デジタル変革の進展に伴い、データエンジニアの重要性が高まっています。PM(プロジェクトマネージャー)・PL(プロジェクトリーダー)として開発経験を積んできた方にとって、次のキャリアとしてデータエンジニアを選択することは、技術スキルとプロジェクト管理力を両立させる魅力的な選択肢です。本記事では、PM・PLからデータエンジニアに転職するためのステップと、志望動機・職務経歴書の例を紹介します。
ステップ1:データエンジニアの業務理解
データエンジニアの主な業務は以下の通りです:
- データ収集・加工・蓄積のパイプライン設計・構築(ETL/ELT)
- データウェアハウスやデータレイクの設計・運用
- SQLやPythonを用いたデータ処理ロジックの開発
- BigQuery、Snowflake、Redshift、Athenaなどの利用
- データガバナンス・セキュリティ設計
PM/PL経験者は、データ基盤構築に必要な要件定義力、プロジェクト推進力に加え、開発とインフラを橋渡しするスキルを備えているため、データエンジニアリングへの適応が期待されます。
ステップ2:PM・PL経験をデータエンジニアとして活かす
- 要件定義 → データ収集要件やビジネス要件の整理
- 設計・開発経験 → ETLパイプライン設計、スキーマ設計
- ステークホルダー調整 → BI部門・分析部門との要件すり合わせ
“誰のために、どのようなデータを、どんな構造で蓄積・可視化すべきか”を考える上流設計力が、PM・PLの経験を通じて養われています。
ステップ3:技術スキルをキャッチアップ
以下のスキル・資格があると即戦力として評価されやすくなります:
- SQL、Python(pandas、Airflowなど)
- クラウド:GCP(BigQuery)、AWS(Athena, Glue)、Azure(Synapse)
- データモデリング(スタースキーマ、正規化・非正規化)
- 資格:Google Cloud Professional Data Engineer、AWS Certified Data Analytics等
ステップ4:志望動機に“技術の社会実装”を込める
データエンジニアは「データを使える状態にする」仕事です。PM的な視点から、ビジネス課題解決に貢献したいという文脈で志望動機を構成しましょう。
志望動機(例文)
私はこれまでSIerにてWebシステム開発のPM/PLとして従事し、顧客の要件整理から設計・実装・リリースまで幅広く担当してまいりました。その中で、特に業務データやログの活用、データ連携基盤の要件整理などを通じて、データ基盤整備の重要性と社会的価値を強く実感するようになりました。今後はデータエンジニアとして、事業成長を支えるデータ構造の設計や信頼性の高いデータパイプラインの構築を通じて、より本質的な価値提供に携わっていきたいと考え、貴社を志望しております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:佐藤 翔太 連絡先:shota.sato@example.com|080-1234-5678 【職務要約】 SIerにて6年間、業務システムのPM/PLとして従事。データ連携要件や業務ログ活用の経験を通じて、データ基盤への関心を高める。現在はSQL・Pythonを用いたデータ分析・ETL設計・クラウド環境でのDWH構築を習得中。今後はデータエンジニアとして企業の意思決定を支えるデータ環境の構築に携わりたいと考えている。 【職務経歴】 株式会社〇〇テック(2018年4月〜現在) ITソリューション本部 システム開発部 PM 主な業務: - 顧客管理・売上分析システムのPM(SQLベースの集計機能要件あり) - AWSを活用した基幹業務システムの再構築PJにおけるデータ連携要件整理 - CSV, API連携による社内DWH更新ロジック設計(BigQueryへ一部移行) 主な実績: - BI活用PJでのデータスキーマ定義支援(営業KPI可視化) - 顧客のSFA・ERPデータ統合要件をとりまとめ、ETL要件書を作成 【スキル・資格】 - SQL(PostgreSQL, BigQuery) - Python(pandas、SQLAlchemy、Jupyter) - Google Cloud 認定 Professional Data Engineer(取得予定) - TOEIC 800点 【学歴】 東京理科大学 工学部 情報工学科 卒業(2018年3月)
PM・PLの経験は、要件定義力と構造設計力という点で、データエンジニアとして大きな武器になります。業務全体を俯瞰できる視点を持ちつつ、データの整備・品質管理・運用設計を担う「攻めのデータ人材」として新たなキャリアを切り拓いていきましょう。