不動産仲介(売買・賃貸)から不動産アセットマネジメント(アセマネ)に転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

不動産業界において、不動産アセットマネジメント(以下、アセマネ)業務は「不動産を金融資産としてマネジメントする」専門性の高い分野です。近年はJ-REIT市場や私募ファンド市場の拡大を背景に、アセマネ会社での人材ニーズが高まりを見せています。
一方で、賃貸や売買などの不動産仲介業務に従事している方の中にも、キャリアのステップアップとしてアセマネ領域への転身を目指す方が増えています。

本記事では、不動産仲介経験を活かしながらアセマネ職への転職を成功させるためのステップを解説するとともに、志望動機・職務経歴書のサンプルも紹介します。

不動産アセマネとは?

アセットマネジメント(AM)とは、主に不動産ファンドにおける「資産運用業務」を指します。投資家の出資をもとに取得した収益不動産について、賃料収入や売却益を最大化するための戦略立案・実行を担います。

主な業務内容は以下の通りです:

  • 物件取得におけるデューデリジェンスや投資分析
  • PM会社との折衝、リーシング戦略の立案
  • 中長期のバリューアップ戦略の策定
  • 売却戦略の立案と実行
  • キャッシュフロー管理、投資家レポーティング

このように、アセマネは「投資家視点」で不動産を評価・運営し、資産価値を最大化する業務であり、極めて高い専門性と金融的な素養が求められます。

仲介からアセマネへ──キャリアチェンジの現実性

結論から言えば、不動産仲介からアセマネへの転職は十分に可能です。ただし、転職市場では「即戦力」が重視されるため、いかにして自身の仲介経験を「アセマネに役立つスキル」として再定義できるかがカギになります。

活かせる仲介経験の例

  • 収益物件の売買仲介経験(特に法人対応)
  • 賃貸管理やリーシングに関する知見
  • 不動産の収支や利回り計算、物件分析の経験
  • 関係者(オーナー、PM、投資家)との折衝スキル

また、宅建や簿記、ARES認定マスターなどの資格を取得することで、意欲や基礎知識の裏付けにもなります。

アセマネ転職を成功させるステップ

ステップ1:アセマネ業務の基礎理解を深める

まずは業界構造や業務の全体像を理解しましょう。不動産私募ファンド、J-REIT、SPCスキーム、AM・PM・BMの関係などを体系的に学ぶことが重要です。参考書籍やARES教材、セミナーなどを活用しましょう。

ステップ2:資格取得で知識を補完

  • 宅地建物取引士(必須級)
  • 日商簿記2級以上(収支分析に有効)
  • ARES認定アセットマネジャー(AM資格の定番)
  • ビル経営管理士、賃貸不動産経営管理士(保守系にも効果)

ステップ3:志望職種と応募先の特徴を知る

アセマネ業務にも以下のような違いがあります:

  • REIT系 vs 私募ファンド系
  • デベロッパー系AM vs 独立系AM
  • オフィス・商業施設・物流・ホテルなどのアセットタイプ別

これに応じて求められる人物像やスキルも異なります。自分の経験がどう役立つのか、適切なマッチングが重要です。

ステップ4:職務経歴書と志望動機で「即戦力感」を出す

単なる仲介経験の羅列ではなく、以下のような観点で「アセマネ業務につながる強み」として表現しましょう:

  • 収益物件の価格査定や利回り算出の経験
  • オーナーや投資家との折衝実績
  • 賃貸市場やエリア分析に基づく提案経験
  • 提案書・資料作成スキル(PowerPoint, Excel)

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志望動機(例)

私はこれまで約5年間、不動産仲介業務(売買・賃貸)に従事してまいりました。特に、収益不動産の売買仲介や法人テナントの誘致を多く経験し、不動産を「収益資産」として捉える視点を養ってきました。

その中で、不動産の利回りや稼働率、修繕計画といった指標が資産価値に与える影響に興味を持ち、アセットマネジメントというキャリアに関心を深めてまいりました。

現在はARES認定マスターの学習を進めており、ファンドスキームや投資家報告に関する基礎知識も習得中です。これまでの仲介経験を基盤に、不動産価値の最大化を目指すアセマネ業務にチャレンジしたく、志望いたしました。

職務経歴書(例)

■職務要約

不動産仲介会社にて5年間、主に収益不動産の売買仲介および法人向け賃貸仲介に従事。オーナー・法人顧客との折衝を通じ、物件評価、市場分析、収支提案に強みを持つ。現在はアセマネ業務へのキャリア転換を志向し、資格取得と実務知識の習得に取り組んでいる。

■職務経歴

〇〇不動産株式会社(2019年4月 ~ 現在)

  • 収益物件(1棟マンション、店舗ビル等)の売買仲介業務
    – 年間成約件数:12件(平均取引額1億2,000万円)
    – 物件価格査定、利回り計算、シミュレーション資料作成
  • 法人向け賃貸仲介(オフィス・店舗)
    – 年間契約件数:25件
    – 企業の移転支援、エリア比較資料作成、条件交渉
  • オーナー向け提案書作成(PPT・Excel)
    – 賃料相場・修繕履歴・投資収支レポートの提供

■保有資格・スキル

  • 宅地建物取引士
  • 日商簿記2級(2024年合格)
  • ARES認定マスター(学習中)
  • Microsoft Office(Excel, PowerPoint)中級レベル

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まとめ:仲介経験を活かした「不動産×金融」キャリアへ

不動産アセットマネジメントは、「現場」と「金融」の橋渡し役とも言える専門職です。仲介で培った実務感や折衝力は、十分にアセマネの現場で活きます。

大切なのは、「不動産を見る目」に加えて、「投資家の視点」で資産価値を考える発想を持つこと。その準備と努力があれば、仲介からのキャリアアップは決して夢ではありません。

ぜひ本記事を参考に、アセマネへの道を一歩ずつ進んでみてください。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)