広報・IR業務を通じて培った社内外への情報発信力、企業価値理解、レピュテーションマネジメントのスキルは、サステナビリティ企画・推進領域においても非常に有効です。企業のESG対応や非財務情報開示が重視される昨今、広報・IR経験者の視点はサステナビリティ施策の立案・社内浸透に貢献することができます。本記事では、広報・IRからサステナビリティ企画・推進に転職するためのステップと、志望動機・職務経歴書の記載例をご紹介します。
目次
- 1. 広報・IRとサステナビリティ推進の違い
- 2. 活かせるスキルと経験
- 3. 転職を成功させるステップ
- 4. 求められる知識と補完方法
- 5. 職務経歴書の記載例
- 6. 志望動機の記載例
- 7. まとめ
1. 広報・IRとサステナビリティ推進の違い
項目 | 広報・IR | サステナビリティ企画・推進 |
---|---|---|
目的 | 企業価値の発信・投資家対応 | 持続可能な経営の実現・非財務価値の創出 |
業務内容 | プレスリリース、IR資料作成、説明会運営 | ESG方針策定、TCFD対応、統合報告支援 |
関係者 | 投資家、メディア、社内経営層 | 経営陣、各部門、ESG評価機関、監査法人 |
2. 活かせるスキルと経験
- IR資料や統合報告書の構成・開示経験
- 社内外ステークホルダーとの調整力
- 企業メッセージをわかりやすく伝えるライティング力
- 経営層への提案・調整経験
- コーポレートブランディングの視点
3. 転職を成功させるステップ
- サステナビリティ領域の基礎知識を習得:TCFD、GRI、ISSB、ISO26000、人的資本開示など
- 自らのIR・広報経験を“非財務価値発信”の文脈で棚卸し:統合報告、サステナリリースなどに貢献した経験を可視化
- 社内浸透施策やESG方針策定に関わる姿勢を見せる:プロジェクト推進スキルを強調
- 志望動機では“社会と企業をつなぐ戦略立案者”としての意欲を表現
4. 求められる知識と補完方法
- サステナビリティ開示制度(TCFD、GRI、SASB、ISSB)
- 統合報告・マテリアリティ分析
- サステナ戦略と中計の連携
- 人的資本・ダイバーシティ・サプライチェーン課題のトレンド
- 参考書籍:『ESG思考』『統合報告の実務』『サステナビリティ経営入門』
5. 職務経歴書の記載例
氏名:田中 綾子 生年:1987年生まれ ■職務要約: 大手上場企業にて広報・IR担当として約9年間勤務。IR資料・統合報告書の作成、プレスリリース運営、社内メッセージ発信を担当。近年はサステナビリティ情報の開示やESG対応の社内方針整備にも関与。今後は非財務価値の戦略的な企画・推進を担うポジションで企業価値と社会価値の両立に貢献したいと考えている。 ■職務経歴: ○○株式会社(2014年4月〜現在) ・IR資料(決算説明会資料、統合報告書)作成 ・SDGsページの企画運営、ESG開示対応(TCFD記載) ・経営層向け非財務開示レクチャーの実施 ・社内広報として全社向けサステナ情報共有を主導 ■保有資格: ・日商簿記2級 ・ビジネス実務法務検定2級 ・TOEIC 850点 ■学歴: 上智大学 文学部 卒(2010年3月)
6. 志望動機の記載例
これまで広報・IR業務を通じて、企業価値の伝え方や社会との接点の重要性を実感してきました。特にサステナビリティに関する情報開示や方針整備に関わる中で、より本格的に非財務戦略の立案と推進に携わりたいと感じました。企業と社会をつなぐ役割を担い、貴社の持続可能な成長に貢献したいと考えております。
7. まとめ
広報・IRの経験者は、サステナビリティ推進において社内外との橋渡し役として強みを発揮できます。発信力・調整力・開示経験を活かして、非財務情報の企画・発信・推進に挑戦したい方にとって、有意義なキャリアステップとなるでしょう。