はじめに
建物の品質管理や施設の運用最適化に携わってきたコンストラクションマネジメント(CM)やファシリティマネジメント(FM)の担当者が、不動産開発への転職を目指すケースが増えています。実務に根差したコスト・品質・スケジュール管理能力や現場との調整力は、プロジェクトの企画から実行までを担う不動産開発においても大きな強みとなります。本記事では、CM・FMから不動産開発への転職に必要なスキルやステップを解説します。
1. 不動産開発の主な業務
- 用地仕入れ・企画立案・事業収支のシミュレーション
- 建築・法務・環境条件の確認、設計事務所やゼネコンとの調整
- 許認可取得・行政対応
- 事業化決定後の工事管理、竣工後の引き渡しまでの全体マネジメント
- 販売戦略・リーシング戦略の立案支援
2. CM・FM出身者が向いている理由
- プロジェクトマネジメントスキル:建築コスト、工程、品質の管理力がある
- 現場調整力:施工会社、設備業者、テナントとの折衝経験が豊富
- 建築・設備知識:建築法規、構造、環境性能などに関する知識がある
- 収支感覚:施設運営コストの把握から収支構造の理解につながる
3. 求められるスキルセット
- Excelによる収支計画書作成
- 建築・不動産に関する基本法規知識(建築基準法、都市計画法など)
- 行政・社内関係者との調整・交渉能力
- 不動産マーケットやテナントニーズへの理解
- 宅地建物取引士、一級建築士、ファシリティマネージャーなどの資格があれば尚可
4. 転職成功のためのステップ
- CM・FM業務で培った建築・管理の知識を棚卸し
- 事業企画や収支計算、法規対応の実務知識を補完
- 不動産開発プロジェクトに関与した経験があれば明示
- 企画構想・実行までの一貫支援が可能であることをPR
- 「現場起点で事業を実現する人材」として差別化
5. 志望動機(例文)
これまで不動産のコンストラクションマネジメントおよびファシリティマネジメントに従事し、建物の新築・改修計画や施設運営の最適化を実行してまいりました。現場でのコスト管理・品質管理・スケジュール調整に加え、テナント対応やBCP対応にも携わる中で、施設の価値を上流からつくる不動産開発業務への関心が高まりました。今後は、設計・施工の知見と運営視点を活かし、貴社の開発プロジェクトに貢献してまいりたいと考えております。
6. 職務経歴書(サンプル)
【氏名】高橋 拓真(仮名) 【連絡先】takuma@example.com / 080-xxxx-xxxx 【職務要約】 デベロッパー系建設会社および管理会社にて、建築工事のCMおよび施設運営のFM業務に従事。工程管理・予算管理・改修工事計画・BCP対応・法定点検対応などを担当。不動産価値向上への興味から、不動産開発への転職を志望。 【職務経歴】 株式会社○○ファシリティマネジメント(2018年4月~現在) 所属:建築技術部/施設運用部 職位:主任 ■主な実績: ・商業施設の大規模修繕計画(5年計画)策定と推進 ・PMと協働した改修工事におけるコストコントロール・施工監理 ・建築設備更新工事における設計・業者選定・工程調整 ・施設BCP計画(電源・水系・避難)の策定・実行支援 【資格】 ・ファシリティマネージャー(認定) ・一級建築施工管理技士 ・宅地建物取引士(取得予定) ・TOEIC 735点 【学歴】 ○○大学 建築学科 卒業(2018年3月)