株式会社日本格付研究所(JCR)
特集インタビュー
格付カバー率NO.1の強みと、格付に関わる仕事で社会に貢献出来る点などが魅力である「株式会社日本格付研究所」。今回、サステナブル・ファイナンス評価本部長の梶原 敦子様に日本格付研究所の魅力や組織風土、求める人材像などを伺ってきました。
ご関心のある方からのご応募お待ちしております。
※インタビュー内容、企業情報等はすべて配信当時のものです。
ゲスト
株式会社日本格付研究所
執行役員サステナブル・ファイナンス評価本部長
梶原 敦子 様
[ 経歴 ]JCRのサステナブルファイナンスの評価業務を統括。
現在、ICMA Climate Transition Finance Working GroupおよびUNEP FI Positive Impact Finance Corporate Impact Analysis Taskforceのメンバーであり、金融庁・経済産業省・環境省共管トランジションファイナンス環境整備検討会および環境省ポジティブインパクトファイナンス・タスクフォースの委員を務めている。JCR入社以前は、海外経済協力基金(現国際協力機構=JICA)にて、東・東南アジア諸国向け円借款審査における環境・社会開発問題に取り組む。
インタビュアー
宮崎 達哉
[ 経歴 ]地方自治体にて産業政策の企画・運営業務に従事。在籍中に、中央省庁にてエネルギー政策に係る新規事業立案や規制・制度の合理化に従事。県庁退職後、地方創生及び教育分野のコンサルティング業務を経て現職。 [ 担当業界 ]
パブリックセクター、ESG/サステナビリティ領域、監査法人、コンサルティングファーム、シンクタンク、事業会社の企画・事業開発
中立的な立場から、自己裁量をもって評価ができる環境
宮崎:
梶原様のこれまでのご経歴についてお話頂けますでしょうか。
梶原様:
新卒で海外経済協力基金(現国際協力機構=JICA)に入職し、省庁とのやりとりで戦略を策定する部署を経て、その後東南アジアの担当部署に移り、高等教育支援等社会開発分野の円借款審査をしていました。
環境面ですと、インドネシアの大きい水力ダムのアセスメントや中国の四川省で石炭火力発電が環境に及ぼす影響の緩和プロジェクトに携わりました。
融資をするので金融機関に近いのですが、実際に審査の中で途上国の抱える教育・環境等の問題に触れることが多く、それが現在の原点となっています。
宮崎:
日本格付研究所へのご転職の経緯について教えて下さい。
梶原様:
部署を転々とすることなくアナリストとして専門性を高めていきたいという希望があり、一旦海外経済協力基金を辞め、米国の大学院で開発行政学修士を取得し、国債格付けをするソブリン債アナリストとしてJCRに入社しました。
その後、出産を経て、経営企画部とコンプライアンス統括室で金融庁と米国SECの規制対応業務に携わりました。アナリストをずっと続ける方が多い中、当時は珍しかったですが、小さい子供を抱えて仕事をするママさんアナリストは、希望すれば管理部門に移動できるようになりました。
2017年にサステナブルに関する商品開発の話があり、親和性のあるバックグラウンドを持つ私に白羽の矢が立ち、担当することになりました。
金融市場におけるサステナビリティ施策の変遷
宮崎:
サステナブル評価本部が立ち上がった背景や狙いについて教えて下さい
梶原様:
サステナブル評価本部は、2017年の10月に立ち上がりました。
海外でグリーンボンドが発行され、誰かが評価しているぞ、という話になりました。当時はムーディーズやS&Pも、まだ参入したかどうか、という時期です。
ボンド自体の評価はずっとしていたものの、「グリーン」の部分を評価するプレイヤーが市場にいませんでした。環境評価の専門家も、金融評価の専門家も沢山居いますが、それを繋ぐことができる人がいない。独立して双方評価できる会社はどこだ、というときに、それは我々JCRだろうという話になりました。市場関係者からも「JCRさんでやってください」とリクエストもあり、「これは対応しないとまずいな、チャンスでもあるな」と思いました。
2018年度に環境省が補助金をつけてくれたことで、一気にマーケットが拡大しました。
政府がすぐに関与してくれるというところが日本の特徴ですね。
広がるサステナビリティの輪
宮崎:
これまでのサステナブル・ファイナンス評価本部の実績についてお話頂けますか。
梶原様:
JCRのサステナブル評価実務状況として、昨年は2018年の約5倍の評価件数となりました。
最初はグリーンが急速に伸びましたが、企業活動は環境面と社会面、両方に関わることも多く、より広くサステナブルファイナンスという形で出したいという要請も近頃は増加傾向にあります。
宮崎:
現在は地域金融機関にもESGが広がっていますよね。
梶原様:
はい、広がっていますね。現在、地域金融機関のお手伝いをしており、ご相談も多くなっています。
2020年、環境省から、地域の持続性の向上を図るべく、ESG地域金融に取り組もうとする金融機関向けの手引きとして「ESG地域金融実践ガイド」が公表されました。
