公認会計士の現実!年収推移と監査法人ごとの違いを深掘り

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公認会計士の年収の全体像

 公認会計士は国内でも難関資格の一つに数えられ、その取得には高い専門知識と実務経験が求められます。そのため、一般的には「高年収」の職業として認知されています。ただし、監査法人をはじめとする勤務先や職位、評価などによって、年収には大きな個人差が生じるのが現実です。以下では、公認会計士の年収に関する最新データやキャリア段階別の収入傾向、さらには他業界との比較について解説していきます。

最新データから見る公認会計士の平均年収

 公認会計士の平均年収は、令和5年の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」によると約922万円とされています。この数字は他の専門職や管理職と比較しても高水準であり、特に20代後半からは大幅な収入増が期待できます。初任給は年収ベースで約550万円程度ですが、2年目以降は賞与の満額支給などにより年収が増加します。さらに、シニアスタッフやマネージャーへの昇進を経るにつれて、年収は確実に上昇していきます。

年齢・キャリア段階別の収入傾向

 公認会計士の年収はキャリアの進展や年次に応じて着実に上昇します。例えば、20~24歳の平均年収は約449万円であり、試験合格直後の給与として考えれば高めです。そして、25~29歳では589万円、30~34歳では682万円に増加します。この収入推移は、職位や評価に基づく昇進が影響しています。職階別に見ると、スタッフ時代の年収は450~600万円程度、シニアスタッフでは700~1,000万円、そしてマネージャーでは1,000万円前後に達します。

他業界と比較しての給与水準

 公認会計士の給与水準は他業界と比較しても高いと言えます。例えば、多くの新卒社員の初任給は月額22万円程度である一方、公認会計士が大手監査法人に就職した場合の初任給は30~35万円前後とされています。この差は年収換算で約150万円にも及びます。30代で年収1,000万円を超えることが一般的なキャリアプランである点は、他業界では稀な特徴といえるでしょう。また、BIG4監査法人など大手企業でのキャリアを積んだ場合、特に年収面でさらに恵まれた条件が期待されます。

公認会計士の年収が高いと言われる理由

 公認会計士の年収が高いとされる理由はいくつか挙げられます。一つには、高度な専門知識と資格取得の難易度が挙げられます。この資格を持つことで、重要な財務監査やアドバイザリー業務を担当する責任を負うため、その対価として高収入が保証されます。また、大手監査法人では人事評価に基づく昇給やインセンティブが充実しており、努力次第でさらなる収入アップが見込める点も大きな要因です。さらに、年齢を重ねると共に収入が増加するだけでなく、パートナー職に昇進することで1,500万円以上の年収を実現する可能性もあります。

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監査法人ごとの年収の違い

BIG4監査法人の特徴と年収比較

 BIG4監査法人は、デロイト、EY、KPMG、PwCの4つの国際的な監査法人を指します。これらの法人は規模が非常に大きく、国内外で多岐にわたる業務を展開しているため、公認会計士にとって高い年収が期待できる職場とされています。

 年収の観点から見ても、BIG4の平均年収は国内の監査法人の中で最も高い水準を誇ります。例えば、スタッフクラスの年収は500万円前後から始まり、シニアスタッフでは700万円以上、さらにマネージャークラスになると1,000万円近くに達します。パートナーともなれば、年収1,500万円を超えることが一般的で、大手監査法人の中でも更なる昇進が収入に直結しやすい点が特徴です。

 また、BIG4監査法人では評価制度が整備されており、高いパフォーマンスを発揮し続けることで年収の伸び率が非常に良い傾向にあります。このような理由から、職位やスキルの向上に応じて、年収推移が他の業界よりも明確で上昇幅が大きいと言えます。

中小監査法人の年収事情

 中小監査法人の年収は、BIG4と比較するとやや低い傾向にあります。平均年収は約650万円程度とされていますが、この水準は一般的な国内企業と比べれば依然として高めです。初任給は30万円から始まることが多く、スタッフレベルでは年収450~550万円程度が一般的です。

