ゲストの経歴・現在の業務
コトラ中川:
これまでのご経歴と、現在の業務内容についてお伺いできますでしょうか。
M様:
早稲田大学院の会計専門科を卒業後に公認会計士試験に合格した後、2018年2月に監査法人に入社いたしました。そこで3年半ほど、会計監査や内部統制監査、IPO支援業務に従事しておりました。
その後、2021年の12月にデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下、DTFA)に入社いたしました。
コトラ中川:
前職で特に注力した業務領域や業界を教えてください。
M様:
私が所属していた事業部では、上場企業だけではなく、業種に関わらずIPOを目指すクライアントが半分程度いましたので、チームとしては幅広い業界を担当していました。
私自身もライフサイエンス領域の事業も手掛けるクライアントをメインとしつつ、他業種のベンチャー系クライアントにも関与させていただいていました。
コトラ中川:
ご転職される際、そもそもインダストリーカットのチームに応募された理由をお伺いできますでしょうか。
M様:
現在(2024年10月)は移管してしまいましたが、かつてライフサイエンスインダストリーチームの中にスポーツ事業部があり、その仕事に非常に興味がありました。
加えて、前職でのライフサイエンスの経験も活かせると思い転職いたしました。
コトラ中川:
監査法人からファイナンシャルアドバイザリー サービス(以下、FAS)に転職された経緯やポイントをお伺いできますでしょうか?
M様:
監査法人に入社する以前から、コンサルティング業界に行きたいという思いがあり、かつ監査法人での経験を活かすことができるのがFASと考えたためです。
会計士資格を取得した時点から、そもそもコンサルティングファームに行きたかったのです。
コトラ中川:
現在ご担当されている業務内容やプロジェクトについてお聞かせください。
M様:
スポーツビジネスを運営する企業に出向しており、新規事業に関する広範な業務をサポートさせていただきながら、一方で他のプロジェクトとして財務モデルの作成なども行っております。
スポーツビジネスでは元々は会計やガバナンスに関するの業務を中心に行っていたのですが、現在は新規事業の事業計画や数字関連のサポートを中心に担当しています。
かなり特殊な事例かと思いますが(笑)、やりたいことをやらせていただいています。
コトラ中川:
これまでのご経歴についてお伺いできますでしょうか?
K様:
関西学院大学出身で、内部進学だったこともあり、大学在学中に会計士試験の受験を決意しました。
合格後に監査法人に入社し、そこでは証券会社、銀行、不動産会社の会計監査を担当しておりました。
その後M&A仲介会社でM&A営業経験した後に、2023年4月にご縁があり、DTFAに入社いたしました。
コトラ中川:
現在取り組まれている業務内容やプロジェクトの内容について教えていただけますでしょうか?
K様:
通常の財務DD(デューデリジェンス)に加え、調剤薬局向けの事業計画策定業務や製薬会社向けの事業計画策定・その後のモニタリングを含めた実行支援を担当しております。
実績に基づき、計画未達の部分については、どのような追加施策や方針の修正が必要か、また何を削減すべきかといった意思決定の上流部分のサポートをしています。
コトラ中川:
PMI(経営統合)フェーズを行っているというイメージでしょうか?
K様:
計画の実行支援なので、PMIとは少し毛色が異なります。
私たちは、M&Aに直接結びつく支援として財務DDを行っていますが、この業務は計画を立て、その後計画に沿って会社が成長できるように伴走支援をするといったものであり、M&Aからは少し外れているものの長期で関与することができ、非常にやりがいを感じています。
M&Aトランザクションチームについて
チームの業務内容
コトラ中川:
M&Aトランザクションチームの業務内容について具体的にお伺いできますでしょうか。
◆M&A Transaction
M&Aという取引(トランザクション)の価値を最大化するために、案件の初期段階から、案件のクロージング後のサポートに至るまで、M&Aに関する深い知見と経験に基づく助言や提案を適宜・適切に提供
<主な業務内容>
・財務デューデリジェンス
・会計ストラクチャー助言
・カーブアウト財務諸表作成支援などの売却支援
・財務モデリング
・財務、会計領域に係るPMI支援
・上記業務に関連するプロジェクト・マネジメント
M様:
M&A以外ですと、事業再生や財務モデリング、PMI、さらに一部FA(ファイナンシャルアドバイザリー)業務があります。
K様:
経理の人手が足りていない場合には、その不足部分の支援を行うこともあります。
また資金繰り面からの支援に関するプロジェクトもあり、より良いキャッシュマネジメントを達成できるようにサポートさせていただくなど、必ずしもM&Aにとらわれない幅広い業務があります。
コトラ中川:
DTFAの各インダストリーの中でも、特にライフサイエンス ヘルスケアに非M&A案件が多いのは、何か理由があるのでしょうか?
