金融機関におけるM&A業務の経験は、企業の中核機能であるIR(投資家向け広報)や経営企画においても高く評価されるスキルセットです。M&Aで培った財務モデリング、業界分析、経営陣との折衝経験などは、企業戦略の立案や資本市場との対話を担うIR・経営企画業務にダイレクトに活かせます。本記事では、M&A(金融)からIR・経営企画にキャリアチェンジするためのステップと、志望動機・職務経歴書の例を紹介します。
1. IR・経営企画が評価するM&A人材の強み
- 財務三表の理解と企業価値評価スキル
- 事業DDや業界分析の経験
- エクイティストーリーの構築力
- 社内外の関係者と信頼関係を築く対人能力
- 資料作成(投資家向け、経営層向け)の構成力・表現力
2. 転職ステップ
STEP1:IR/経企視点での志望理由を明確にする
「企業内部に入り、中長期的な価値創造に携わりたい」「事業の本質を理解し、投資家や経営層と対話したい」といった動機を整理しましょう。
STEP2:M&A経験をIR/経営企画目線で言語化
業界構造理解、財務モデル構築、企業価値の訴求といった経験が、どのようにIRや経営戦略立案に役立つかを具体的に伝えられるようにしましょう。
STEP3:企業理解と熱意をセットで示す
志望企業のIR方針、中計、事業構造を読み込んだ上で、自分の経験がどこにフィットするかを明確にすることが効果的です。
3. 志望動機(例)
金融機関においてM&Aアドバイザリー業務に従事し、業界分析、企業価値評価、経営陣とのディスカッション等を通じて企業の変革に関与してまいりました。数多くの企業と向き合う中で、「単発の取引」ではなく「一企業の価値向上プロセス全体」に継続的に関与したいという想いが強くなり、IR・経営企画職を志望しております。
今後は、M&Aで培った分析力とストーリーテリング力を活かし、御社の中長期的な成長戦略の策定・実行や、投資家との信頼構築に貢献してまいりたいと考えています。
4. 職務経歴書(例)
氏名:佐々木 誠
生年:1989年生まれ(35歳)
学歴:早稲田大学 政治経済学部 卒業(2012年)
職務要約
大手証券会社にてM&Aアドバイザリー業務に8年従事。事業会社・PEファンド向けに、業界分析、企業価値評価、DD支援、経営陣との交渉対応、資料作成(提案書・投資家向け説明資料)などを担当。定量・定性両面から企業価値を読み解く力を強みとし、IR・経営企画領域においても戦略策定・投資家対応に貢献できると考えています。
職務経歴
株式会社○○証券/2015年4月~2024年3月
所属:投資銀行部門 M&Aアドバイザリーグループ
- クロスボーダーM&A:米系メーカーによる日本企業買収(50億円規模)にて財務モデル作成・バリュエーション担当
- 事業再編支援:国内上場企業同士の統合案件にて経営統合シナジーの仮説構築・IR資料作成支援
- 中堅企業向けM&A提案:事業承継案件における後継者不在課題の分析および提案書作成
スキル・資格
- 企業価値評価(DCF, マルチプル)/業界分析/IR資料作成
- 証券アナリスト資格保有/TOEIC 910/Excel・PPT上級
“企業価値の変化を外から支えたM&Aアドバイザー”から、“価値創造の中核に立つIR・経営企画”へ。戦略と対話で、未来を描く。
