コンプライアンスからITアーキテクトに転職するためのステップ

コンプライアンス部門でのキャリアを積んできた方が、ITアーキテクトへと転職を目指す動きが注目されています。法務・ガバナンス・情報管理に精通したバックグラウンドは、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む企業において、セキュアかつ持続可能なシステム設計を支える貴重な視点となります。本記事では、コンプライアンス出身者がITアーキテクトへ転職するためのステップや必要スキル、職務経歴書・志望動機のポイントを解説します。

1. ITアーキテクトの役割とは

ITアーキテクトは、企業のシステム全体の構造設計を担う職種です。業務要件、セキュリティ、拡張性、運用コスト、将来の展開などを総合的に設計・提案し、システムのあるべき姿を描きます。エンタープライズアーキテクト、ソリューションアーキテクト、セキュリティアーキテクトなど複数の専門があります。

  • 要件定義・システム全体構成設計
  • クラウド・オンプレミスの設計比較・統合
  • セキュリティポリシーと技術の統合
  • ベンダー選定と外部開発管理

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2. コンプライアンス出身者の強み

一見遠いように思えるキャリアチェンジですが、以下の点でアドバンテージがあります:

  • 情報管理・ガバナンスに関する高い意識
  • 法令対応(GDPR、個人情報保護法、SOXなど)に関する知識
  • 社内ルールや業務プロセスに対する構造的理解
  • 部門横断プロジェクトでの調整力・文書化能力

3. 必要なITスキルと補完方法

ITアーキテクト職に必要な技術スキルは以下の通りです:

  • ITインフラ・ネットワーク・クラウド(AWS, Azureなど)の理解
  • アプリケーション構成・データベース設計の知識
  • セキュリティ設計・ゼロトラストの考え方
  • 要件定義、アーキテクチャ設計の実務経験

補完方法としては以下がおすすめです:

  • 基本情報技術者、AWS認定資格、IPAの高度試験の取得
  • プロジェクトへの積極参加(社内システム更新PJなど)
  • ITアーキテクチャに関する書籍・動画での自主学習
  • エンジニアとの連携経験を活かした設計視点の獲得

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4. 転職成功に向けた3ステップ

  • ステップ1:ITの役割と構造の全体把握
    「アプリケーション」「データ」「インフラ」「セキュリティ」など構成要素を把握。
  • ステップ2:実務経験を通じた技術理解
    コンプライアンス対応で関わった社内システム構築経験などを棚卸し。
  • ステップ3:資格・ポートフォリオの整備
    資格取得+自主設計ドキュメントなどを通じて意欲とスキルを可視化。

5. 志望動機(例)

私はこれまで社内コンプライアンス担当として、情報管理や個人情報保護、内部統制に関する制度設計・監査対応を担ってまいりました。その中で、ITシステムのアーキテクチャがガバナンスに直結する現実を目の当たりにし、今後はその「設計側」として業務に関わることで、より実効性のある統制と利便性を両立させたいと考えるようになりました。御社のようにガバナンスとテクノロジーを両立させる開発文化を持つ企業において、私のバックグラウンドを活かし、価値あるシステム設計に貢献したいと考えております。

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6. 職務経歴書(サンプル)

氏名:松本 彩
年齢:33歳
最終学歴:○○大学 法学部 卒業

【職務概要】
XYZ株式会社 コンプライアンス統括部(2015年4月〜現在)
役職:マネージャー

【業務内容】
・内部統制、情報管理ポリシーの策定・更新
・GDPR・Pマーク・ISMS認証への対応推進
・新規システム導入時のリスクアセスメント実施
・IT部門との連携によるユーザー権限管理・監査ログ設定
・業務フローとシステム仕様の整合性検証

【実績】
・ISMS認証取得プロジェクトの統括
・DX推進部門と連携し、社内クラウドポリシー策定を主導
・SaaS導入ガイドラインを全社向けに整備

【保有資格】
・情報セキュリティマネジメント試験 合格
・AWS Certified Cloud Practitioner
・TOEIC 820点

【使用ツール】
・Excel(リスクマトリクス、監査チェックシート)
・PowerPoint(ガバナンス資料作成)
・Notion、Backlog、Slack、Okta、Jira

ITアーキテクトは、テクノロジーと組織戦略の橋渡し役です。コンプライアンスの知見を武器に、設計力と対話力を磨けば、持続可能なDXに貢献できる存在となるでしょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)