プロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトリーダー(PL)としての経験を積んだ方の中には、現場起点のマネジメントや実行力を活かして、製造業における購買/調達/サプライチェーンマネジメント(SCM)領域へのキャリアチェンジを目指す方も少なくありません。製造業においては、調達・物流・在庫管理といった領域でITやプロジェクト運営の視点が求められるケースが多く、PM・PL経験は大きな強みになります。本記事では、PM・PLから購買・SCM職への転職ステップを解説し、志望動機と職務経歴書の例を紹介します。
ステップ1:購買/調達/SCMの業務理解
製造業の購買・調達・SCM職では、以下のような業務が中心となります:
- 購買戦略の立案と仕入先評価・選定
- 資材の発注管理、納期調整、価格交渉
- 調達先との契約・品質管理・コスト管理
- 生産計画との連携による在庫・物流管理
- グローバルSCM最適化やITシステム導入支援
近年では、SCMのデジタル化(SCM DX)や持続可能な調達(サステナブルプロキュアメント)にも関心が高まっています。
ステップ2:PM・PLの経験を購買・SCMにどう活かすか
- 要件定義・業務設計 → 調達・購買システム導入プロジェクトの推進
- ステークホルダー調整 → 工場/仕入先/開発部門との調整業務
- コスト・納期管理 → サプライチェーン最適化、KPI管理への応用
また、PM・PLとしての課題解決力、ITリテラシーは、SCM領域でのシステム導入や業務改革にも貢献できます。
ステップ3:補完すべき知識・スキル
- 購買・調達の基本用語(PO、納期回答、インコタームズ等)
- SCM理論(MRP、BOM、需要予測、JITなど)
- ERPやSCMシステム(SAP、Oracle SCM Cloud、Kinaxis等)の理解
- 資格:サプライチェーン関連(CPIM、SCOR、ロジスティクス管理など)
ステップ4:志望動機に“モノづくり支援”と“業務改善”の視点を盛り込む
購買・調達・SCM職は、企業の生産活動を支える中核機能です。「ものづくりの根幹に関わり、安定的かつ効率的な供給を支える」という視点を軸に、志望動機を構成しましょう。
志望動機(例文)
私はSIerにてPM/PLとして、業務システムの設計・導入を通じて企業の業務効率化を支援してまいりました。その中で、製造業クライアントのSCMシステム刷新に関わった経験から、調達・購買業務の奥深さと重要性に魅了されました。今後は、モノづくりの現場に近い立場で購買・調達・SCMの実務に携わり、安定供給とコスト最適化に貢献することで、企業競争力の向上に寄与したいと考えております。特に、貴社がグローバルな調達ネットワークとデジタルSCMを推進されている点に強く共感し、私のIT知識とプロジェクト推進力を活かして貢献したく、志望いたしました。
職務経歴書(サンプル)
氏名:佐藤 翔太 連絡先:shota.sato@example.com|080-1234-5678 【職務要約】 SIerにて6年間、業務系システムのPM/PLとして従事。製造業や流通業向けの業務改善プロジェクトにて、要件定義・業務設計・導入まで一貫して支援。特にSCM・在庫管理領域のシステム刷新を主導した経験を持ち、今後はユーザー側として調達・購買・SCM実務に深く関与したいと考えている。 【職務経歴】 株式会社〇〇テック(2018年4月〜現在) ITソリューション本部 プロジェクトマネージャー 主な業務: - 製造業向けSCMシステム刷新プロジェクトのPM(15名体制) - 購買・在庫管理モジュールの要件定義、プロセス改善提案 - SAP導入案件にて購買BPRワークショップのファシリテーション - 納期管理機能の仕様策定と業務部門との調整 実績: - 製造業クライアントにて調達リードタイム15%短縮を実現 - 小売業向け発注管理システムの導入により欠品率を30%改善 【スキル・資格】 - SAP MM、Excel VBA、PowerPoint、要件定義スキル - 日商簿記2級、SCM講座受講済(日本ロジスティクスシステム協会) - TOEIC 810点 【学歴】 東京理科大学 工学部 経営工学科 卒業(2018年3月)
PM・PLとしての業務理解力、ステークホルダー調整力、ITスキルは、購買/調達/SCM領域でも大いに活かすことができます。「モノづくりを支える」視点から、より実務に近いポジションへのキャリアチェンジに挑戦してみましょう。