M様:
ライフサイエンス ヘルスケアのビジネスは厚労省の政策に左右される面が強く、成長局面にある会社だけでなく、衰退局面にある会社からも依頼を受けるため、他のインダストリーに比べて事業再生の面で強みを持っています。
他のインダストリーであれば、クライシスマネジメントなどのチームが不祥事への対応や事業再生を行うことが多いですが、インダストリー側のチームで幅広く対応するというのはライフサイエンスの特色かもしれないですね。
M&A業務と非M&A業務の割合
コトラ中川:
ライフサイエンス ヘルスケアには5つのチームがありますが、M&AトランザクションチームではM&Aと非M&A案件の比率はどのようになっていますか?
M様:
それぞれ半々くらいですね。M&A以外の業務割合としては、私たちのM&AトランザクションチームがDTFAの中でも多い方だと思います。
コトラ中川:
「BIG4のFASに入社する」というと、M&Aに携わりたいというご志向をお持ちの方が多いイメージがありますが、非M&A案件が半分近くあることに対してどういった印象をお持ちでしょうか?
M様:
M&Aの中でM&Aトランザクションチームが行う業務には、FDD(財務デューデリジェンス)などがありますが、ほとんどFDDのみをやっているというインダストリーの話も聞いたことがあります。
そういったインダストリーだと、知見をより深められる一方で、あまり変化が起こりづらいという印象があります。
一方でライフサイエンス ヘルスケアでは、DD以外にも事業再生案件や財務モデルの作成など、多岐にわたる経験ができることが魅力であると感じています。
K様:
非M&A業務は、クライアントと長期に関わり続けることから、数字を扱うプロフェッショナルとしてより経営に密接に関与することができます。
このような経験は、DTFAにいる間だけでなく、将来的にも役立つと感じています。
入社後の印象
コトラ中川:
ご入社されてどのような印象を受けられましたか?
K様:
風通しが非常に良く、忖度することなく上の立場の方とも議論することができるため、自由に意見をぶつけ合うことができる環境だと感じました。
役職が上の方々も、むしろそういった活発な議論を望んでいて「かかってこいや」の精神をもつ方が多くいるため、非常に刺激的だと感じています。
M様:
会計士に合格した際、監査法人への就職活動も行っていましたが、その当時はデロイト トーマツ グループに対して厳格な体育会系の印象を抱いていました。
しかし、実際に入社してみると非常に風通しの良い環境であることを強く感じています。
コトラ中川:
監査法人やM&A仲介でのご経験をされた後に、どのようなきっかけでDTFAのライフサイエンス ヘルスケアを選ばれたのでしょうか?
K様:
監査法人在籍時に証券会社の監査を担当していましたが、証券会社からさまざまな分野に投資が行われていた中で、介護分野は高齢化の進む日本において今後成長する業界の一つとして見られていることを知りました。
またM&A仲介で支援させていただくような中小企業様のM&Aにおいても介護関連事業は非常に人気があり、直接その勢いを感じたこともあり思い切って入社いたしました。
コトラ中川:
ライフサイエンス ヘルスケアという業界の選択は正解だったと感じていますか?
