はじめに
製造業において生産技術の分野でキャリアを築いてきた方の中には、企業変革の最前線で活躍する「戦略コンサルタント」への転職を目指す方も増えています。現場から経営へのステップアップとして戦略コンサルティングを選択することは、製造現場で培った課題解決力やプロジェクトマネジメント力を生かす魅力的な選択肢です。本記事では、そのためのスキルや準備、転職成功のステップを解説します。
1. 戦略コンサルタントの役割とは?
戦略コンサルタントは、クライアント企業の経営層とともに、事業戦略、成長戦略、新規事業、グローバル展開、M&A、デジタル戦略などの最上流の課題解決に取り組みます。具体的には:
- 業界・競合分析、市場調査
- 経営課題の整理と仮説構築
- 事業・機能戦略の立案(R&D、生産、SCMなど含む)
- 定量的な事業計画やKPI設計
- 中長期成長戦略やM&A戦略立案
2. 生産技術経験者が戦略コンサルに向いている理由
- 課題設定力:現場改善における本質的な問題の抽出経験
- 仮説検証型アプローチ:改善施策の効果検証スキル
- 論理的思考と定量分析:データ分析に基づく意思決定経験
- 現場×経営の橋渡し視点:実行可能な施策提案力
- プロジェクト推進力:多部門との調整や進捗管理の経験
3. 求められるスキルセット
- ロジカルシンキング(MECE、So What/Why So分析)
- 戦略フレームワーク(3C、5Forces、SWOT、PPMなど)
- 財務モデリング(PL/BS/CFの理解とExcel操作)
- 資料構成・プレゼンテーションスキル
- 英語力(グローバルPJ参加時に有利)
4. 転職成功のためのステップ
- 業界構造、企業戦略、財務会計の基礎を学ぶ(書籍・セミナー)
- 実務経験を「課題→分析→解決策→成果」で整理する
- ケース面接対策:問題解決プロセスの訓練
- 外資・日系戦略ファームの特徴を把握し、志望企業を絞る
- 職務経歴書と志望動機を戦略的に整理する
5. 志望動機(例文)
これまで製造業にて生産技術職として、工程設計・設備導入・品質改善といった業務に従事し、現場課題の構造的な分析と継続的改善を担ってまいりました。その中で、企業価値向上のためには、より上流の戦略設計段階での関与が重要であると感じ、戦略コンサルタントとして経営課題に挑戦したいと考えるようになりました。 現場に根ざした論点設定力と、定量分析に基づく課題解決力を活かし、貴社のプロジェクトにて価値創出に貢献したいと考えております。
6. 職務経歴書(サンプル)
【氏名】高橋 健一(仮名) 【連絡先】kenichi@example.com / 090-xxxx-xxxx 【職務要約】 製造業(自動車部品メーカー)にて生産技術職として6年間勤務。新規生産ラインの立ち上げ、設備投資計画、品質改善活動を推進。数値に基づく課題抽出から改善案提案・効果測定まで一貫して担当。 【職務経歴】 株式会社○○(2018年4月~現在) 所属:生産技術部 職位:主任 ■主な実績: ・新規製品の量産立ち上げ(全体スケジュール設計とROI評価) ・歩留まり改善プロジェクトにて不良率を20%→5%に削減 ・設備投資効果シミュレーションモデルの構築 ・中国工場とのリモート改善PJ推進(現地スタッフと英語で連携) 【資格】 ・TOEIC 800点 ・簿記2級 ・基本情報技術者 【学歴】 ○○大学 工学部 機械工学科 卒業(2018年3月)