アクチュアリーや保険数理の実務経験は、データ分析や数理モデル構築に関する高度なスキルが求められる専門職です。一方で、近年はこうした定量スキルを活かして、より事業に近い立ち位置で価値創出を担いたいと考える人が「マーケティング・企画」職への転身を志すケースも増えています。本記事では、アクチュアリー・数理業務からマーケティング企画へのキャリアチェンジを実現するためのステップと、志望動機・職務経歴書のサンプルを紹介します。
ステップ1:マーケティング・企画業務の理解
- 市場・顧客ニーズ分析(定量・定性調査)
- 商品・サービス企画立案
- プロモーション・販促戦略の設計
- KPI管理・キャンペーン評価
- 営業部門・開発部門との連携、事業成長戦略立案
マーケティング企画は「ユーザー視点」「市場視点」に立って事業をつくる思考が必要です。データ分析スキルに加え、ストーリー設計やコミュニケーション力が問われます。
ステップ2:アクチュアリー経験の活かし方
- 数理的分析スキル → KPI分析やLTV計測、顧客セグメント分析に応用
- ロジカルな思考力 → 新商品や施策の仮説設計・検証に役立つ
- データ処理能力 → SQL・Excel・BIツールを用いたマーケティングダッシュボード構築に活用
保険業界のプロダクトやチャネル理解も、特にインシュアテックや金融マーケティング分野で強力な武器になります。
ステップ3:補完すべきスキル・知識
- マーケティングフレームワーク(STP/4P/3Cなど)
- UX思考、カスタマージャーニー設計
- プロモーション施策(オンライン/オフライン)
- デザイン・コピー・ブランド企画の基本理解
ステップ4:志望動機に「事業に近い立場で意思決定したい」意志を込める
「高度な分析力を活かして、より顧客や市場に向き合う立場で課題解決に貢献したい」という文脈が効果的です。
志望動機(例文)
私はこれまで保険会社のアクチュアリーとして、商品開発や数理モデルの構築、リスク評価に携わってきました。業務を通じてデータを読み解く力や仮説検証力を磨く一方で、次第に「より顧客や市場に近い場所で、分析をもとに施策を企画・推進したい」という想いが強くなり、マーケティング・企画職へのキャリア転換を志望するに至りました。貴社のようにデータドリブンで事業戦略を推進する体制に強く共感しており、分析スキルを軸に、事業成長に貢献できるマーケターとして挑戦したいと考えております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:山本 彩香 連絡先:ayaka.yamamoto@example.com|080-4567-1234 【職務要約】 大手生命保険会社にてアクチュアリーとして5年間勤務。商品設計、料率設定、収益性評価、数理モデル構築に従事。今後は分析力を活かし、マーケティング・商品企画を通じて事業成長に貢献するポジションを志望。 【職務経歴】 株式会社〇〇生命(2019年4月〜現在) 商品数理部 アクチュアリー担当 主な業務: - 新商品に関する保険料率設計・収益分析(NPV/IRR) - 商品シミュレーションモデル構築(Excel/Access/VBA) - 顧客層ごとの収益性・脱退率分析 - 金融庁提出資料の作成・対応 【スキル・資格】 - Excel(関数/VBA)、SQL、Tableau - 日本アクチュアリー会一次試験(数学/生保/年金)合格 - TOEIC 830点 【学歴】 東京大学 理学部 数学科 卒業(2019年3月)
数理的な強みを、顧客理解・市場分析・施策実行という「価値創出のフロント」に活かし、マーケティングのプロフェッショナルとしての新たなキャリアを築いていきましょう。