コトラ（広報チーム） 
お気に入りに追加
世界の監査法人ランキング：概要と背景
ランキングの重要性と意義
監査法人のランキングは、世界の会計業界における各法人の位置づけを示す指標として重要な役割を果たしています。このランキングを通じて、企業は監査法人の信頼性や実績を客観的に把握することができ、パートナーとしての適正を判断する材料となります。また、会計基準の厳格化やグローバル化が進む中、より高い専門性とネットワークを持つ法人が求められており、ランキングはその競争環境を映し出す一つの指標ともいえるでしょう。
ランキングの選定基準
監査法人のランキングは、一般的に売上高、世界規模での展開状況、従業員数、専門サービスの多様性などを基準に選定されます。たとえば、2024年版の世界的会計事務所ランキングでは、Deloitte、PwC、EY、KPMGの4大監査法人がトップ4を占めており、それぞれの売上高やサービス領域が評価されています。選定基準は透明性を重視しており、会計業界全体の健全性を保つ一助となっています。
近年の会計業界の動向
近年、会計業界ではデジタル化とグローバル化が進んでいます。特にビッグデータや人工知能（AI）の活用が進み、監査プロセスの効率化や精度向上が図られています。また、国際的な規制が厳しくなる中、コンプライアンス強化のためのサービス需要が増加し、各監査法人が競争的に新たな分野に進出する傾向も見られます。さらに、中規模や新興監査法人が積極的に台頭しており、業界全体が大きく変化しているのが特徴です。
ランキングが企業に与える影響
監査法人ランキングは、企業選定において大きな影響を与えます。上位にランクインする監査法人はブランド力が高いため、大企業やグローバル企業からの信頼を得やすくなります。一方、ランキングの中堅や新興企業は、中小企業や成長市場での役割を担うことが増え、それぞれの強みを活かしたサービス展開が求められます。このように、ランキングは監査法人の競争力だけでなく、利用する企業の戦略や方針にも影響を及ぼします。
www.kotora.jp世界の4大監査法人（Big4）の特徴
Deloitte（デロイト）の強みと実績
Deloitte（デロイト）は、世界的な監査法人のランキングで長年首位を維持している業界リーダーです。同社の強みは、多岐にわたるサービスを提供できる総合力にあります。監査や税務サービスだけでなく、コンサルティング分野やリスク管理分野など、幅広い領域で卓越した専門性を誇ります。特に、2022年度には売上高で約593億ドルを記録し、前年を大きく上回る増収を実現しました。また、デジタルトランスフォーメーションの支援やサステナビリティ関連サービスへの取り組みも注目されています。国内では「有限責任監査法人トーマツ」や「デロイトトーマツ税理士法人」として活動しており、日本市場でも大きな存在感を発揮しています。
PwC（プライスウォーターハウスクーパース）の世界展開
PwC（プライスウォーターハウスクーパース）は、4大監査法人の中でも特に世界的なネットワークを活かした展開に定評があります。2022年度の売上高は503億ドルに達し、前年比で11.4%の増加と着実な成長を遂げています。その強みはグローバル規模での企業間ネットワークの構築や、業界トレンドに対応したソリューション提供にあります。PwCは、監査、税務、コンサルティングを通じて、クロスボーダーのニーズに応える体制を整えています。日本国内では「PwCあらた有限責任監査法人」や「PwC京都監査法人」として運営され、多くの企業のグローバル展開を支援しています。
EY（アーンスト・アンド・ヤング）の革新的アプローチ
EY（アーンスト・アンド・ヤング）は、イノベーションを重視したアプローチで知られています。同社は、2022年度に454億ドルの売上を達成し、13.5%の増収率を記録しました。EYは、デジタル化やクラウド導入に注力し、その先進的なサービスでクライアントの変革や成長を支援しています。また、サステナビリティやESG（環境・社会・ガバナンス）分野への投資が盛んで、これらの分野でのリーダーシップを強めています。国内では「EY新日本有限責任監査法人」として活動し、日本の企業向けにグローバルな知見とローカルな実務を融合させたサービスを提供しています。
KPMG（ケーピーエムジー）の専門領域
KPMG（ケーピーエムジー）は、4大監査法人の中で特に専門分野における信頼性と実績が強みとなっています。2022年度には346億ドルの売上を記録し、7.8%の増収率を達成しました。同社は、企業の財務分析やリスク管理、内部統制の強化といった分野で非常に高い評価を得ています。また、地域ごとの細やかな対応が可能なローカル重視の戦略を展開しています。日本市場では「あずさ監査法人」や「KPMG税理士法人」が関連法人として活動し、多くの企業に対して高付加価値の監査及び税務サービスを提供しています。
2024年版 世界的会計事務所ランキングと詳細解説
ランキングトップ10の結果発表
2024年の世界的会計事務所ランキングは、業界のトレンドや監査法人の競争力を如実に反映しています。今年もトップ10は主にグローバル規模で活動する大手ネットワークが占めており、トップ4（通称Big4）は依然として業界を牽引しています。1位にはDeloitte（デロイト）が選ばれ、2位にPwC（プライスウォーターハウスクーパース）、3位はEY（アーンスト・アンド・ヤング）、そして4位にKPMG（ケーピーエムジー）と続きます。これに続くのは、BDO International、RSM、Grant Thorntonなどの中堅グローバルネットワークで、上位の競争に加え、成長著しい中規模法人の躍進が注目されています。
