ビジネスデベロップメントからベンチャーキャピタルに転職するためのステップ

スタートアップエコシステムの拡大とともに、ベンチャーキャピタル(VC)業界の注目度は年々高まっています。企業成長の初期段階から資金と知見を提供し、次世代の産業を育てるVCの仕事は、「経営」「金融」「社会変革」を融合した稀有なキャリアパスです。

一方で、近年ではビジネスデベロップメント(事業開発)出身者がVCへの転職を目指すケースが増えています。実際、投資先スタートアップを伴走支援するうえで、事業創造やスケールのリアリティを持つ人材はVCにとって非常に貴重な存在です。

本記事では、ビジネスデベロップメントからベンチャーキャピタルへの転職を成功させるためのステップや必要な準備、志望動機・職務経歴書の書き方までを、実践的に解説します。

ベンチャーキャピタルの仕事内容

  • 投資先の発掘(ソーシング)
  • 投資検討(ビジネスモデル分析、DD、バリュエーション)
  • 投資実行(契約・ストラクチャリング)
  • 投資先支援(経営伴走、人材紹介、資金調達支援など)
  • EXIT支援(IPO、M&Aなど)

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ビジネスデベロップメント経験者がVCで活かせる力

  • 事業評価力:事業性・成長性をロジカルに評価できる
  • 起業家視点:PMF前後の課題やグロースのリアリティを理解している
  • ネットワーク構築力:CxO層との折衝経験・業界目利き力
  • 事業伴走力:投資先に対して壁打ち・戦略支援できる

VC転職のための5つのステップ

ステップ1:投資家目線をインストールする

  • IRR/DCF、バリュエーション、EXITモデルの基本を学ぶ
  • スタートアップ分析スキル(3C/4P/カスタマージャーニー)をVC視点で再整理
  • 業界研究(SaaS、Web3、AI、ヘルスケアなど関心分野を深堀)

ステップ2:事業開発経験を「投資の言語」に翻訳する

  • 「顧客開拓」→「PMF検証支援」
  • 「プロダクト企画」→「技術優位性・差別化要素の見極め」
  • 「アライアンス推進」→「事業成長ドライバーの構造化」

ステップ3:VC的なアウトプットを準備する

  • 投資検討レポート(仮想の投資先を選定し、A4で2〜3枚)
  • ソーシング戦略メモ(どんな起業家を見つけたいか、なぜ)
  • スカウト実績(起業家候補の発掘経験があれば記載)

ステップ4:VC各社の特徴とカラーを理解する

  • 独立系/CVC/政府系/海外系などの立場
  • 投資ステージ(シード/シリーズA以降)、支援スタイルの違い
  • VC出身者のキャリアパスも事前にチェック

ステップ5:志望動機と経歴を“投資家目線”で整える

「自分がどう貢献できるか」「なぜ今、投資家になりたいのか」を、ストーリーと定量で語れるようにします。

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志望動機(サンプル)

私はこれまでSaaS企業にてビジネスデベロップメントを担当し、ゼロイチの企画立案からグロース戦略実行、パートナーアライアンスまで事業成長に向き合ってまいりました。複数のスタートアップと協業・投資検討を行う中で、起業家支援の醍醐味と難しさに惹かれ、「当事者」でなく「支援者」として複数社に伴走する立場に強い興味を持ちました。

御社が持つ技術領域への深い見識と、起業家への長期的なコミットメント姿勢に強く共感しており、これまでの事業創出経験と現場感を活かして、投資先支援・ソーシング・業界目利き力の面で貢献していきたいと考え、志望いたしました。

職務経歴書(サンプル)

氏名:佐藤 陽介(仮名)
現職:株式会社ABC(SaaSスタートアップ)
所属:事業開発部(2019年4月~現在)

主な業務内容

  • 新規事業企画(市場調査~PMF検証~初期プロダクトローンチ)
  • アライアンス戦略立案・大手企業との提携交渉(10社以上)
  • スタートアップとの協業モデル構築・共同開発支援
  • CxO向け提案資料の構成・KPI設計

実績

  • SaaS事業にて3年間でARRを0→1.5億円まで拡大
  • 協業先スタートアップ3社とのPoCを実施、うち2社と本契約締結
  • 社内アクセラレーションプログラムのメンターも兼任

スキル・関心領域

  • SaaS/B2Bテック/HR Tech/ESG関連スタートアップに高い関心
  • ファイナンス基礎(DCF法、IRR、バリュエーション)を学習中
  • PowerPoint/Notion/Tableau/Salesforce/Slack/Pitch活用

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まとめ:事業を“創る側”から“支える側”へ──変革の触媒としてのVCキャリア

ビジネスデベロップメントで積み上げてきた「構想力」「実行力」「調整力」は、投資家としても非常に価値のあるスキルセットです。特に、スタートアップの立ち上げ・グロースを現場で経験してきた人材は、起業家のリアリティを理解し、真に寄り添える存在としてVC業界でも大いに求められています。

次のキャリアに、事業と社会をつなぐ“投資”という選択肢を。挑戦の中心に、あなたの経験が求められています。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)