背景には、こうしたビジネスモデル間の差別化と独自性が大きく影響しています。
トップ企業が成長を続ける理由
新興市場への進出と事業多角化の重要性
リース業界のトップ企業が成長を続ける鍵は、新興市場への積極的な進出と事業の多角化にあります。例えば、再生可能エネルギー設備やデジタルデバイスといった新たな需要の高まりに対応し、企業はリースの対象分野を広げています。これにより、従来のリース領域に限定されない幅広い顧客層を獲得することができ、安定した売上高を維持しています。また、新興国市場の進出も、経済成長が著しい地域でのビジネスチャンスを広げる戦略のひとつとして注目されています。
ICTや再生可能エネルギー分野の需要拡大
近年、ICT（情報通信技術）や再生可能エネルギー分野での需要がリース市場の成長を押し上げています。特にテレワーク需要の拡大に伴いパソコンやタブレット端末のレンタル・リース需要が増加しており、これをいち早く取り入れた企業が市場で競争優位性を確立しています。さらに、企業や自治体がSDGs（持続可能な開発目標）やカーボンニュートラルの達成を目指す中で、EV（電動車）や太陽光発電設備などのリースサービスにも注目が集まっており、リース業界の売上高向上に寄与しています。
グローバル展開による競争優位性の確立
リース業界トップ企業は、国内市場だけでなくグローバル市場への進出も進めています。例えば、オリックスや三菱HCキャピタルは海外でのM&Aや合弁事業を積極的に展開しており、多様な地域でのリースニーズに対応しています。これにより、国際的な市場で競争力を高め、為替リスクの分散や多国籍企業との取引を拡大させています。グローバル展開による収益の安定化も、成長を支える重要な要因となっています。
アフターコロナの需要変化と柔軟な対応
新型コロナウイルスによるパンデミックが落ち着きを見せる中、アフターコロナの需要変化に柔軟に対応することがリース業界各社の成長を支えています。特に、企業の資金調達ニーズに応じた柔軟なリース条項や定額サービスの提供が評価されています。また、オフィススペースの再編や業務効率化を目的に、新たな設備投資を検討する企業が増えており、これらの動きはリース需要を拡大させる要因となっています。トップ企業はこうした状況をいち早く捉え、的確なサービス提供を行うことで高い売上高を維持しています。
リース業界が直面する課題と将来展望
市場競争の激化と差別化戦略の必要性
リース業界は、国内外での市場競争が激化している現状に直面しています。特に、主要企業が多角化戦略を進める中で、各社がいかに他社との差別化を図るかが重要な課題となっています。リース業界は、売上高を伸ばすために、単に資産を貸し出すだけでなく、顧客の課題解決に貢献する付加価値型サービスを提供することが求められています。たとえば、ICTを活用した資産管理サービスや、近年注目される再生可能エネルギー設備を活用した新しいリース商品は、競争力を高める上で効果的です。
規制・法改正がもたらす影響
リース業界は、規制や法改正にも影響を受けやすい業界です。たとえば、新たな税制改革や、会計基準の変更は、企業のリース契約に直接影響を及ぼす可能性があります。また、環境関連法規制の強化やSDGs目標達成に向けた施策は、業界全体に新しい規制対応や製品開発を求めています。例えば、カーボンニュートラル達成をサポートする設備リースへ転換する動きなど、法律や規制への迅速な対応能力が企業の競争力を左右します。
デジタル化の進展と業務効率化へのチャレンジ
リース業界では、デジタル化の波が押し寄せており、業務効率化が企業の生産性向上や競争力維持においてますます重要視されています。具体的には、AIやIoT、ビッグデータを活用した契約管理システムや顧客分析ツールの導入が進んでいます。また、リース管理のデジタルプラットフォーム化により、顧客とのやり取りを効率化し、迅速に多様なニーズに応えることが可能となります。このような取り組みは、売上高向上にも貢献するため、各社での競争力強化には欠かせない要素です。
サステナビリティへの取り組みと社会的責任
環境問題や社会的責任の重要性が高まる中、リース業界でもサステナビリティへの取り組みが求められています。カーボンニュートラルを目指した製品開発や、再生可能エネルギー設備をリース事業に組み込むケースがその代表例です。また、企業に貸し出す車両を電動車（EV）へ移行させるなど、持続可能な社会に向けたビジネスモデルの進化が必要です。このような取り組みは単に社会的責任を果たすだけでなく、環境配慮型のサービスを求める顧客ニーズへの対応にもつながります。