各監査法人の売上高とシェア
ランキング上位の監査法人は、売上高と市場でのプレゼンスにおいて圧倒的な位置を占めています。1位のDeloitteは2022年度において693億ドルの売上を記録し、他を大きく引き離しました。PwCは503億ドル、EYは454億ドル、KPMGは346億ドルといった数字が続きます。売上高シェアで見ても、Deloitteが100%とするとPwCは約85%、EYは約76%、KPMGは約50%に相当します。このデータは、監査業務にとどまらない多角的なサービス展開の成果を証明しており、特にデジタルトランスフォーメーション支援やESGコンサルティングの急速な拡大が売上を押し上げています。
ランキング上位の地域別特徴
世界的な会計事務所ランキングにおいて地域ごとの差異も興味深い点です。例えば、DeloitteやPwC、EYは北米やヨーロッパ市場で特に強いプレゼンスを持ち、これらの地域での売上の多くを占めています。一方、アジア太平洋地域においては、EYやKPMGが他をリードしており、特に成長著しい中国やインドでの事業拡大が注目されています。また、中南米や中東、アフリカ市場では、Grant ThorntonやRSMなどの中規模法人ネットワークが強い勢力を持っており、地域ごとのニーズに合わせた柔軟なアプローチが評価されています。
中規模・新興監査法人の台頭
近年、監査法人ランキングで注目されているのが中規模・新興の会計ネットワークの台頭です。例えば、第6位のRSM Internationalや第7位のGrant Thorntonは、監査だけでなく税務・コンサルティングの分野にも力を入れ、各国の中小企業を中心に支持を集めています。さらに、第8位のHLB Internationalや第10位のBaker Tilly Internationalも、地域に密着したサービス提供を行うことで、日本を含むアジア市場での影響力を拡大しています。こうした中規模法人の成長は、「世界の監査法人ランキング」が多様化し、大手に次ぐ重要な競争軸を形成していることを示しています。
日本における主要監査法人と世界ランキングとの関係
日本国内で存在感を持つ法人
日本において、特に存在感を示している主要な監査法人として、有限責任監査法人トーマツ（Deloitte系列）、PwCあらた有限責任監査法人、EY新日本有限責任監査法人、および有限責任あずさ監査法人（KPMG系列）の4法人があります。これらはグローバルな4大会計事務所（Big4）に関連しており、世界ランキングにおける上位を占める国際的なネットワークの一翼を担っています。
さらに、BDO International、RSM Internationalといったグローバルネットワークに加盟するBDO三優監査法人やRSM清和監査法人といった中規模法人も注目されています。これらの法人は規模こそBig4に及ばないものの、特定の分野や地域で強みを持ち、国内外で存在感を示しています。
海外進出とグローバルネットワーク
日本の主要監査法人は、国内にとどまらずその影響を世界に広げています。Big4に代表されるようなグローバルネットワークに加盟していることで、海外の多国籍企業へのサービス提供や、国際的なガバナンス基準への対応能力を高めています。例えば、デロイトトーマツグループはDeloitteのネットワークを活用して、北米やアジアを中心に大規模なサポートを行っています。
一方、RSM汐留パートナーズのように後発ながらも急成長を見せる法人もあり、RSM Internationalへの加盟を経て国際的なネットワークを積極的に拡大させています。こうした戦略はクライアント企業に対して、より幅広いサービスと価値を提供するために重要な要素となっています。
日本の会計市場におけるトレンド
日本の会計市場は、近年グローバル化やデジタル化の進展により大きな変化を遂げています。監査法人はAIやデータ分析を活用したデジタル監査の導入を進め、効率性と正確性を向上させています。これにより、従来型の監査業務だけでなく、経営の意思決定を支えるコンサルティング業務への需要も高まっています。
また、中規模法人や新興勢力による台頭も市場の多様性を高めています。RSMやBDO、Grant Thorntonといった国際会計ネットワークに属する法人は、特定業界に強みを持つことや、地域クライアントの密着型支援が特徴です。これらの法人は、世界ランキングでの売上成長率においても注目される存在となっています。
Big4の日本国内提携状況
日本では、Big4のグローバルネットワークが国内法人と密接に連携しています。たとえば、有限責任監査法人トーマツはDeloitteの一員として、日本国内市場のみならず国際的な案件にも多数関与しています。同様に、PwCあらた有限責任監査法人はPwCの世界的なネットワークを活かし、大規模なクロスボーダー取引にも対応しています。
EY新日本有限責任監査法人や有限責任あずさ監査法人も、それぞれEYおよびKPMGとの提携により、グローバルスタンダードに基づくサービスを提供しています。このような提携関係は、企業が世界規模で競争力を持つために不可欠であり、日本市場にとどまらない広範な支援体制を実現しています。