K様:
はい。金融とは異なり、製薬や介護など、私自身も含め日常生活に密接に関わるところに触れることができるため、非常に良い選択であったと感じています。
業界の中では成長する領域とそうでない領域との両方が存在しますが、いずれの場合にもDTFAとして関わる機会はあり、ダイナミズムも感じています。
働き方・キャリアについて
このチームで働く魅力
コトラ中川:
ライフサイエンス ヘルスケアないしは、M&Aトランザクションチーム[ならではの魅力についてお聞かせください。
K様:
経営のより上流に深く入り込むことができる点が魅力です。
経理部門だけでなく、経営企画・開発・各事業部などクライアントの複数部署と関わることも多く、「この人にはこう対応する」といった柔軟な対応が求められるため、その分クライアントへの理解が多角的・立体的になります。
大変と感じる点、最近の悩み
コトラ中川:
このチームならではの大変な点や現在直面している困難がございましたらお聞かせください。
M様:
私の場合は特殊ですが、出向先では経理部門だけではなく事業部のサポートも担当させていただいています。
簿記や会計の専門知識がない方に対して数字周りの説明をする際には、創意工夫が求められますが、それがやりがいにもなっています。
出向先はスポーツ関連の企業で、現在はデジタル領域の新規事業に取り組んでいます。
この業務は多くの部署の方々と関わることもあり、コミュニケーションを通じて多くの学びを得られるため、自身の成長を感じています。
K様:
ライフサイエンスヘルスケア分野は定期的に診療報酬改定といった影響を受けるため、業界特有の知識をキャッチアップし続ける必要があり、大変です。
また計画策定業務はその会社の命運を左右する重要な業務であり、より高度な知識や議論が求められます。
責任感を強く感じつつも、こうした環境での仕事にやりがいを感じております。
キャリアパス
コトラ中川:
会計士の方々にはさまざまなキャリアパスがありますが、インダストリーに特化する、あるいはその中でもライフサイエンス ヘルスケアならではの良さについてお聞かせください。
K様:
数字に苦手意識を持つクライアントもいるため、数字面での説得力を持って、しっかりとプロジェクトをグリップできるようになれば、その後のキャリアパスとして経理部門だけでなく経営企画部門など、広がりが出てくるのではと感じています。
M様:
私も同じ印象です。会計という領域は一般の人にとっては馴染みが薄く、それそのものに価値をあまり感じてもらえないことがあります。
そのため、会計はあくまで第二の武器として、もっと他のビジネス上の武器を作っていきたいと思っています。
コトラ中川:
我々コトラが得意とする求人先の一つとして、ファンド投資先企業でのCxO求人というものがあります。いわゆる “プロ経営者” と呼ばれる方々ですが、その領域で有名な方が仰っていた「経営者も何かしらの強みとなる固有のバックグラウンドを持っている」という言葉を思い出しました。
経営者として完全にオールラウンダーはいなくて、製造なり開発なり会計なり、何かしらの強みを持った上でそこからT字型でキャリアを広げる(広い対応範囲を持ちつつ、特定の専門家スキルも併せ持つ)人が多いので、会計士という強い軸がある方ほど他の強みも持ちたいと思うのだなと感じます。その観点で、FASという選択はキャリアの広がりも出るため、良いとこ取りのように思いました。
まとめ
コトラ中川:
最後に、どういった方に入社していただきたいか、お聞かせください。
K様:
「傾聴力がある人」ですね。
相手の話を聞き、整理し、回していく能力があれば、関係が深まってスムーズな案件デリバリー・次の案件獲得に繋がります。トーク力も大事ですが、話を聞き、相手がもっと話しやすい雰囲気を作ることができる温かみのある方にお越しいただきたいと思います。
M様:
「きちんとレポートが書ける人」ですかね。
作成した資料はクライアントの社内で意図せず広がっていくことも多いため、誤解や語弊が生じないようにするために誰もが理解しやすい文書の作成が重要です。
例えば、データの数値を分析する際に、単に数値がどれだけ変わったかのみを記述するのではなく、数値が増減した理由を簡潔に記載するといったように、「なぜ」というところを明確に伝えることができる方が良いと思います。
コトラ中川:
バリュエーションチームでも伺った、数字にストーリーを持たせるというお話にも通じる重要なポイントですね。
会計士資格を取得し、監査法人からご転職されたお二人ならではの貴重なお話を伺うことができ、大変有意義でした。ありがとうございました。
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