オペレーションリスク管理に従事してきた方は、業務フローや内部統制、ガバナンスに精通しており、コンプライアンス領域でもそのスキルを大いに活かすことができます。法令遵守に加えて、企業行動の倫理的側面まで担うコンプライアンス部門は、企業の持続的成長を支える重要な役割を果たしています。本記事では、オペレーションリスクからコンプライアンスへと転職するためのステップを、志望動機と職務経歴書のサンプルとともにご紹介します。
ステップ1:コンプライアンス業務の理解
- 法令・規制対応(金融商品取引法、個人情報保護法など)
- 社内規程・ガイドラインの整備と運用
- コンプライアンス研修・教育の企画実施
- 社内通報・調査対応(ホットライン運用)
- リスクベースのモニタリングとチェック体制の構築
コンプライアンスは法務・リスク・業務をまたぐ部門であり、現場との連携力と、俯瞰的な管理能力が問われます。
ステップ2:オペレーションリスク経験の活かし方
- 業務プロセス・リスク分析力 → 不適切業務の発見・是正に直結
- 内部統制整備経験 → コンプライアンスルール策定に活用
- リスクマネジメント視点 → リスクベース管理やモニタリング体制に強み
ルールの「運用実態」まで把握しているオペリスク経験者は、形骸化しないコンプライアンス体制を構築できる人材として重宝されます。
ステップ3:補完すべきスキル・知識
- 関連法令の知識(金融商品取引法、AML/CFT、GDPRなど)
- 法務・社内弁護士との連携力
- 社内教育・啓発資料の作成スキル
- 外部監査・行政対応の基礎知識
ステップ4:志望動機に「信頼される企業文化の基盤をつくりたい」意志を込める
「ルールを守らせる」ことが目的ではなく、「誠実な企業活動を支えたい」という前向きな姿勢を示すことが重要です。
志望動機(例文)
私はこれまで金融機関のオペレーションリスク管理部門にて、業務リスクの可視化、内部統制整備、業務改善に従事してまいりました。その中で、リスクの未然防止や統制環境の整備が企業の信頼性に直結することを痛感し、より広い視点から組織全体の誠実な運営を支えるコンプライアンス業務に強い関心を抱くようになりました。今後は、業務とルールの橋渡し役として、貴社の健全な事業運営と企業価値の向上に貢献したいと考えております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:高橋 真紀 連絡先:maki.takahashi@example.com|080-1234-5678 【職務要約】 大手銀行にてオペレーションリスク管理業務に5年間従事。業務リスク分析、内部統制・規程整備、業務改善を通じて、業務品質と法令遵守体制の強化に寄与。今後はコンプライアンス部門にて、統制の仕組みづくりと企業倫理の定着支援を志望。 【職務経歴】 株式会社〇〇銀行(2019年4月〜現在) コンプライアンス・リスク統括部 オペレーションリスク管理担当 主な業務: - 各部門の業務リスクヒアリング・フロー分析 - 内部統制文書・規程の整備、社内レビュー対応 - コンプライアンスリスクの棚卸・是正報告対応 - 監査法人対応、業務改善に関する部門提案 【スキル・資格】 - リスクアセスメント、規程作成、業務改善提案 - 日本CFO協会認定BATIC、TOEIC 820点 - コンプライアンスオフィサー資格(受講修了) 【学歴】 一橋大学 社会学部 卒業(2019年3月)
コンプライアンスは“ルールをつくる”だけでなく“ルールが根付く文化をつくる”仕事です。業務理解と改善志向を活かし、誠実な企業活動を支える新たな一歩を踏み出しましょう。