コトラ（広報チーム） 
企業の財務実務を支えてきた財務会計（経理）の経験は、CFOや財務マネージャーといったファイナンスの管理職ポジションへのステップアップにおいて非常に有効です。単なる数字管理にとどまらず、戦略的な意思決定支援や資本政策の立案、予実管理、ファイナンス全体のリーダーシップが求められます。本記事では、経理から財務管理職へとキャリアアップするためのステップと、志望動機・職務経歴書の記載例をご紹介します。
目次
1. 経理とCFO・財務マネージャーの違い
| 項目 | 財務会計（経理） | 財務管理職（CFO・マネージャー） |
|---|---|---|
| 目的 | 正確な財務処理と会計報告 | 企業価値向上に向けた財務戦略の立案と実行 |
| 主な業務 | 決算業務、税務申告、有報作成 | 資金調達、資本政策、予実管理、投資判断、IR対応 |
| 必要スキル | 会計基準の理解、処理精度 | 経営視点、財務モデリング、チームマネジメント |
2. 活かせるスキルと経験
- 財務諸表の作成と分析力
- 予実管理・KPI分析・コスト管理経験
- 有価証券報告書などの開示資料作成スキル
- 業務改善や会計システム導入などのプロジェクト経験
- 他部署との調整・経営陣へのレポート能力
3. 転職を成功させるステップ
- CFO・管理職の役割を理解：単なる数字管理でなく、資本戦略と経営判断のパートナー
- 経理経験を“全社視点の意思決定支援”へ昇華：戦略性のある実績を棚卸し
- 部下・後輩育成やチームマネジメント経験があれば明示
- 志望動機では“攻めと守りの財務”両面を意識した貢献意欲を伝える
4. 求められる知識と補完方法
- ファイナンス理論（WACC、DCF、資本コストなど）
- 資金調達手法（借入、社債、増資）
- 中期経営計画の立案と財務KPI設定
- 管理会計・原価計算・投資対効果分析
- 参考書籍：『CFOの教科書』『戦略会計入門』『財務戦略の実践』
5. 職務経歴書の記載例
氏名：佐藤 奈緒 生年：1990年生まれ ■職務要約： 上場企業にて経理部門に約8年従事。決算業務、開示、原価管理、経営分析資料作成に加え、後輩指導や会計システム改善プロジェクトにも関与。今後は経営判断を支える財務部門のマネジメントに挑戦したいと考えている。 ■職務経歴： 株式会社○○（2016年4月〜現在） ・月次・四半期・年次決算業務（連結・単体） ・有報・短信・招集通知作成 ・予算実績管理および財務KPIレポートの作成 ・部門別PL・原価管理体制の導入と運用 ・会計システムの導入（リーダーとして要件定義を担当） ・後輩2名のOJT指導 ■保有資格： ・日商簿記1級 ・TOEIC 860点 ■学歴： 慶應義塾大学 商学部 卒（2013年3月）
6. 志望動機の記載例
これまで経理として財務会計の実務に携わる中で、数字の正確性だけでなく、それを活かした経営判断支援の重要性を強く感じてきました。今後はCFOやマネージャーとして財務戦略や資金政策の立案に関与し、企業価値の最大化に貢献していきたいと考えています。
7. まとめ
財務会計の知識と実務力は、CFOや財務マネージャーへのステップアップにおいて強力な基盤となります。経営視点で意思決定を支えたいという志向を持つ方にとって、ファイナンスの管理職は非常に意義あるキャリアゴールです。