しかし、身近に事例がある訳でもない中で、実際に具体的に何をどのようにすればいいのかわからない、という状況があると感じています。ですので、我々から商品の説明をしたり、どのようなところをポイントにして企業の分析をしたらいいかという点について、ご照会を頂くので、相談に乗ったりしております。
地銀の方が、インパクト・ファイナンスに取り組むためのキャパシティビルディングのようなお手伝いもしております。インパクト・ファイナンスは企業がポジティブな成果を出せるような目標設定をして、それを地域金融機関が後押しするという取り組みです。インパクト・ファイナンスは財務に関してではなく、非財務情報に関する健康診断のようなものであると思っています。
環境面で何かネガティブなことは無いですか、逆にポジティブなことを何していますか、社会面・経済面(ダイバーシティに対する対応、地域経済の活性化など)ではどうですか、と。財務面にはなかなか表れないものの、そのような取り組みについて真面目に頑張っているということ、インパクト・ファイナンスのスキームを通じて診断し、アピールすることによって、安定的に労働力が確保できるようになったり、非財務の取り組みが最終的には売上高につながったりと、企業として持続可能性が高まることを期待しています。
このような企業のインパクト診断や発信を地域金融機関が独自で出来るようになるために、トレーニングもJCRが提供しています。
宮崎:
グローバルな動きに関してはいかがでしょうか。
梶原様:
国際資本市場協会(ICMA)も、欧州で全て議論がなされていていますし、先述のポジティブ・インパクト・ファイナンスも、欧州が中心となっているんですよね。我々はまず議論の本当のところを把握するため、ICMAの作業部会、Climate Bonds Initiativenの認定検証機関、国連環境計画のインパクトタスクフォースなどに積極的に参加するようにしています。このマーケットは急速に発展しているので、欧州、ひいては海外の動きに対して敏感になっていないとキャッチアップできません。
また、ESGウォッシュを避けて、正確な評価を皆様にお届けするという使命があるので、常に正しい情報をキャッチするためにも、我々チーム一丸となって海外にアンテナを貼っておくことがお客様に対する使命だと思っています。
JCRでは一人ひとりが看板人材として活躍できるチャンスがあります
宮崎:
サステナブル・ファイナンス本部の組織構成について教えて下さい。
梶原様:
現在の体制としては、評価の手法や基準を司る「評価企画部」、実際の評価をする「評価部」、「国際広報室」があります。
コアとなる評価部が10名程で、そこから国際広報室と企画部にそれぞれ5名ずつ兼務している形です。また、国際広報室には、ジャーナリストとして活躍していた方が外部から2名派遣されてきています。
国際広報室は、JCRが何をやっているのかということを季刊誌にして出しています。
兼務もありますが、全15名でやっています。
宮崎:
サステナブル・ファイナンス評価本部にはどのようなバックグラウンドの方が在籍していらっしゃいますか。
梶原様:
もともと金融機関出身の方しか採用していなかったのですが、現在はメンバーのバックグラウンドも多彩になってきていまして、生保の資産運用でESG投資をやっていた方や、メーカー出身ですが、環境工学や環境会計について学んでいた方、JBIC出身の方などが在籍しております。
アナリストはチーフと2人で組んで、独立して評価を行いますので、ある意味個人商店が沢山並んでいるようなイメージです。割とフラットで、担当アナリストがその案件については最も責任をもっているわけですので、若くてもやりがいのある仕事であると思います。
私も29歳で入社したのですが、担当した案件については全て責任を持って書かなければなりませんでした。
なかなか責任を持った仕事をさせてもらえない、というジレンマははじめから全く無いと思います。
2050年の未来は、皆様にかかっています
宮崎:
どのような方にジョインしてもらいたいとお考えでしょうか。
梶原様:
若い方は経験値が決して高くないとしても、「やる気と好奇心に満ち溢れている方」に是非来て頂きたいと考えております。次々に新しい商品が出てくるので、好奇心旺盛な方はこのマーケットに合っていると思います。また、一流上場企業の方から地方の中小企業で頑張っていらっしゃる社長さんまで、様々な方にお会いしますので、とても楽しいと思うんですよね。
私も現在、様々なガイドラインの策定等に携わっていますが、イチから作らないといけないことが多いので、言われたことをそのままやるというよりは問題意識を持って、自ら道を切り拓いていける方にマッチしていると思います。
宮崎:
最後に候補者の方へのメッセージをお願いします。
梶原様:
2050年の未来はあなた達にかかっています。
我々は今、2030年と2050年の社会を見据えて一所懸命やっていますが、主役は今20代、30代の皆さんだと思っています。
一緒に未来を創っていきましょう。
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