急速な市場変化やDXの加速により、企業が自らの事業や組織を抜本的に見直す機会が増えています。こうした背景のもと、経営層に近い立場で企業変革を支援する「戦略コンサルタント」へのニーズが高まり続けています。
一方、ビジネスデベロップメント(事業開発)経験者が戦略コンサルタントへのキャリア転換を目指すケースも増加しています。これは、実務で得た事業構想力・顧客理解・実行推進力が、戦略コンサルティングの世界でも求められているためです。
本記事では、ビジネスデベロップメントから戦略コンサルタントに転職するためのステップや、求められるスキル、志望動機と職務経歴書の記載例を詳しく紹介します。
戦略コンサルタントの役割とは
- 中長期経営戦略の立案
- 新規事業開発やM&A戦略、海外展開支援
- 組織再編・ガバナンス強化
- 顧客価値創造のためのマーケティング・オペレーション改革
- 実行フェーズにおけるPMO支援や現場変革
ビジネスデベロップメント経験者が活かせるスキル
- 構想力:マーケット視点から事業構造を設計し、仮説を構築する力
- 推進力:関係者を巻き込み、プロジェクトを前に進める実行力
- 顧客理解力:現場の視点を持った課題発見・価値設計スキル
- 数値管理力:KPI設計やPL構築などの財務的思考
- スライド構成力:提案資料の論理展開とドキュメンテーション
戦略コンサルタント転職のステップ
ステップ1:コンサルティング業界の理解と企業研究
- 戦略特化(McKinsey, BCG, Bain, Roland Berger など)
- 総合ファーム(アクセンチュア、BIG4など)
- 国内ファーム(経営共創基盤、ドリームインキュベータ、IGPI など)
ステップ2:ケース面接・ロジカルシンキングの習得
フェルミ推定、市場規模算出、因果構造分析、So what/Why so構造の習得は必須です。日頃の業務を論理的に分解する癖をつけましょう。
ステップ3:自分の業務を「課題→仮説→解決」に変換する
実務経験を以下のように整理すると、コンサル的な構造になります:
- 問題の定義(課題発見)
- 仮説構築と検証
- ソリューション設計と成果創出
ステップ4:志望動機と職務経歴書で一貫性を示す
「企業変革に影響を与えたい」「構想と実行の両面に関与したい」など、デベロップメント経験者らしい“実行視点”を持った志望動機が有効です。
志望動機(サンプル)
私はこれまでSaaS事業におけるビジネスデベロップメントとして、新規サービス立ち上げ、業界アライアンス構築、収益モデル改善などに取り組んでまいりました。事業責任者の視点で構想を描き、実行までを一貫して担ってきた中で、「より多くの企業の変革に携わりたい」と強く思うようになりました。
戦略ファームでは、構想フェーズの上流から企業の本質的課題にアプローチできる点に大きな魅力を感じています。現場を理解し、事業構造の変革にまで踏み込めるコンサルタントとして、御社のクライアントに長期的に貢献してまいりたいと考えております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:鈴木 翔太(仮名)
所属:株式会社〇〇(2019年4月〜現在)
部署:事業開発本部
主な業務内容
- SaaS型プロダクトの立ち上げ(PMF検証、価格設計、KPI策定)
- 大手通信会社との共同プロジェクト推進(アライアンス設計〜実行)
- 営業・CS部門の業務設計とCRM導入プロジェクトリード
- 中期事業戦略資料の構成と経営層向け提案支援
主な成果
- 新規事業立ち上げにより、初年度でARR 1.2億円を達成
- 営業生産性を25%向上させる業務改善プロジェクトをリード
- 戦略提案資料が経営会議で採択され、全社推進プロジェクトに昇格
使用ツール・スキル
- Excel(モデリング)、PowerPoint(構成スライド作成)
- Salesforce、HubSpot、Notion、Slack、Miro
- 3C分析、SWOT、ファネル設計、KPIマネジメント
まとめ:実行経験を“戦略”に昇華するキャリアへ
ビジネスデベロップメントとして現場を知り、構想から実行までを担ってきた方は、戦略コンサルタントとしても大きな価値を発揮できます。クライアントの変革を現実的かつ成果につながる形で支援する力こそ、いま戦略ファームが求める“次世代型コンサルタント”の要件です。
“事業をつくる力”を、“戦略で企業を動かす力”へ。あなたの経験は、確実に次のキャリアに繋がっていきます。