官公庁からサステナビリティ・ESGコンサルタントに転職するためのステップ

近年、企業におけるサステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)への対応は、経営戦略の中核として位置づけられています。企業は単なるCSR活動にとどまらず、気候変動リスクへの開示(TCFD)、人権デューデリジェンス、サプライチェーン管理、ESG投資対応など、実務的・定量的な対応が求められる時代になっています。

こうした潮流の中で、官公庁出身者がESG・サステナビリティのコンサルティングファームやシンクタンク、監査法人系アドバイザリーファームなどで活躍するケースが増加しています。本記事では、官公庁からESGコンサルタントに転職するためのステップを整理し、必要なスキルや志望動機、職務経歴書のサンプルを紹介します。

なぜ官公庁出身者がESG領域で注目されるのか?

  • 制度・政策に関する深い理解:気候関連政策や環境規制、人権、労働、統治に関する法的知識はESG対応に直結
  • 調査・分析・文書作成スキル:エビデンスに基づく政策立案、報告書作成経験はESG報告書や戦略策定に応用可能
  • 官民連携の実務経験:企業・業界団体との調整経験は、クライアントとの合意形成に強み
  • 公共性・倫理性の高さ:ガバナンスやサステナビリティ文脈における価値観の親和性

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主なESGコンサルティング業務の内容

  • サステナビリティ経営戦略の策定支援
  • マテリアリティ特定、KPI設定、統合報告書作成
  • 気候関連財務情報開示(TCFD対応)
  • 人的資本開示、ダイバーシティ推進支援
  • サプライチェーンにおける人権・環境リスク対応
  • ESGスコア向上のための施策立案・実行支援

転職に向けた5つのステップ

ステップ1:経験の棚卸しと民間翻訳

自らの政策立案・行政運営経験を、企業にとってどのように価値あるスキルとして転換できるか言語化しましょう。例えば、「環境基本計画策定」は「企業のサステナ戦略立案支援」、「労働法制に関する制度改正」は「人的資本管理コンサルへの応用」が可能です。

ステップ2:業界知識とトレンドの把握

  • ESGレーティングやTCFD、ISSBなどの枠組み理解
  • 人的資本開示・サステナビリティ会計基準の知識
  • 国内外の開示制度(サステナ情報開示制度など)

ステップ3:スキル補完・資格取得

  • ESG検定、GRI認定講座、ISO26000講座 など
  • 統合報告・サステナブルファイナンスの知識
  • 日商簿記、簿記論(財務情報との接続性)

ステップ4:職務経歴書と志望動機の最適化

「社会課題の解決視点」から「ビジネスとしての価値創出」へと視座を広げて志望理由を構築します。ポリシーオリエンテッドな動機に留まらず、クライアント支援型の視点が重要です。

ステップ5:転職活動と選考対策

  • ESGコンサル、監査法人アドバイザリー、シンクタンク、戦略コンサルなど選択肢を比較
  • 事例ベースでの志望動機作成・ケース面接対策
  • 自分のバックグラウンドがどこにフィットするかを明確に整理

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志望動機(サンプル)

私はこれまで環境省にて、気候変動対策や環境アセスメント制度の企画立案に従事してまいりました。政策策定を通じて、官民連携の難しさと重要性を実感し、今後は企業のサステナビリティ推進を支援する立場で貢献したいと考えるようになりました。御社のESG支援の実績と社会的インパクトの大きさに強く共感し、行政で培った制度設計力・調整力・分析力を活かし、企業の中長期的な価値創造に伴走したいと考えております。

職務経歴書(サンプル)

氏名:田中 明(仮名)
現職:環境省 地球環境局 気候変動対策課(2017年4月〜現在)
役職:係長(課長補佐級)

主な業務内容

  • 温室効果ガス排出抑制政策(地球温暖化対策計画)の策定
  • パリ協定対応国内制度の整備と企業ヒアリング
  • サステナブルファイナンスに関する報告書作成・官民会合の運営
  • 地方自治体・企業との共同事業プロジェクト(ESGモデル事業)

活かせるスキル・経験

  • 政策立案能力(計画・KPI・ロードマップ策定)
  • サステナ情報開示制度への理解と適用可能性の評価
  • ステークホルダーとの調整、合意形成のスキル
  • 報告書・資料作成力(PowerPoint・Word)

保有資格

  • ESG検定(中級)
  • 環境プランナーB級
  • TOEIC 875点
  • 日商簿記2級

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まとめ:行政経験を「社会と企業をつなぐ力」に変える

サステナビリティ・ESG領域は、官民の橋渡し役としての視点や経験が特に活かせる分野です。公務として社会課題と向き合ってきた方こそ、今後の企業変革や中長期的な価値創造のパートナーとして期待されます。自らの強みを再整理し、「制度から実装へ」という視点で民間企業への転身に挑んでみてください。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)