財務会計の専門性を持つ人材が、事業再生コンサルタントへとキャリアチェンジするケースが増えています。会計知識を基礎とし、経営改善・再生支援に貢献するこの職種は、経営者の右腕としての戦略的思考と現場に即した課題解決力が求められます。本記事では、財務会計から事業再生コンサルタントに転職するための具体的なステップ、活かせるスキル、面接ポイント、志望動機・職務経歴書のサンプルを紹介します。
1. 財務会計と事業再生コンサルの共通点と違い
- 共通点:財務諸表の読解・分析、資金繰りの可視化、数値管理の重要性
- 相違点:会計は過去の記録・正確性重視、再生コンサルは将来の改善・打ち手の実行を重視
事業再生では、単なる財務分析だけでなく、経営課題の抽出、ステークホルダーとの調整、改善施策の実行力も求められます。
2. 活かせるスキルと経験
- 財務三表の構造理解と分析力
- 資金繰り表作成、キャッシュフロー管理の実務経験
- 決算書作成・監査法人対応経験
- Excelによる財務モデリング、改善シミュレーションスキル
- 経営層との数値報告・資料作成経験
3. 転職準備のステップ
- 事業再生の全体像を理解:再生ADR、私的整理、第二会社方式など再生スキームを把握
- 再生計画書の構造を学ぶ:財務リストラクチャリングと事業面の再構築の両方を意識
- 会計業務の延長としての再生支援経験を整理:赤字部門分析、コスト削減提案など
- チームプレーやハンズオン型支援の理解:机上の分析ではなく現場での実行力を意識
- 志望動機の明確化:“経営に深く入り込み、再生を通じて企業の未来を変えたい”という思い
4. 面接で問われるポイント
- なぜ財務会計から再生コンサルに?
- 過去に関わった改善提案や経営支援のエピソード
- 財務分析だけでなく、事業面への理解があるか
- クライアントとの信頼関係構築力
- 複数の利害関係者を巻き込む調整力
5. 志望動機(サンプル)
これまで財務会計担当として、決算対応や月次資料作成、資金繰り管理などを担当してまいりました。赤字事業の継続性評価や銀行対応など、経営に直結する業務を担う中で、数値の整合性だけでなく企業の根本的な収益改善・再構築に関わりたいという想いが強まりました。貴社のように実行フェーズまで伴走するコンサルティングに強く惹かれ、これまでの財務知識を活かして、クライアント企業の変革に貢献したいと考え志望いたしました。
6. 職務経歴書(サンプル)
氏名:佐々木 陽子
生年月日:1991年6月18日
最終学歴:慶應義塾大学 商学部 卒業
職務経歴:
2015年4月 ~ 現在:株式会社◯◯(製造業) 経理財務部
- 月次・年次決算業務、連結会計処理
- 資金繰り管理、金融機関との折衝(短期借入・リスケ対応)
- 赤字部門のコスト構造分析、施策提案(実施まで担当)
- 監査法人・税理士法人との調整、内部統制文書作成
保有資格・スキル:
・日商簿記1級
・税理士試験 財務諸表論 合格
・Excel(財務モデリング、ピボット)、PowerPoint、Word
・資金繰り表・損益分岐点分析・改善提案資料作成力
7. まとめ
財務会計の経験者が事業再生コンサルに転職することは、企業の裏側を知る専門家として、経営再建の現場でダイレクトに価値を発揮できるキャリアです。分析のその先にある“実行”に関わりたい方にとって、事業再生の現場はやりがいと成長の機会にあふれています。ぜひ自らの経験を活かし、挑戦してみてください。