 シニアスタッフやマネージャー職になると、年収は700万~900万円程度に達することもありますが、昇進ペースや評価基準が法人ごとに異なるため、一律の収入モデルを示すことは難しい側面があります。しかし、中小監査法人ではワークライフバランスを重視する傾向があり、激務が少ないことで安定した働き方を求める人には向いています。

 地方に拠点を構えている中小監査法人の場合、地域特性による物価や生活水準に応じて給与水準が設定されることがあるため、大都市圏の監査法人よりも低めの年収になることが一般的です。

法人による評価制度やインセンティブの差異

 監査法人の年収は、基本給に加えて評価制度やインセンティブのあり方によって大きく異なります。特にBIG4監査法人では、職位ごとに細かく設定された評価基準があり、個人の成果だけでなく、チーム全体の業績やプロジェクトの達成度も年収に反映される仕組みです。

 中小監査法人では、評価基準が法人ごとに異なるため、インセンティブの金額や支給頻度にバラツキがあります。また、BIG4に比べると、中長期的にグローバルでのキャリアを見据えた評価基準が弱いことが課題とされる場合もあります。

 一方で、中小監査法人では職場全体の規模が比較的コンパクトなため、個別の仕事ぶりが直接的に評価されやすいという利点もあります。このため、個別の努力が収入やキャリアに直結する環境で働きたい人には向いている選択肢と言えるでしょう。

勤務地地域による異なる給与水準

 監査法人の年収は勤務地地域によっても異なります。都市部、特に東京や大阪などの大都市圏に拠点を構える法人では、多くの場合、地方に比べて給与水準が高い傾向にあります。これは、大都市圏の物価や生活費の高さに応じて給与が調整されるためです。

 一方で、地方に拠点を置く監査法人や地方勤務の場合は、生活費を抑えられる分、給与水準もやや低めに設定される傾向があります。ただし、地方勤務では通勤時間が短く抑えられることや、趣味や家族との時間を取りやすい点がメリットとして挙げられます。

 また、地域ごとのクライアント層も年収に影響を与えます。例えば、地方では大手企業や国際的なクライアントが少ない場合が多く、業務の単価が比較的低い傾向がありますが、その分、業務量やプレッシャーが軽減されるのも特徴です。したがって、勤務地は年収だけでなくライフスタイル全般を考慮して選ぶことが重要と言えるでしょう。

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年収推移とキャリア形成のポイント

職位別(スタッフ・シニア・マネージャー)の年収推移

 公認会計士が働く監査法人では、職位によって年収が大きく変わります。新卒で入所した初年度、つまり【スタッフ】の年収は450万~600万円程度で、月収は30~40万円の範囲です。ただし、1年目は賞与が満額支給されない場合が多く、2年目以降に年収が安定してくる傾向があります。次に昇進後の【シニアスタッフ】になると、年収は700万~1,000万円と大幅に増え、多くの人が20代後半から30代前半で到達します。その後、【マネージャー】に昇進すると年収は800万~1,000万円となり、責任も増すものの報酬面でも大きな向上が見られるのが特徴的です。

合格直後からパートナーまでの収入モデル

 公認会計士試験に合格し、監査法人でキャリアを開始した場合の収入モデルは段階的な成長が特徴です。初年度は前述の通り500万円前後ですが、その後早ければ2~3年でシニアスタッフとなり、20代後半には年収800万円を超えることが目指せます。さらに30代でマネージャー職に昇進すると、収入は1,000万円前後となります。監査法人のキャリアの最終到達点ともいえる【パートナー】になると、1,500万円以上の年収が得られます。大手監査法人の場合、パートナーの年収はさらに高く、2,000万円を超えることも珍しくありません。

