金融分野の中途採用動向レポート
投資銀行業界
投資銀行業界では、引き続きM&A案件が増加基調。IN-IN案件ではベンチャー企業関係、事業承継関係のM&Aが牽引役に。クロスボーダーM&A(IN-OUT、OUT-IN)も案件数は高水準。
大型買収案件が多かった2018年比、2019年は金額ベースでみると大きく減ったが、件数はIN-OUT中心に増えている。M&A案件増に近年の「働き方改革」の影響も加わってM&A業界では人手不足が常態化しており、ジュニアクラスのみならずVP以上の即戦力採用ニーズも顕在化しています。
ミドル・スモールキャップのM&A業界
ミドル・スモールキャップのM&A業界は非常に活況で採用意欲旺盛。
従来は千万円単位のフィーの案件を対象としていたが最近では数百万円クラスのスモールキャップも対象に広げる動きが出ており、人材ニーズが高まっています。
ベンチャーキャピタル業界
VCも活発です。従来のVCが新設ファンドを設立している他、実績を上げたキャピタリストが新たなファンド運用会社を立ち上げています。
従来VC以外を対象としたファンドも、グロースファンドを立ち上げるなど、ファンド間での競争も高まっています。
事業会社がコーポレートベンチャーキャピタルを設立する動きも引き続き活発です。事業会社の新規展開ニーズを把握した上で投資収益を上げることができる方が求められています。
プライベート・エクイティ業界
PE業界では、独立系・金融系・商社/事業会社系等問わず、ここ数年はファンド運営各社の新規ファンド設定が好調。
運用規模も当初想定を上回るケースが多く、運用会社新設も相次いでいます。
2020年も既存運用会社のファンドレイズが複数計画されており、投資実務を担うフロントメンバーの補充・増員ニーズは根強くあります。
不動産金融業界
不動産ファンドの市場規模は運用資産ベースで過去最大。
AM・PM・財務・IR・経理等あらゆるポジションで採用は積極的であり、即戦力人材に加え若手のポテンシャル人材へのニーズも旺盛です。また、新規参入の立上げに業界に精通した経営層人材が請われるケースも珍しくなく、幅広い年代で人材の流動化がおこっているのも同業界の特徴です
近年は新たな社会インフラニーズへ応えるべく、開発型ファンドも好調であり建築士や施工管理技士などの建築人材の需要も高まっています。
アセットマネジメント業界
業界全体としては引き続き採用意欲は高めであり、幅広い職種で需要あり。
昨今のスチュワードシップ推進の流れを受け、ESG投資関連の運用フロントやアナリストポジションで新たな需要が出始めております。
引き続きオルタナティブプロダクツ分野での採用意欲は高く、運用フロントのみならずバックオフィス部門でもオルタナ経験者への需要が高い状態となっております。
銀行業界
法人部門は、引き続き収益性があるストラクチャードファイナンス系を強化しており、リテールを中心に、フィンテック企業との連携によるサービスラインの拡大の為のビジネス企画、スマホを顧客の入り口として確保するためのマーケティング、システム系人材、また他業種同様にデータサイエンティストのニーズが高まっております。
また、IT化が一層進む中、守りを固める為のシステムセキュリティー人材の増強も課題となっております。また、守りを固める側としてはコンプライアンスの中でもアンチマネーロンダリング人材も各社増強中です。日本の構造問題としての中堅・中小企業の事業承継問題に対するアドバイザリーニーズも引き続き高です。