コトラ（広報チーム） 
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AWSリファレンスアーキテクチャ日本版の概要
提供の背景と目的
金融業界においては、セキュリティや可用性が非常に重要です。そのため、AWSは「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」を提供し、特に金融分野でのクラウドシステム導入の際に直面する課題を軽減することを目的としています。AWSは2021年に「Vision 2025」を掲げ、日本の金融ビジネスを支援する戦略を積極的に進める中で、このアーキテクチャを開発しました。特に、FISC（金融情報システムセンター）の安全対策基準に適合するシステムの構築支援を目指しており、金融機関にとって優れたベストプラクティスを提供しています。
主な特徴とバージョン履歴
「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」は、さまざまなアップデートを繰り返してきました。2022年10月にフレームワークの正式版がGitHubで公開され、同月にはオンライン技術説明会も開催されました。バージョンv1.3では、勘定系ワークロードのマルチリージョン対応やアプリケーション監視の強化、ランサムウェア対策の追加などが行われました。続いて、2024年11月にリリースが予定されているv1.5では、メインフレームとの連携を強化する新たなアーキテクチャや、ハイブリッドアーキテクチャの提供が予定されています。このように、AWSのビジネス戦略に基づき、リファレンスアーキテクチャは常に金融業界のニーズに応じた最新の機能追加を行っています。
www.kotora.jpAWSの金融ビジネスへの貢献
インフラプロバイダーからビジネスパートナーへ
AWSは、単なるインフラプロバイダーとしての役割を超えて、金融業界におけるビジネスパートナーとしての地位を確立しています。「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」を通じて、AWSは金融機関が求める高いセキュリティ基準と可用性を備えたシステムの構築を支援しています。この取り組みは、金融ビジネスの変革を推進し、技術的な課題を迅速かつ効率的に解決するための道筋を提供します。具体的には、AWSは金融機関と密接に連携し、クラウドサービスのセキュリティを高める一方で、柔軟でスケーラブルなインフラストラクチャを提供することにより、ビジネスイノベーションを促進しています。
金融機関での活用事例
多くの金融機関がAWSの「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」を採用しています。例えば、ある銀行では、このアーキテクチャを利用することで、既存システムの負荷を軽減し、新しいサービスの提供をスムーズに行うことが可能になりました。また、FISC安全対策基準に準拠したクラウドインフラの構築が可能となり、法令遵守の観点からも安心してシステム運用を行えるようになったとの報告があります。AWSのこのアプローチが、経営資源を効率的に活用し、新たなビジネスチャンスを模索する金融機関の支えとなっているのです。
AWSリファレンスアーキテクチャの技術的特徴
FISC安全対策基準への対応
AWSリファレンスアーキテクチャ日本版は、金融機関に求められる高いセキュリティ基準を満たすため、FISC（金融情報システムセンター）安全対策基準への対応を重視しています。このリファレンスアーキテクチャは、金融分野で必要とされるベストプラクティスを取り入れ、信頼性の高いシステム構築を支援します。特に、システムの可用性やデータのセキュリティ管理において、最新の技術を活用した堅牢な対策を提供しています。例えば、AWSのセキュリティサービスを活用し、クラウド原則に基づいた安全性の高い環境を構築することが可能です。このように、FISC基準に適合することで、金融機関が安心してクラウドサービスを導入できるようになっています。
スケーラビリティとセキュリティの強化
AWSリファレンスアーキテクチャ日本版では、スケーラビリティとセキュリティの強化を重要な要素としています。金融ビジネスにおいては、急激なトランザクションの増加に対応できるスケーラブルなインフラが必要です。このアーキテクチャは、AWSの多様なサービスを利用することで、シームレスにリソースを拡大し、需要に応じた柔軟なスケーリングが可能です。また、セキュリティ面では、AWSが提供する包括的なセキュリティサービスを組み合わせ、攻撃耐性を高めることができます。例えば、ランサムウェア対策の追加や、OpenTelemetryによる監視機能の導入などは、セキュリティをさらに強化しています。これにより、金融機関は、信頼性の高いサービスを顧客に提供できる環境を構築することができます。
今後の展望と課題
アップデートの方向性
「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」は、AWSが提供する金融業界向けのベストプラクティスを反映し、常に進化を続けています。今後のアップデートでは、さらに多様なワークロードをカバーすることが期待されています。特に、2024年11月10日に予定されているv1.5のリリースでは、新たなワークロードとして「メインフレーム連携アーキテクチャ」や「ハイブリッド（AWS Outposts）アーキテクチャ」が提供されます。これにより、既存の金融システムとクラウド環境とのシームレスな連携が可能になります。また、最新のWell-Architected Framework FSI Lens for FISCの第12版にも対応することで、より堅牢で信頼性の高い金融システムの構築を支援します。
ビジネスインパクトの最小化
アップデートの実施に際して重要なのは、金融機関におけるビジネスインパクトを最小限に抑えることです。「金融リファレンスアーキテクチャ日本版」は、その設計においてFISC安全対策基準への準拠を目指し、システムの可用性とセキュリティを重視しています。例えば、新たなアップデートでは、ランサムウェアに対する対策強化や、Step Functionsによるリージョンの自動フェールオーバーの実装などを通じて、運用中のシステムに与える影響を低減しています。さらに、インフラ全体の透明性を確保するために、OpenTelemetryを用いた外形監視が強化され、AWS X-Rayなどのツールを活用しています。このようにして、AWSは金融機関の運用の中断を最小限にし、新たなアーキテクチャがもたらすビジネスの変革をスムーズに進められるよう支援します。