戦略コンサルティングファームは、企業の経営戦略立案や事業変革、新規事業立ち上げ、海外展開、M&A戦略など、経営の中枢を担う意思決定を支援するプロフェッショナル集団です。
近年では、公共部門出身者がその論理的思考力、調整力、制度への理解を活かし、民間の戦略コンサルタントに転身する例が増加しています。特に、国家プロジェクトや政策立案に関与した経験は、複雑なステークホルダーと向き合う企業変革プロジェクトにおいて高く評価されます。
本記事では、官公庁から戦略コンサルタントへのキャリアチェンジを成功させるためのステップを、必要なスキル、準備方法、実際の応募書類の例とあわせて詳しくご紹介します。
なぜ官公庁出身者が戦略コンサルに向いているのか?
- 政策立案力・仮説構築力:ロジカルに課題を抽出し、社会実装まで設計できる
- 調整力・合意形成力:省庁間や民間企業、自治体との複雑な調整経験が豊富
- マクロ視点:産業・社会全体を俯瞰する構想力がある
- 資料作成・プレゼン力:政策文書、説明資料作成のスキルが高い
- パブリックインパクトへの感度:社会課題に対する高い意識と行動原理
転職に向けたステップ
ステップ1:ファームごとの違いと戦略コンサルの業務を理解する
戦略コンサルティングには、マッキンゼー、BCG、ベイン、ローランド・ベルガーなどのグローバルファームから、国内系、官公庁向けのパブリックセクター中心ファームまで幅広い選択肢があります。
- 事業戦略/新規事業支援
- 業務改革/DX推進支援
- 公共政策・地域活性化プロジェクト
- M&A戦略/PMI支援
ステップ2:ロジカルシンキングとケース面接対策
- MECE、Why So、So Whatなど、コンサル的思考に慣れる
- ケース面接(市場規模推計、ビジネス課題分析など)の訓練
- 過去の業務を「課題→仮説→分析→示唆」という形で整理してみる
ステップ3:民間視点の補完(ビジネス知識・会計・業界研究)
- 企業財務、PL/BS/CFの理解(簿記・財務講座)
- 業界分析のフレームワーク(5 Forces、SWOT、3Cなど)
- 業界構造/顧客ニーズを踏まえた「価値訴求」視点の習得
ステップ4:キャリアの言語化(成果・貢献・再現性)
「なぜこの課題に取り組んだか」「何を検討し、どう提案し、どのような成果に至ったか」を、数値や事例とともに構造的にまとめることが重要です。
志望動機(サンプル)
私はこれまで経済産業省にて、スタートアップ支援政策やグリーン成長戦略の立案に従事してきました。政策実現に向けて、民間企業や自治体、大学との連携・制度設計を進める中で、社会にインパクトを与える戦略構築に強い関心を持つようになりました。
今後は、民間企業と共により実践的かつ実行可能な戦略を描き、社会変革に貢献する立場として成長したいと考え、御社の戦略コンサルタント職を志望いたします。公務で培った政策設計力、利害調整力、俯瞰的な分析力を、企業変革プロジェクトに活かしていきたいと考えています。
職務経歴書(サンプル)
氏名:佐藤 大輔(仮名)
現職:経済産業省 新規事業戦略室(2016年4月〜現在)
役職:課長補佐(政策立案・推進担当)
主な業務内容
- スタートアップ支援策(J-Startup)戦略の策定・運用
- グリーン成長戦略の政策設計・KPI設定・評価
- 官民共創会議の企画運営(大手企業・大学・VCとの協働)
- 法案作成・予算案作成・国会対応
成果・実績
- 成長戦略のKPI達成率80%以上(予算施策の改善提案含む)
- 自治体・ベンチャーのモデル連携プロジェクト10件超実施
- 官民共創フォーラムの年次開催定着化を実現
スキル・保有資格
- 論理構成力・レポーティングスキル(PowerPoint・Word)
- 政策分析・EBPM視点による評価設計力
- 日商簿記2級/TOEIC 875点
- G検定(AI基礎知識)
まとめ:制度から戦略へ。社会の変革を“ビジネス”でリードする
官公庁出身者が持つ政策設計力、ロジカルな課題解決力、マルチステークホルダーとの調整力は、戦略コンサルティングの世界で大いに活かされます。公的視点と民間視点を架橋する人材として、今後ますます高い需要が見込まれます。
「制度を作る側」から「戦略を描き、実行する側」へ。あなたの経験は、企業や社会の進化を推進する大きな原動力となります。