改訂された監査法人ガバナンスコード、何が変わった?

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監査法人ガバナンスコードの概要

 監査法人ガバナンスコードは、上場企業などを対象に公正で信頼性の高い監査を行うために、監査法人の組織的な運営に関する原則を策定したものです。このコードの主な目的は、監査法人としてのガバナンスを強化し、監査の質を確保することにあります。適用対象は、主に上場企業の監査を担当する監査法人で、その取り組みには内部統制の強化や外部からの評価を通じた透明性向上も含まれます。

ガバナンスコードの目的

 監査法人ガバナンスコードの目的は、監査法人の運営をより透明で効果的にすることです。これにより、監査の信頼性を高めることが求められています。このコードは、社員や職員が能力を発揮し、経営陣の適正な運営を保証するためのガイドラインとなります。さらに、経営陣から独立した経営のチェック機能を持ち、情報を外部に適切に開示することで、ステークホルダーからの評価を得られるようにすることを目指しています。

初版公表からの歴史

 監査法人ガバナンスコードは、2017年に初めて公表され、以降、社会的および経済的な変化に対応する形で進化してきました。初版の公表以降、金融庁などが主導して定期的に見直しを行い、監査品質の向上や透明性の確保を目的とした改訂が行われてきました。昨年10月には、新たな改訂を進めるための議論が開始され、今年3月24日に最新の改訂版が公表されています。このように、監査法人ガバナンスコードは、常に最新の社会のニーズに対応しながら、監査法人のガバナンス向上を支える重要な役割を果たしています。

改訂の背景と目的

監査品質向上の必要性

 近年、企業に対する監査の透明性と信頼性の確保がますます重要視されています。この背景には、市場のグローバル化や企業活動の複雑化があり、監査法人が高い専門性と倫理を持って活動することの重要性が増しています。ガバナンスコードは、こうした状況に応じて監査法人の組織的な運営を強化し、監査品質の向上を図るための指針として位置づけられています。監査品質の向上は、投資家やステークホルダーに対する信頼を確保し、市場の健全な発展を支えるための不可欠な要素となっています。

第三者の知見の活用

 監査法人が業務の透明性と信頼性を高めるためには、第三者の視点を取り入れることが重要です。このため、改訂されたガバナンスコードでは、外部の専門家や独立したメンバーの意見を積極的に活用する体制の構築が求められています。これにより、より客観的で公平な評価が可能となり、監査品質の一層の向上が期待されています。また、第三者の知見の活用は、ガバナンスの実効性を高め、組織全体の信頼性を強化する上で重要な役割を果たします。

改訂された主要なポイント

組織運営の実効性向上

 改訂された監査法人ガバナンスコードでは、組織運営の実効性を高めるための具体的な施策が強調されています。監査法人における経営陣は、適正な経営を行うことが求められ、そのために組織内の従業員が能力を最大限に発揮できる環境の整備が進められています。また、経営陣から独立してチェック機能を持つことで、内部統制の強化と透明性の向上を図る方針が打ち出されています。このように、監査法人の組織運営においては、実効性の向上が改訂の主要なポイントの一つとされています。

非監査業務の位置付け明確化

 また、今回の改訂で注目されるのは、非監査業務の位置付けの明確化です。監査法人が提供するサービスには、財務諸表監査以外にも多様な非監査業務が含まれますが、それらの業務が独立性を損なうことなく適切に運用されることが求められます。改訂ガバナンスコードでは、非監査業務が監査業務にどのように関連し、どのように差別化されるべきかが具体的に定められています。これにより、非監査業務が十分に監査の一環としてのガバナンスを支える役割を果たしつつ、利益相反の懸念が解消されることが期待されています。

改訂の影響と今後の展望

監査法人の対応

 監査法人は、改訂されたガバナンスコードに基づき、組織運営の実効性を更に高める必要があります。このガバナンスコードの改訂では、監査品質の向上が強く求められており、各法人は内部施策の見直しや、第三者の意見を積極的に取り入れるための仕組みを構築することが求められています。具体的には、社員や職員の能力を発揮させるための環境整備や、独立した評価機関の導入が重要視されています。有限責任あずさ監査法人やPwC Japan有限責任監査法人など、既にガバナンスコードを導入している法人は、これまでの経験を活かし、より細やかな運用の改善を図ることが求められるでしょう。

市場への影響

 監査法人のガバナンスコードの改訂は、市場にも大きな影響を及ぼします。投資家や関係者は、監査法人の透明性が向上することを期待しています。この透明性の向上により、投資判断の材料として信頼性の高い情報が提供されることで、株式市場の健全な運営が促進されるでしょう。また、ガバナンスの強化により、企業自身が内部統制を強化することが求められる可能性もあります。これにより、企業と監査法人の関係がより健全で透明性の高いものとなり、結果的に市場全体の信頼性が向上すると考えられます。

結論

ガバナンスコードの重要性

 監査法人のガバナンスコードは、組織的な運営を経営の基本原則として位置づけ、監査品質の向上を図るために極めて重要な役割を果たしています。特に、組織内の経営陣が適正な経営を行い、独立した監督機能を有することや、経営理念を組織末端まで浸透させること、そして外部からの評価を可能にする情報開示の重要性が強調されています。

 さらに、このガバナンスコードは、監査法人が社会的信頼を確保し、クライアントや広く投資家に対して透明性を提供するための枠組みとして機能しています。改訂の度に、新たな望ましい実践やルールが追加され、その適用により監査法人全体の信頼性が増すことが期待されます。

 金融庁による改訂が行われたことにより、各監査法人はガバナンスコードを土台に、内外からの意見を反映しつつ、監査品質の更なる向上に向けて積極的に取り組んでいます。この監査法人 ガバナンスコードの適用が進む中で、監査の実効性が強化され、企業の経営や財務報告に対する信頼性も高まることが望まれます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)