昇進に必要なスキルと年収アップの関係

 監査法人における昇進は、公認会計士としての専門知識だけでなく、マネジメントスキルやコミュニケーション力など幅広い能力が求められます。【スタッフ】から【シニアスタッフ】へ昇進する際には、チームの中でのリーダーシップや効率的な監査手法の提案力が評価されます。【シニアスタッフ】から【マネージャー】へ昇進するためには、多数のクライアントを管理する能力や、法的な監査基準を踏まえた的確な判断力が鍵となります。昇進することで年収がアップするのはもちろんですが、それ以上に責任や成果に対するプレッシャーも増すため、収入とリスクのバランスが昇進の大きなポイントとなります。

監査法人から他キャリアへの転職とその収入影響

 監査法人でキャリアを積んだ公認会計士は、その経験を活かして様々な分野への転職を検討することができます。特に多いのはコンサルティングファームへの転職で、監査法人での経験を背景に、コンサルタントとして高い年収水準を維持することが可能です。また、事業会社の経理部門や財務部門への転職も一般的で、これらのポジションでは監査法人での実務経験が非常に評価されます。一方、年収面では転職直後にやや減少するケースもありますが、企業内の昇進制度を通じて再び収入が増加する可能性も高いです。独立して税務やコンサル業務を始めるケースでは、収入に非常に個人差がありますが、成功すれば監査法人時代を上回る年収を得ることも可能です。

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公認会計士の給与に関するよくある疑問と現実

初任給とその後の昇給ペース

 公認会計士の初任給は他業界と比べると非常に高い水準にあります。一般的な新卒の初任給が約22万円程度であるのに対し、監査法人に就職した公認会計士の初任給は30~35万円、年収にして450~550万円程度となります。試験合格という高いハードルを越えた人材への評価として、初任給から高水準が設定されているのが特徴です。

 昇給ペースに関しても、初年度から毎年着実に増加していくのが一般的です。特にシニアスタッフに昇進すると、700~1,000万円と大幅に年収が増えることがあります。また、評価やスキルによる差もありますが、多くの公認会計士は20代後半で年収800万円台に到達する傾向があります。

高年収層の実態とパートナーの収入モデル

 公認会計士の中でも、特に高年収層はマネージャー以上の役職者やパートナーです。マネージャーの年収は800~1,000万円とされていますが、評価次第ではこれを超えることもあります。最も高収入を得られるのはパートナーで、年収1,500万円以上が一般的であり、大手監査法人ではさらに高額になる例もあります。

 パートナーの収入モデルは固定給だけでなく、監査業務やコンサルティング部門の売上に対するインセンティブが加算される仕組みとなっています。そのため、担当するプロジェクトの規模や採算が収入に直結し、さらに大きな年収格差が生じることがあります。

リスクとストレスに見合った給与か?

 公認会計士の仕事は高い専門性を求められる一方で、繁忙期には業務量が一気に増加し、長時間労働や締め切りに追われることも少なくありません。そのため、特に大手監査法人では多くの公認会計士が業務の負担やストレスを感じながら働いています。

 こうした環境を踏まえると、高い年収水準が仕事の大変さと見合っているのか疑問を持つ人もいます。しかし、専門資格を取得した方でなければ対応できない重要業務に携わることが多く、責任の重さと年収がある程度バランスしていると感じる意見もあります。

副業・独立時の収入の可能性

 公認会計士は副業や独立によって更に多くの収入を得られる可能性があります。副業では税務相談やコンサルティング業務など、監査業務の外でその専門知識を活かせる分野が多いため、個人として稼げる選択肢が広がります。

 また、独立して会計事務所を設立した場合には、成功すれば収入が大幅に増える可能性もあります。独立後の生涯年収は、一部の成功例ではサラリーマン時代の年収の数倍を稼ぐケースもあります。しかし、その反面、独立には集客力や経営スキルが必要であるため、すべての人が高収入を得られるわけではありません。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)