はじめに
総務部門で契約管理、社内規程の整備、ガバナンス対応などを担当してきた方にとって、コンプライアンス部門は非常に親和性の高い転職先です。近年では、企業の持続的成長に不可欠なガバナンス強化・法令遵守対応への注目が高まっており、組織横断的な調整力と法的素養を備えた人材が求められています。本記事では、総務からコンプライアンス部門への転職を目指す際の具体的なステップとポイントを解説します。
1. コンプライアンス部門の主な業務
- 社内規程・ガイドラインの整備と周知
- 法令・業法・ガイドラインの遵守状況モニタリング
- 内部通報・不正リスク管理対応
- 監督官庁・監査法人への対応
- リスクベースによるコンプライアンス研修企画・実施
2. 総務出身者がコンプライアンスに向いている理由
- 規程・契約対応経験:文書管理や法的視点での業務経験がそのまま活かせる
- 部門横断の調整力:社内ルール浸透や研修推進において必要なスキル
- 内部統制・稟議管理への理解:ガバナンスに対する基礎理解がある
- ドキュメント精度:制度文書や報告資料を正確に作成できる
3. 求められるスキルセット
- 会社法、個人情報保護法、金融商品取引法などの法的基礎知識
- 規程管理・契約書レビュー・リスク管理の知識
- Excel・PowerPointでの文書作成・集計能力
- 業界ガイドラインやISO37001(腐敗防止)等への理解
- 企業倫理・社会的責任に対する意識
4. 転職成功のためのステップ
- 総務経験の中でのコンプライアンス関連業務を棚卸し
- 業界のコンプライアンス制度・自主規制ルールを学習
- 関連資格(ビジネス実務法務検定、内部監査士など)の取得を検討
- 自社規程の整備・見直しプロジェクト経験があれば明記
- 「実務+ガバナンス視点」のある人材としてアピール
5. 志望動機(例文)
これまで総務部門にて、社内規程管理、契約書精査、稟議運用、内部統制文書の作成支援などを通じて、企業運営におけるルール形成とコンプライアンス意識の醸成に携わってまいりました。業務を通じてガバナンス強化の重要性を実感し、より専門的に法令遵守や社内ルールの構築・教育を担うコンプライアンス業務に携わりたいと考えるようになりました。 今後は、法令と実務の橋渡しを行う立場として、貴社の持続的な成長とリスク管理体制の強化に貢献してまいりたいと考えております。
6. 職務経歴書(サンプル)
【氏名】伊藤 裕子(仮名) 【連絡先】yuko@example.com / 080-xxxx-xxxx 【職務要約】 総務部門にて、社内規程の作成・更新、コンプライアンス研修の企画補助、契約書精査、リスク文書管理、稟議対応などに従事。社内ルールの策定・整備とその運用・浸透に貢献。 【職務経歴】 株式会社○○(2019年4月~現在) 所属:管理本部 総務グループ 職位:主任 ■主な実績: ・社内規程15本以上の作成・改定・保管体制構築 ・コンプライアンス教育マニュアルの作成・運用補助 ・稟議書ワークフローと承認プロセスの見直し ・契約書レビュー(秘密保持契約・業務委託契約など) 【資格】 ・ビジネス実務法務検定2級 ・日商簿記2級 ・TOEIC 730点 【学歴】 ○○大学 法学部 法律学科 卒業(2019年3月)